君と語りたい本がある。二冊目『ハクメイとミコチ 1』/ 著・樫木祐人
『ハクメイとミコチ』は樫木祐人によるマンガ。2012年から連載が始まり、2019年3月時点では第7巻まで発売されています。
物語の主人公は身長9cmのふたりのこびと、ハクメイとミコチ。森の中にある楠木の根元に家を建てて一緒に暮らしていました。この世界では動物や昆虫たちも文明的な生活を営み、例えば郵便配達のバッタや大工のイタチなど、それぞれが自分の仕事をしながら日常を過ごしています。
まるで絵本のようなファンタジー溢れる世界を舞台に、住人たちの楽しい日常が描かれていく物語です。一方で、登場人物たちの暮らしや仕事の風景、そして何よりも周囲の自然や街並みがもの凄く丁寧に描き込まれているため、物語の世界に確かなリアリティを感じることができます。
「こんな世界で一緒に暮らしてみたい!」
そう思えるような、魅力的な世界観に私は惹かれました。特に第1巻の第6話、『舟歌の市場』が圧巻です。
ハクメイとミコチがやってきたのは港町アラビの積み木市場。積み木を重ねていくように、上へ上へと建て増しを繰り返した街並みがその名の由来で、漁業や綿花栽培で発展した街にはたくさんの商店が建ち並び、大通りはいつも人で溢れかえっています。ふたりは買い出しの途中で財布を落としてしまい、財布を探しながらやがては街の探検を楽しんでいく、といった内容のエピソードです。
とにもかくにも賑やかな積み木市場が楽しくて、ふたりと一緒に街を探検する気分が味わえます。街中を歩く人の足取りやお店で働く人の活気、ふとした路地裏の静けさ、そして市場に漂うおいしそうな匂いさえも、目の前にありありと広がっていくようでした。キャラやストーリーの良さはもちろんのこと、魅力的な世界観を構築する絵の完成度が凄まじく、初めて読んだときはもの凄くびっくりしましたし、もの凄く作品の世界に引き込まれました。
『ハクメイとミコチ』、すごく面白いマンガです。
ページをめくるたびに広がる世界の美しさや楽しさ、そして魅力的なキャラクターたちの可愛さを、ぜひ味わっていただけたらと思います。2018年にはアニメ化もされ、こちらも原作の雰囲気を見事に表現した素晴らしい作品となりました。ぜひぜひ、ご覧になってみてはいかがでしょうか。
(特に、音楽が、最高ッ!!)
……ハクミコ世界の本屋さんで働いてみたいなあ、というのが密かな憧れ。第5巻から登場するマキナタ図書館も捨てがたい。本好きの方なら司書さんシリーズのエピソードは必見です。すっごく面白いから!
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