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大腸がんに関する経験談 (その1:経緯)

はじめに

44歳で大腸がん(S状結腸がん)が見つかりました。ステージは、ステージ2(Ⅱa)でした。今のところ転移は見つかっていません。
もしかしたら、誰かの参考になるかもしれないので、今回の経験談などをまとめておきます。
今回は発見から治療の経緯について記録します。また、自覚症状と検査についても言及します。

大腸がんについて

概要

大腸がんは、大腸(結腸・直腸)に発生するがんで、腺腫という良性のポリープががん化して発生するものと、正常な粘膜から直接発生するものがあります。

国立がん研究センター,「大腸がん(結腸がん・直腸がん)について」

症状

早期の段階では自覚症状はほとんどなく、進行すると症状が出ることが多くなります。症状としては、血便(便に血が混じる)、下血(腸からの出血により赤または赤黒い便が出る、便の表面に血液が付着する)、下痢と便秘の繰り返し、便が細い、便が残る感じ、おなかが張る、腹痛、貧血、体重減少などがあります。

最も頻度が高い血便、下血は痔じなどの良性の病気でもみられるため、そのままにしておくとがんが進行してから見つかることがあります。大腸がんの早期発見のために早めに消化器科、胃腸科、肛門科などを受診することが大切です。

がんが進行すると、慢性的な出血による貧血や、腸が狭くなる(狭窄する)ことによる便秘や下痢、おなかが張るなどの症状が出ることがあります。さらに進行すると腸閉塞ちょうへいそくとなり、便は出なくなり、腹痛、嘔吐おうとなどの症状が出ます。大腸がんの転移が、肺や肝臓の腫瘤しゅりゅうとして先に発見されることもあります。

国立がん研究センター,「大腸がん(結腸がん・直腸がん)について」

検査

1. 直腸診
2. 注腸造影検査
3. 大腸内視鏡検査
4. CTコロノグラフィ検査(大腸3D-CT検査)
5. カプセル内視鏡検査
6. CT検査・MRI検査
7. PET検査
8. 腫瘍マーカー検査

国立がん研究センター,「大腸がん」,2021

国立がん研究センターの資料では、「便潜血検査」は検査に位置付けられていない。

発生場所

大腸は、食べ物の最後の通り道です。小腸に続いて、右下腹部から始まり、おなかの中をぐるりと大きく時計回りに回って、肛門につながります。長さは1.5〜2mほどの臓器で、「結腸(盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸)」と「直腸(直腸S状部、上部直腸、下部直腸)」に分かれます。

国立がん研究センター,「大腸がん(結腸がん・直腸がん)について」

ステージ

ステージ0 がんが大腸粘膜内に留まるもの
ステージ1 がんが固有筋層までに留まるもの
ステージ2 がんが漿膜下層を超えて浸潤する
ステージ3 がんの深さに関わらず、リンパ節への転移を認めるもの
ステージ4 がんの深さやリンパ節転移に関わらず、他臓器への転移を認めるもの

国立がん研究センター,「大腸がんのステージ(病期)について」

統計情報

国立がん研究センター,「がん種別統計情報 大腸」
https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/cancer/67_colorectal.html

私の大腸がん

場所:S状結腸(下行結腸近く)
大きさ:5cm×6cmくらいの範囲
深達度:癌が固有筋層を越えて、漿膜下層まで浸潤
リンパ節転移:なし

私の大腸がんの発見から治療の経緯

腸閉塞をきっかけに、大腸がんが見つかり、手術をしました。

経緯

2021年12月上旬~中旬 
 下腹部に間欠的な腹痛(疝痛※)を感じる日が2,3日あった。
 痛みの後に腹鳴(ふくめい)(おなかがごろごろ鳴る)が起きる。
 頻度は一日に3~5回程度。
 初めて経験する痛みだったが様子を見た。
 ※疝痛:きゅうーと痛くなって、止まって、また痛みだす。
2021年12月下旬
 腹痛は発生せず。
2022年1月1日
 下腹部の間欠的な腹痛(疝痛)を1~2時間おきくらいの頻度で感じるようになった。
2022年1月2日~5日
 日々、腹痛の痛みの強さと頻度が増していった。
 便秘・下痢はなし。
 過敏性腸症候群(IBS)を疑う。
2022年1月5日
 クリニックを受診。
 腫瘍マーカー検査を実施。
2022年1月6日
 腫瘍マーカー検査では陰性と診断。
 腸の運動を抑制させる薬(コリオパン錠)を処方。
2022年1月7日,8日
 腸の運動を抑制させる薬(コリオパン錠)を2回飲む。
 薬の効果はなく、副作用として便秘開始。
2022年1月8日~10日
 便秘継続。
 腹痛の痛みの強さと頻度が増していった。
 10日の夜は、我慢できないほどの痛みを感じた。
2022年1月11日
 総合病院を受診。
 腸閉塞(イレウス)と診断され、緊急入院。
 大腸内視鏡検査と大腸ステント治療(ステント留置術)を実施。
 大腸内視鏡検査で病変の一部を採取し組織検査を実施。
2022年1月13日
 組織検査の結果、大腸癌(S状結腸癌)と診断。
 検査の結果、胃・肝臓・肺などへの転移は見つからず。
2022年1月15日
 退院
2022年1月23日
 再入院
2022年1月25日
 手術(腹腔鏡下S状結腸切除術)
 大腸は20cmくらい切除。
2022年1月25日
 手術をして切除したがんを病理検査で調べステージⅡaと確定。
2022年2月6日
 退院

