見出し画像

竹中流ベーシックインカム論について

Web上では盛り上がったテーマになっているようだ。
9月23日の民放番組で竹中平蔵氏が披露されたようで直接視聴していないが、間接的に届いているものを材料に考えをまとめておきたい。

竹中平蔵氏の考えは従来から明確で、いわゆる新自由主義そのままであり、大企業の利益を優先し、国民には自己責任を負わせていくという分かりやすいストーリーである。こう断定してもこの方については異存はないでしょうし、レッテル貼りとの批判も当たらないでしょう。
こうした考えに感化された方々はどんな主張をしているのかネットで見てみましたので、それをベースに纏めておきます。(竹中氏への直接的反論は元の発言が確認出来ないためできず)

そもそも一部ではありましょうがなぜ共感を得ているのか
まずは現状のもやもやした社会状況、年金・医療制度の不安等展望の見えない将来、傲慢で虚偽・忖度が罷り通る政治、こうしたものを何とか出来ないのか、そこに今回こうした論調が話題になる土壌があるのでしょう。

今回はどうもとても危険な雰囲気を感じてしまいます。
昔あったように、危機を煽り、熱狂により民衆・国民を誘導していく、そうした光景が重なってしまうからです。危機は本当にどのような危機なのか、これに立ち向かうスタンスはどうなのか、真面目に真剣に議論したいものです。

各論として以下いくつか指摘しておきます。
1.7万円で現在の社会保障関係の費用を全て賄えというのか
年金は大幅減額、医療費も通常はともかく手術・入院の場合どの位かかるか不安(私的に医療保険?)、失業保険は人によって利用の機会はまちまちで社会的弱者ほど厳しくなる、生活保護でさえ住宅扶助を考えれば大幅減額となる。
2.年金・医療制度・雇用保険は保険であるがその認識は
年金55兆円の財源は多くを保険料収入に依存し、国庫補助(税金)は約11兆円。年金・医療・雇用保険等はまさに社会保険制度としてリスクに備えるものである。分からないリスクに備える(長寿は目出度いことであるが、年金は長生きのリスクをカバー)ことがまさに保険制度であり、人類の英知の一つと思っているが、棄てようとするのか。
3.結局自己責任ってことなのですね
さて、その7万円の使い方は自己責任。将来の健康に不安があるなら民間保険に入る方法も選択肢としてあるでしょ、所得保障も保険で?、老後の資金は7万円から貯蓄?。言明しているわけではありませんが、少なくとも竹中氏のこれまでの施策からして民間の生保・金融機関の収益拡大が本音の部分でしょう。
4.労働生産性の向上も図ることが出来ると
社会保障が高齢者に偏り過ぎ、もっと若者にも財源を回すべきだとの主張。日本は労働生産性が極めて低い、若者に7万円払えばもっとチャレンジが出来ると言った論法のようだ。まさに、将来の、またそれ以上に現時点での不安に悩む若者につけ込み扇動するかのような言動である。
5.生活者の実態には目を瞑り、真の解決に向けた議論を逸らすもの
どうも消費税の引き上げが大前提のようで、法人税・高所得者の所得税見直しは全く出てこない。私は社会保障の財源を消費税とすることは真逆な発想と考えている。現状真に解決しなければならない諸問題については、こうした議論を無視し、逸らしているかのようである。

このように、実態の生活においても、社会保障制度の各論においても、その根拠が全く説明できない竹中流ベーシックインカム論。拘るつもりもなかったが、あまりに危険な思想でもあるかと思い、纏めてみた次第。

尚、真面目なベーシックインカム論もいくつかあるようだが、これについてはまだ十分理解しておらずここでのコメントは控えておきます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?