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闇の王展2023の振り返り

この度、2023年7月5日から7月9日に渡り渋谷のギャラリー・ルデコにて開催された「闇の王展」に初めて作品を出展させていただきました。

久しぶりのnoteへの投稿として、出展した作品の解説、感想などを綴らせていただきますので、最後まで目を通していただければ幸いです。

「闇の王展」とは

出展者がそれぞれの考える闇を表現するというコンセプトで始まった展示会、今年で10回目の開催となります。

現在はポートレートのクロスメディアである「PASHA STYLE」にて運営されています。

毎回錚々たる出展者が揃い、写真展としても、アートとしても非常に見ごたえのある展示。
私自身も前回(2022年)の展示を拝見し、それぞれの写真の表現はもとより、その展示の仕方の創意工夫にとても衝撃を受けました。
作りこみ系の作品を撮った経験のある者としては、この場にいつか展示できればという思いがその時はっきりと形になりました。

「作品の世界観」

闇と一口に言っても、現実世界の闇もあれば、イマジネーションの世界での闇もあります。
私が表現したいと考えたのは非現実の闇、ファンタジー要素を取り入れたものでした。非常にコンセプチュアルな展示会だからこそ、普段は中々チャレンジしづらいシチュエーションに挑戦するチャンスでもあると感じたからです。

そこで衣装(ファッション)にも焦点を当て、何度か撮影でご一緒しているスタイリストさんにご参加いただき、この世界観を形にしていただきました。

「登場人物の紹介」

少女

自身の際立った特徴から周囲との軋轢に苦しんでいるが、それでも心が折れることはなかった。
その強い魂を「虚飾の君」は美しいと感じ、彼女自身がより一層輝けるように手助けをすることとなる。

演じていただいたのは「夢々(むむ)」さん
自身の個性をいかんなく発揮し被写体として活躍する彼女は、この設定にぴったりだと感じました。


虚飾の君

性別を超えた美しさを持つ貴人
「虚飾の君」は自称ではなく、外見にしか興味を持たない冷たい存在、という勝手な思い込みから周りが呼び始めた通称。

「見も知らぬ他人が私を理解とは片腹痛い、この装いを認めざるを得ないからそう呼ぶしかないのだ」
と歯牙にもかけないが、敢えてこの呼名を否定することもない(意外と気に入っているのかも)

原石を見出すことに執着を持つが、たとえ美しくても自分の想像の域から逸脱しないと判断したら全く興味を示さない。
素養を見出した者に対しても、自分で踏み出すための最低限の助力のみ与え、それ以上に関わることはない。

「水を与えすぎると根が腐ってしまう、それと同じだ」

蕾がどのように花開くかは、君にも本人にも分からない、その行く末こそ、世の美しいものを見飽きた君が希求してやまないもの。

演じていただいたのは、スタイリストとしてもご参加いただいた「甘寧(かんねい)」さん
少女の角の作成、衣装の準備、ヘアメイクまで八面六臂の活躍をしていただきました。


「作品解説」

今回はストーリーを表現するため4枚の作品を展示しました。
ファンタジー要素を取り入れたこともあり、衣装やヘアメイクは非現実的なものに。
その側面にフォーカスするため、いずれも背景はシンプルな白バックで撮影しました。

1枚目

周囲からなるべく目立たないよう、モノトーンの衣装という設定から始まり、そこから着想を得たスタイリストさんのアイディアでゴミ袋を衣装にすることに。それが掃き溜めにいるイメージを想起し、そんな状況でも瞳の奥に宿る意志を虚飾の君が見出した、という流れができました。

作品に写っている黒いひものようなものはリボン、横から投げてもらったものをストロボで写し止めました。
この中に、一本だけ青いリボン(虚飾の君の衣装のリボン)が紛れ込んでおり、君がこれを探しに来て二人は偶然巡り合うことに。


2枚目

自分を表現するという感覚がまだわからない少女
そんな少女にメイクアップを施し、ふさわしい衣装を用意し、一歩踏み出すための手助けをする虚飾の君


3枚目

初めて会った時と比べ、見違えるように生まれ変わった少女
しかし生まれ変わった自分にまだ慣れず、さしずめ雛のような状態

そんな少女に虚飾の君が差し出している花は薔薇。
私が手助けをするのはここまで、ここから先は自分に備わった個性を誇って、一人で歩んでいく(敢えて棘を掴むほどの)覚悟があるかというメッセージが込められています。


4枚目

自身に満ち溢れこちらを見据える「彼女」
美しい衣装を身にまとい、自身の個性(角)を誇らしくたたえています。

そして虚飾の君が残した薔薇は彼女の腕に。
薔薇は紙テープで腕に固定しているのですが、これは点滴のチューブをイメージしています。
点滴から栄養を摂取するように、最後の贈り物の薔薇から一人で歩んでいくための力、勇気をもらっているというイメージです。

まだ少しだけ不安はあるけど、この薔薇があれば私はどんなことにも負けない、そういう想いをこめました。


「衣装について」

登場人物二人の衣装はモノトーンをベースとしていますが、特徴づけるためにそれぞれのイメージカラーを設定しました。

少女 : 赤(リボン、エクステ)
虚飾の君 : 青(衣装のリボン)

今回の衣装についてはスタイリストさんに用意していただいたものですが、既存のものだけでなく、リメイクされたものが中心です。

虚飾の君の衣装は既存のジャケットをベースにスタイリストさんがアレンジしたもの
そして少女の角はなんと手作り。

また細かい点ですが、二人の瞳の色は同じ紫にしています。

それぞれのイメージカラーである赤と青の中間の色、同じ目を持つ者同士が惹かれ合ったのもまた必然だったという事です。

「展示を終えての感想」

今年一月の応募開始から足掛け半年、これまで参加した写真展の中でも最長の準備期間となりました。

闇の王展という枠組みから大きく逸脱せず、周りの出展者の方達に見劣りしないものにしたいとの想いから、本番までの間に何度もミーティングやすり合わせを行い撮影に臨みました。
そのお陰でディテールにまで拘れたと思います。

闇から始まり、最終的には暖かな光、絆をつかみ取る
私の表現したい物語が形になりました。

これも私のアイディアを形にしていただいたお二人のおかげです。
この場を借りて改めて感謝を。

オフショット

そしてルデコのB1F、3-6Fに展示された作品はどれも鑑賞者の心に何かを残してくれる素晴らしいものばかりでした。
改めてこの場に名を連ねることができたことは光栄の至りです。


次回の展示はPetit展(7/11-16)、Portrait Biwak(7/18-)となっております。
いずれも今回と同じ渋谷のギャラリー・ルデコにて開催されますので、こちらもご高覧いただければ幸いです。

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