予定では2月2日に退院するはずであったが、院内で新型コロナに感染したため退院日が延びた。

入院診療計画書

私の大腸がんの自覚症状

がんの早期段階の症状に対しては、自覚症状がなかった。

早期段階

 血便           →自覚症状なし
 下血           →自覚症状なし
 下痢と便秘の繰り返し   →自覚症状なし
 便が細い          →自覚症状なし
 便が残る感じ       →自覚症状なし
 おなかが張る       →自覚症状なし
 腹痛           →自覚症状なし
 貧血           →自覚症状なし
 体重減少         →自覚症状なし

進行後

 慢性的な出血による貧血  →自覚症状なし
 腸が狭くなり便秘や下痢  →自覚症状なし
 腸が狭くなりおなかが張る →自覚症状あり

さらに進行後

 腸閉塞          →自覚症状あり

私の大腸がんの検査結果

便潜血検査

2019/09/07 異常なし
2021/04/10 異常なし

腫瘍マーカー検査(CEA)

基準値:0.0~5.0 ng/ml
2019/09/07 0.6(異常なし)
2021/04/10 0.6(異常なし)
2022/01/05 1.2(異常なし)

大腸内視鏡検査

2022/01/11 異常

おわりに

考察

  • 大腸がんの罹患率は、40歳代から増加し始め、高齢になるほど罹患率が上がる

  • 大腸がんの早期段階の症状は、でないことがある(気づけないことがある)

  • 便潜血検査では、大腸がんが見つからないことがある

  • 腫瘍マーカー検査(CEA)では、大腸がんが見つからないことがある

  • 大腸内視鏡検査では、便潜血検査・腫瘍マーカー検査で見つからなかった大腸がんを見つけられる

  • 間欠的な腹痛(疝痛)は、腸閉塞の可能性がある

  • 腸閉塞の原因は、大腸がんの可能性がある

  • 大腸がんの手術よりも、腸閉塞のほうが辛いことがある

感想

がんを経験すると、人生の終わり方を具体的にイメージします。
がんを経験すると、人生はいつ何があるかわからないと実感します。
がんを経験すると、人生を振り返ります。

いつ何があるかわからないから、毎日後悔しないように過ごさないとなと思います。やりたいこと(自分がやりたいこと、家族がやりたいこと、仲間のためにやりたいこと、世の中のためにやりたいこと)は、後回しせずやらなきゃと思います。

参考資料・記事

国立がん研究センター,「大腸がん」,2021
https://ganjoho.jp/public/qa_links/brochure/pdf/103.pdf

国立がん研究センター,「大腸がん(結腸がん・直腸がん)について」
https://ganjoho.jp/public/cancer/colon/about.html

国立がん研究センター 中央病院,「大腸がんのステージ(病期)について」
https://www.ncc.go.jp/jp/ncch/clinic/colorectal_surgery/160/index.html

国立がん研究センター,「腫瘍マーカー検査とは」
https://ganjoho.jp/public/dia_tre/inspection/marker.html

国立がん研究センター,「がん種別統計情報 大腸」
https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/cancer/67_colorectal.html

愛知県がんセンター病院,「大腸がん」
https://www.pref.aichi.jp/cancer-center/hosp/12knowledge/iroirona_gan/03daicho.html

(公財)神戸医療産業都市推進機構 医療イノベーション推進センター,「結腸がんの治療(PDQ®)」,がん情報サイト
https://cancerinfo.tri-kobe.org/summary/detail_view?pdqID=CDR0000062954&lang=ja
https://cancerinfo.tri-kobe.org/summary/detail_view?pdqID=CDR0000062687&lang=ja

大腸癌研究会,「患者さんのための大腸癌治療ガイドライン 2014年版」
http://www.jsccr.jp/forcitizen/index_comment.html
http://www.jsccr.jp/forcitizen/comment02.html
http://www.jsccr.jp/forcitizen/comment03.html

全国健康保険協会,「腸閉塞(ileus;イレウス)」
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/~/media/Files/kochi/20140325001/1.pdf

東邦大学医療センター 大橋病院 食道・胃・大腸外科,「大腸ステント治療について」
https://www.lab.toho-u.ac.jp/med/ohashi/esc_surgery/guide/tjoimi00000014pe.html

NPO法人 健康と病いの語り ディペックス・ジャパン,「検診で見つからないがん」
https://www.dipex-j.org/bowel-screening/topic/no_screening/giinsei


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