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知っているだけで10倍効率が変わる英語の音読練習法

英語力を伸ばすためには、英会話レッスンなどをいくらこなしても埒が明きません。こつこつと継続的に自主学習する習慣がなければ絶対に伸びません。

そして、自主学習の効率を高める上でもっとも重要なのが、音読練習法です。適切で効果的な音読練習を続けることができれば、学習の効果が飛躍的に高まります。

真剣に学習に取り組んでいる人ほど、
「本当にこの勉強法で伸びるんだろうか…?」
という不安に襲われるものです。
この記事では、みなさんのそんな不安を払拭して自信を持って学習に取り組めるよう、

  1. なぜ音読が有効なのか

  2. 具体的にどのように音読練習すればよいのか

を説明していきます。メカニズムを理解し、正しい方法を知ることで、みなさんが貴重な時間やリソースをより有効に活用して学習に取り組めるようになれば幸いです。

なぜ音読なのか

外国語の向上には継続的なインプット学習が欠かせませんが、中でも音読練習によるインプット学習は非常に効果があります。
これはあくまで私の体感ですが、これまでたくさんの生徒を見てきた経験や、自分自身の英語学習の経験から思うのは、音読学習の有無で学習の効果は5倍〜10倍ほど違ってくるように思います。

音読が有効な理由は、もっとも記憶に残しやすい学習法だからです。これは英語の学習に限った話ではありません。何かを記憶しようと思ったら、音読が最も効率的に記憶に定着させることができる学習法です。

音読は脳への強い刺激

自分の声を録音や録画で聞いた経験はありますか?
普段の自分の声とはずいぶん違う声に聞こえたのではないでしょうか。

音とは振動のことです。周囲の音や他の人の声は、空気の振動として私たちの耳に届いています。一方で自分の声は、空気の振動だけでなく、自分の体の中を伝う骨導音としても聞いています。

録音で聞く自分の声は「空気の振動」だけですから、「空気の振動」と「骨導音」の組み合わせで聞いている普段の声とは違って聞こえているのです。

何をお伝えしたいかというと、自分の声はそれだけ自分の体、さらには脳に強く響いているということです。

また、音読中は大脳の広範な領域が活性化しており、記憶力や情報処理能力、創造性が高まる効果があると主張する研究者もいます。音読しているテキストが憶えやすくなるだけでなく、記憶力それ自体も向上することが期待されます。

より多くの感覚を動員する

また、より多くの感覚を使うほど記憶しやすいと言われています。これも音読が有効である1つの理由です。音読中は、視覚、聴覚だけでなく、口周りの筋肉を駆使しなければなりません。

そういう意味では「書く」あるいは「音読しながら書く」のも有効に思えますが、音読に比べて書くのは非常に時間がかかります。ときおり書く練習を挟むのはある程度効果的ですが、効率を考えると、メインの練習方法としてはやはり音読に軍配が上がります。

音読学習の4つのメソッド

ここまで「なぜ音読練習が有効なのか」をお話してきました。次に、英語力を効率的に伸ばしていくための効果的な音読練習の方法を具体的にお伝えしていきます。

まず、音読練習には大きく分けて、難易度順に次の4つの方法があります。

  1. ファスト&スロー

  2. オーバーラッピング

  3. シャドーイング

  4. 同時シャドーイング

それぞれのやり方の前に、先にこれら4つの関係性から理解していきましょう。最もオーソドックスで効果が期待されるのが、②オーバーラッピングです。オーバーラッピングをメインの学習法に据えつつ、オーバーラッピングが難しい場合は①ファスト&スローで慣らし、オーバーラッピングに慣れてきて楽にできるようになってきたら、③④と進んでより負荷を高めて練習していきます。

オーバーラッピングを中心に、自分のレベルや習熟度に合わせて負荷を調整する。

次にそれぞれの取り組み方を紹介していきます。デモンストレーションしている動画も合わせて貼り付けておきます。

オーバーラッピング

音源を再生しながら、テキストも見て、音源に合わせて音読する方法です。
リスニングで苦戦する最大の理由は、「自分の発音の認識と、実際の発音に差がある」ことです。
たとえば "theory"という単語の発音は「すぃぁり」という感じに近いので、「せおりー」という発音だと勘違いしている人には一生聞き取れません。

