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Oh! サンドラ

夏の最後を楽しもうと、人々は湖に出ている。
私もエネルギーと気温があれば朝と夕方、湖で泳ぐことにしている。

さてそんなある日。
いつものスーパーマーケットSobeysへ行った。チーズの特売をやっていたのである。
でもそれだけのために、そこそこ暑い中歩いて行くのが面倒ではあった。なんせ車のない貧乏暮らしである。
それより湖で泳いだ方がよくない?

でもどういうわけかこの日、Sobeys行きの方がなんだか気持ちに沿っていて。理論的でない、なんかそうしたい気分、というだけ。
例えば特売の美味しそうなラズベリーとか、この間は売り切れていたLARABAR(グルテンフリー ビーガンのスナックバー)があるかも?なんてくらいで。

先日からちょっと落ち気味だったので、歩いて気分を回復させよう。
肩を過ぎるまで伸びている髪がばさばさだけど、ま、いいか。お花の帽子をかぶって。タンクトップにコットンのスカート。
このスカートときたら多分20年は前に日本で買ったもの。東京だと、知り合いに会おうものならどうしました?と言われそうな恰好だけど。でもここでは不思議なことに、そのスカート可愛いわ!日本で買ったの?と聞かれたりするのだ。
さてそんなカッコで徒歩23分。(そうなんです・・そこが最寄りのお店。。。)
そしてお目当てのチーズセクションでパルメジャーノを探す。値段を見るためにサングラスを外す・・
すると隣のセクションで働いていた人がなんかこちらを見ているのが目の隅に。あ~チーズの陳列をしたいの?私が選び終わるのを待ってる?
そう思って振り向くと
XXXX Oh! XXXX
と聞こえてくるではないか。よくわからないのでExcuse me?と聞き返すと

サンドラ・オーかと思ったのよ!間違われることない?

実はずっと前に一度別のスーパーマーケットの駐車場で

あなた、もしかして女優さん?ちがうわよね、でもにそっくり!ほら、何て名前だったかしら?あのひと?賞もとってるわ

She…と言われましても。。

でもこの時点で、え?私が女優さんに似てる?日本にいるときは、たあ~ったの一度も言われたことがないのにと、期待感上昇。

彼女は結局女優さんの名前が思い出せなくて一旦行きかけたがまた駆け戻ってきて

サンドラ・オーよ!!!!

と叫んだ
あうう。。。これって喜んでいいのか・・・?

んなわけでチーズセクションで振り返りながら、
以前にも言われたことあるの、というと

でしょう?

そしたらデリのカウンターから(よくそこでポーランドのソーセージを買っている)別の女性も出てきて

私もサンドラかと思ったわ!

いや~喜んでいいのやらなんやら・・・?
んでもって

今度見かけたらサンドラて声をかけるわ!

とまで言われる始末、
いや~喜んでいいのやらなんやら・・・?

しかし不思議である。
野球帽をかぶって短パンで行く時なんかそんなこと言われないわけで。夫や周りの人からも言われたことはない(決して似ていたくないと言うわけではありませんが・・)お花の帽子とぼさぼさ黒髪がポイント?

いや~やっぱり喜んでいいのやらなんやら・・・!

人の感覚なんて曖昧なものである、ということで。

(んなものですから、これから私の記事を読んでくださる方、帽子をかぶってぼさぼさ髪のサンドラ・オーが断熱材入れている図を想像していただいて結構です(笑))

さてこの日、これだけではなかった、Sobeysで。
ロアーナに出会ったのである。
彼女は夫が在宅緩和ケアを受けていた時に入ってくれていたPSW(パーソナル・サポート・ワーカー)。フィリピン系の彼女はとても温かくて私たちに寄り添ったサポートをしてくれた。
夫が亡くなった直後に一度会いに来てくれたそれ以来である。

まだあそこにいるの?ひとりで住んでるの?

そう言って彼女は手を広げてくれた。
私たちは抱き合って、私は思わず泣きそうになった。

でも旦那さんが彼女の背後で待っていて、私たちはじゃあまたねと別れた。

ショッピングカートをレジまで押しながら、私の頭には色々な事が蘇って来た。
ベッドメイキングしてもらうのに夫が眠ったきり起きなくて、二人でお茶をして時間を過ごしたことがあったっけ。レモングラスを使ったチキンのスープを教えてくれたのも彼女だった。

鼻の奥がツンとなって涙が出そうになる。それでも

バッグいります?

とレジでお姉さんに聞かれて

大丈夫持ってるわ

そう笑顔で答えることができた。

なんせサンドラ・オーですから!(笑)

ヘッダー写真 ラズベリー2パックとチーズ。そしてLARABARはミントチョコレートとココナッツクリーム味!

日本とカナダの子供たちのために使いたいと思います。