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個人年金(iDeCo)には慎重なご検討を

前回の生活者年金研究所マガジンでは公的年金から企業・個人年金への大きな流れを俯瞰してみました。
https://note.com/kazusana/n/n6b872b86a70f

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今日はその各論とも言える個人年金についてiDeCoを中心に考えてみたいと思います。(iDeCo以外の純粋に民間の私的年金は今回の記事では原則対象外)

iDeCoは170万件に達したようです。前回提示した資料では、公的年金擁護、生活者のための改革の立場から問題点を提起しましたが、iDeCoそれ自体にも加入の前にしっかり理解し、納得した上でないといけない問題点があると考えております。これ以上の拡大には警戒せざるを得ないと思っています。

最初からまず結論を言えば、
・安全性1  内在的要因として元本割れの懸念があること
      (元本保証商品で運用の場合も手数料発生で元本割れも)
・安全性2 官製制度の無責任さ 責任を取らず、結果は将来のことと
      (直近では簡保の不祥事等々、そもそも投資には公正性・明瞭性が必要)
・有利性1 拠出・運用・払出時の税制優遇措置は収入・利益あっての話
      (毒薬に塗す砂糖に見えてなりませんが)
・有利性2 中途解約不可、インフレリスク、長生きリスクあり
      (リスク対応では公的年金の優位性には敵いません)
・本質回避 公的年金の不信を煽り、改革の方向性を否定

結局
・誰のための何のためのしくみ??!!
   上記の点を見ただけでも何のためのしくみなのでしょうか。
   決して国民を慮って作られた制度ではありません。
   金融機関の手数料収入の機会を開くための道なのでしょう。
  収入は金融機関へ、リスクは国民へ
  もっと分かりやすく言えば、
       公的年金の改悪 → 個人年金の増強 → 金融機関への奉仕 
  こんな図式も見えてきませんか。

仕組みについての復習

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https://www.mhlw.go.jp/content/10600000/000646715.pdf
現在の到達点とすれば上記の表が分かりやすいかも知れません。
公的年金被保険者の全員がiDeCoを利用できる状況になってきています。

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控えめにしてやや微妙な言い回しですね。(衣の下から鎧?、要注意です)
https://www.dcnenkin.jp

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https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-12605000-Seisakutoukatsukan-Seisakuhyoukakanshitsu/h27houkokusho_2.pdf

個人年金(ここではiDeCoというよりも一般的は私的な個人年金)の加入理由の多くは公的年金制度への不安と。確かにこれ自体は否定できない心情でしょう。

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一方、加入していない理由の多くは保険料を払えないからと。

公的年金に不安があるから私的な個人年金には入りたいが、実際には入るお金もない。
お金持ちは自身で運用を検討できますが、一般個人にはiDeCoという国が作った税制優遇の商品をご利用下さい。こんなとこでしょうか。

個々にそれぞれが将来の状況を考えることは必要でしょうが、遠い将来のこと、どう見通すのでしょうか。まさに、自助・共助・公助ですか。(といってその場合に実際には公助は期待出来ないでしょうが)ここはやはり公助・共助・自助ではないでしょうか。将来の一定程度の安心感があれば、貯蓄も消費に向かうでしょう。生活に心にゆとりも出てくるでしょう。

先行きの不安を煽られ、まずは個人・自己責任でと。いかがなものでしょうか、ここが一つの試金石だと思います。
まずは、しっかりした公的年金改革を進めていきたいものです。


今までなかなかはっきり言い切ることが出来ませんでしたが、意を強くしていただいたブログ・著書があり紹介させていただきます。

荻原博子氏の書籍の紹介
「投資なんか、おやめなさい」(新潮新書)

ブログ:「家庭のお金のホントとウソ」
https://biz-journal.jp/category/series/hiroko-ogiwara-money
から、
「個人年金など入ってはいけない・・・損するリスクだらけ、致命的な欠陥も」等ご参照を。
https://biz-journal.jp/2017/06/post_19320.html





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