住宅の新課題
■脱炭素社会実現に向けた取り組み
2015年パリで開催された「第21回気候変動枠組条約締約国会議(COP21)」で京都議定書に代わる新たな地球温暖化対策ルール「パリ協定」が制定。
1.世界的取り組み
産業革命前からの気温上昇を2度より低く抑え、1.5度未満を努力目標とした。
・京都議定書
1997年に京都で開催(COP3)。2005年に発効。発行締約国の二酸化炭素等の温室効果ガス排出量削減目標を数値化。
・パリ協定
2020年以降の温暖化対策の国際的枠組みを定めた。温室効果ガスの安定化を目標とした地球温暖化防止条約を締結。
2.地球温暖化対策における日本の中・長期目標
2016年5月13日の閣議決定でパリ協定を踏まえた地球温暖化対策計画の目標が示された。
・地球温暖化対策計画
中期目標として2030年に2013年度比26%削減、長期目標として2050年80%削減が掲げられた。
■住宅におけるゼロエネルギー化実現への取り組み
住宅・建築部門は、全エネルギー消費量の3割以上を占める。
エネルギー消費、CO2排出量が増加傾向にあり、環境問題への取り組みが課題に。
1.低炭素・循環型社会の実現
・2020年目標
ZEHを標準的な新築住宅とする。改正省エネ基準を義務化。
・2030年目標
新築住宅の平均でZEHを実現。
・2050年目標
すべての住宅でゼロエネルギー化を実現。
2.都市・地域構造の変革と低炭素社会の実現に向けた政策
・エコまち法
東日本大震災をきっかけに地球温暖化への対応も含め、CO2を多く排出する都市における集約型都市構造化の建築、建築物の低炭素化を促進する。
・コンパクトシティ
生活で必要な機能を中心部に集め、公共交通機関と徒歩を利用して暮らせる街。国土交通省が2016年に街づくり三法(都市計画法、中心市街地活性化法、大規模小売店舗立地法)を改正を行い、2013年に集約都市(コンパクトシティ)形成支援事業を創設。
3.住宅における省エネルギー基準
・住宅性能表示制度
改正省エネ基準と低炭素建築物認定基準の制定に伴い、省エネルギー基準に関する部分を改正。
・建築環境総合性能評価システム(CASBEE)
2001年設立。住宅・建築物・まちづくり環境品質・性能の向上と地球環境への負荷低減を総合的な環境性能として一体的に評価するシステム。
補足
ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)
ZEH(ゼッチ)(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)とは、「外皮の断熱性能等を大幅に向上させるとともに、高効率な設備システムの導入により、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギーを実現した上で、再生可能エネルギーを導入することにより、年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロとすることを目指した住宅」です。
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