オーバーラッピングでは、「この表現をネイティブはどう発音するのか」を常に確認しながら、同時にそれを自分でも真似して発声することで、正しい発音を記憶に刻みつけることができます。

また、視覚、聴覚どちらも使うので、単語や文法の定着にも最大の効果を発揮します。基本的にはこのオーバーラッピングを毎日コツコツ繰り返すのが、もっとも効果的な学習法になります。

ファスト&スロー

とはいいつつ、いきなりオーバーラッピングをするのは難しい場合が多々あります。知らない単語が多かったり、音源のスピードが速かったりすると、オーバーラッピングでついていくのは難しいでしょう。

そんなときは、いったん音源は使わずに、テキストをゆっくり間違えずに発音できるスピードでスローな音読を繰り返してみてください。
脳と口を慣らしていくイメージです。慣れてきたら、逆に間違えを気にせず高速で音読する練習もちょくちょく挟んてみてください。口がほぐれてきて音読しやすくなってくると思います。

ファスト&スローで慣れてきたら、またオーバーラッピングに戻っていきましょう。

シャドーイング

次に説明するシャドーイングは、オーバーラッピングに慣れてきて、楽にこなせるようになってきたときの次のステップです。

音源を流し、テキストを見ずに、耳だけを頼りに1テンポ遅れて影のように付いていきながら音読する手法です。

  1. 英語を一字一句聞き取る(視覚情報のサポートなしに)

  2. 同じ速度で音読する

という2つの難しい処理を同時にこなす必要があり、認知キャパシティに大きな負荷がかかります。①聞き取りに力を割きすぎると②がおぼつかなくなるため、「リスニングがより楽な認知的負荷でできるようになろう」という圧力が働きます。リスニングにかける認知キャパが小さくなれば、その分だけ余力が生まれます。生まれた余力は、相手の論を整理したり、自分の知識や経験とむすびつけて記憶に残したりするような処理に回せるので、より相手の話を深く理解して記憶しやすくなります。

同時シャドーイング

文字通り、音源とまったく同じタイミングで重ねて音読する方法です。
当然、テキストを暗記している必要があるのですが、ただの暗記ではできません。考えなくても自然にポンポン次の言葉が出てくるレベルの潜在的な記憶に落とし込まれていなければついていけません。

さらには、文言を記憶しているだけでなく、それをどういうスピードや緩急や抑揚で話しているのかという情報も記憶していなければできません。

もはやオタクの領域ですが、ここまで極めてやりきれば英語力は間違いなくグングン伸びていきます。

ここまで憶えきった表現は、スピーキングのときにもスラスラと引き出すことができます。
英語のリズム感が身につくので、相手のリズムや抑揚などの話ぶりから、文法構造や先の論展開を正確に予測することができるようにもなります。
語尾の上げ下げやスピードのちょっとした変化から、
(あ、次に逆説が来そうだな…)
などと予感できるような感覚ですね。これが身につけばリスニングは最強です。

大変ですが、目指すだけの価値は大いにありますので、ぜひここまで極めてみてください。

先にお見せした図ですが、ここまでの話を整理しやすいように再度掲載します。

最後に

ということで、なぜ音読が効果的なのかという話と、具体的な音読練習法をお伝えしてきました。音読練習の有無や、練習のやり方は本当に英語学習の成功を左右します。

音読練習に取り組みやすい教材の選び方は、こちらの記事で紹介しています。ぜひ合わせてお読みください。

最後にお伝えしたいのは、
「音読練習は楽しい!」
ということです。スポーツやゲームの感覚で楽しむことができます。
昨日はうまく発音できなくて音源に付いていけなかった箇所が、練習したら次の日にはスラスラ読めるようになる感覚は本当に楽しいです。
特に英語はリズミカルな言語なので、慣れてきたテキストの音読は歌を歌う感覚で楽しめたりもします。音読にはストレス発散効果もあると言われています。

ただしんどいだけの学習はなかなか続けづらいので、ぜひ音読練習にみなさんなりの楽しみを見出して、無理なく続けていただけたらと思います。

貴重な時間を割いて最後まで読んでくださりありがとうございます。みなさんの英語学習の成功を祈っています。

音読練習方法の名称に正式な名称はなく、人によって呼び方や定義は多少異なります。
この記事で紹介したシャドーイングやオーバーラッピングの定義は、若尾(筆者)や若尾の運営する
Ripple Englishでの定義だと思っていただければ幸いです。

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