金色のガッシュ2 第1話の凄さを語りながら感想、考察


現在page3まで話が進んだガッシュ2。3話まできたからこそ分かるところも含めて、第1話(page1)のスゴさについて語りながら考察。

清麿登場の圧倒的インパクト
「その男は人 名前はキヨマロ 絶望から希望を生む 王様のパートナーだ」



page1の最も凄いところはとにかくここ。
正直カラーページに至るまでは、単話でみるとpage1はそんなに面白くない(後述するとおり、悪いことではないし、伏線や設定紹介という意味ではクオリティは高い。)。

成長したガッシュ達を見ることを期待してページをめくると、出てくるのは知らない魔物と、魔物ですらない敵。
今作の主人公的立ち位置と思われるゼリィは、1話ほぼずっと悪意にさらされ続け、ガッシュ達が死んじゃったとか言ってる。
嫌だ、そんな話聞きたくない。ゼリィの絶望もすごいが、読者の絶望もすごい。

「ああ、ガッシュ2といっても、もう俺達の知ってるガッシュを読めるわけじゃないんだな。」かなりの人がそう思ったはず。
ギャグなし、1の魔物もなし。この調子だと、清麿も見付からないとか病気とかなんじゃないの…?アホのお手玉お見舞いされておかしくなっちゃってるんじゃないの…?

というところからのカラーページで、立ちはだかる後ろ姿→ゼリィの泣き顔と「名前はキヨマロ 絶望から希望を生む 王様のパートナーだ」→待ち望んだ姿での清麿登場。
まさに絶望から希望を生んでる。作中のキャラの心情と読者の心情が、別の次元から完全に重なってる。
この男はゼリィを窮地から救ってくれるし、この漫画も面白くしてくれる。彼さえいれば次の定期テストは満点を取れるし、部活でもレギュラーがとれて彼女もできる。間違いない。
カラーページの成長した清麿の顔を見て、少なくとも自分はそう思った。

これは続編だからこそできた表現だと思う。通常、連載漫画の第1話は、続きを読みたいと思わせるため、敵を倒すなり必殺技を撃つなりのところまで書き、更に次話へのヒキも書くのが定石。そうすると、設定や伏線にそこまでページ数は割けない。でも、1を読んでいる読者は、「清麿もいないかも…」→「いたーー!」これだけで十分な興奮を味わえるし、ここで止まったからこそ次に清麿がどうするのか楽しみに次話を待てる。
その結果、設定紹介にかなりのページ数を割くことにも成功している。1話のほとんどが絶望的だったからこそ、最後の希望が際立っている。雷句先生すごい。

設定紹介とその考察


そんなわけで、後の必要性も見込んだ上で、かなりの量の情報を1話に盛り込んでいる。盛り込まれた意味も含めて考察してみる。

「負けない 僕達魔物は」


魔物が魔物以外の存在に滅ぼされかけている。術を瓶に詰める技術が存在し、瓶は消耗品。敵専用スキルかと思えば、瓶さえあれば魔物側でも使える(ジギーが魔物という前提でだが)。
リオウのものと思われる装置を使って人間界にゼリィ達を転送。気軽に行えるものではなく、転送自体が賭けで、ジギーの認識では一回限り。
瓶の設定は、やはり清麿が使うための布石か。転送制限も含め、ガッシュが出る日は遠そう。

「魔物は全て討ち滅ぼす それがオレ達の仕事だ」「これが「何の道具」か聞き出せ」


魔物を滅ぼそうとしているのは、魔物とは違う種族のワイグとギルのコンビ。
ワイグは、戦闘形態のようなモードに変身できるが、自分の術を持っていない。変身前は石を投げることで攻撃し、変身には呪文は不要、術は瓶からのみ。

ギルが「リーファ」と呪文を唱えて灯りを灯すシーンは物語上必須ではないことも考えると、ギルは呪文を使い、ワイグは使わないことを強調しているように見える。

ワイグに「聞き出せ」と言われていることから、ギルは物or人から情報を引き出す能力もある…かもしれない。単に聞ける相手がいる可能性もあるけど。
ギルの戦闘能力は未知数だが、2人の関係は、魔物の子とパートナーのような関係というよりは、それぞれが独立した強さを持っている気がする。互いに言いたい放題で、上下関係はない。

ジギーが命がけで人間界に転送したのに普通に追いかけてくるあたり、この2人の所属組織は技術力が別格なんだろうか。

ちなみに、ギルが誰かしらから使い方を聞き出して、この装置で人間界に行ったのではないと思っている。
それならワイグは「何の道具か聞き出せ」ではなく「使い方を聞き出せ」と言うのが自然。何の道具か、つまり、どこに向かうものかさえ分かれば追いかけられる自信がある証拠。
ジギーが「一度きりの奇跡」と言ってちぎれた腕で入力したのに、同じ方法で来ちゃうのもなってところもあるし。

死者が出るなど、1より大人向けの世界観な割に、2人が憎めないキャラに描かれているのも少し気になる。煽り方とかはまさに悪役なんだけど、ゾフィス、リオウ、初期ゼオン、クリアみたいな悪さは感じない。キャラは立ってるけど、ボスではなく駒っぽい。大ボスは本なのか世界そのものなのかその他なのか。

「わかった… 探すよ ジギー」


埋葬と骨折固定の描写も目を引いた。1では、本を燃やせば魔界に帰るという設定のため、結局魔物は死ななかった。2では、人間よりタフだが少なくとも胴を切断されたら死ぬことが分かった。今後のダメージ描写への影響もあるんじゃないだろうか。裏を返せば、今後もある程度は死ぬことを予感させられて怖くもなるが…。
また、骨折をしっかり書いているシーンが目立つ。術が使えない以上、一般人に魔物と人間の違いを理解させるのが難しくなりそうなところ、骨折が短期間で治るところを見せることで、人間とは違う存在だということをpage3でザハラに印象付けるシーンを作るための布石に使っているように思う。

「言ったんだよ!もう子供を預かる余裕なんてないってね!」


今のところ、清麿の仲間メンバー筆頭だが、「困っている子供」という条件だけでは助けないあたり、無条件に優しい人が多かった1の仲間メンバーとは毛色が違う。エジプトと日本の生活水準の違いを示しているともいえるかもしれないが、そう考えると舞台がエジプトであることにはそれなりに意味がありそう。page3の最後も「エジプトで」とあえて言ってたし。


ガッシュ1からくる作者への信頼


ガッシュが名作なのは今更言うことではないが、何が凄いかって、1話の時点で最終話、途中のボスやライバルが完全に決まっているところ。長くなるから詳細は別記事にしよう。
そんな雷句先生が万を持して発表したガッシュ2。page1に散りばめられる要素に無駄があるはずがない。「ここにも意味があるかも」と考えていくと考察が止まらない。今後、各話の感想だけでなく、気になる描写を取り上げて考察していきたいと思う。

#マンガ感想文

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