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サくら&りんゴ #70 キャベツ料理と意外な結末

ある年のクリスマスの少し前。
夫が元気だったころ。
夫のレストランに入っているクリーニング会社のオーナーからプレゼントをいただいた。

持ち帰って来た夫が
キャーサだよ
と言ったように聞こえた。
無造作に包まれている油紙を開けると、ソーセージとピクルス。

私はキャーサなるものがこのソーセージなのかピクルスなのかまるでわからなかったけれど、なんでも彼はポーランドからの移民で、これはお国の伝統的な食べ物らしかった。

夫はさっそくお気に入りビール、ハニーブラウンのメタルキャップを手でクイッとあけ、キャーサを食べ始める。
かなり美味しそうである。

私もスライスして食べてみる。

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フムフム。スモーキーで、ソーセージよりサラミに近づいた感じ。

珍しい物をいただいたと思って知り合いに話すと、
あ~あれね、と知っている。
他の人に聞いてもやっぱり知っている。

そうしたらYouTubeで見つけたあるお料理チャンネルで、

今日はキャベツとキャーサの炒め物と言っているではないか。
音からCabasaをイメージしていたが、実はKielbasa(キゥーサ)だとわかる(カタカナ表記難し・・)
するとあら不思議、近くのスーパーマーケットSobeysでも売っている。
今まで知らずに通り過ぎていただけだ。

よく見るとデリのカウンターで量り売りもあるではないか。
手に入るとなるともう作らずにはおられない。

そこで今回はkielbasaとキャベツの炒め物のご紹介である。

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量り売りコーナーでターキーkielbasaを300gほど買う。(ポークが一般的なようだが)
Kielbasaは半月切りにする

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それからカリカリにしたベーコンとその時に出た脂。
塩コショウと赤トウガラシのクラッシュ
粒マスタードそしてアップルビネガー


まずはキャベツを刻んでいる間にスライスしたkielbasaをフライパンで両面焼く。この時つく焦げ目がおいしい。

キャベツを加えてベーコンオイルで炒めたあと火を止める。そして加える粒マスタードとアップルビネガーがこのお料理のポイント。
加えられた酸味はシンプルなキャベツ料理をいつもとは違う味に仕上げてくれる。
おススメの一品。

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でもよく考えたら、ホットドックには酸味の効いたサワークラウトとマスタードだったりするわけで。
ほ~そう言うことであったかと、この組み合わせ妙に納得。


ところでクリスマスの後、kielbasaをいただいた彼にお礼を言うと、

僕はアカホシを知っているよ

と言ってきた。

アカホシ? はて?

サッカープレイヤーだよ、日本の。

聞くとKielbasaの彼はカナダに移住する前、ポーランドに海外のプロサッカー選手を誘致する仕事をしていたらしい。彼が日本のアカホシを見つけてポーランドリーグに呼んだのだという。

すごくいい選手でね。

元サッカー少年の息子マーチュと年齢が近いかもしれないと、早速ラインを送った。
すると、ユース時代会ったことはないけれど赤星貴文の事を知っていると返事が来た。
ちょっとした偶然がうれしいとともに、私はポーランド人の彼の転身に驚かされるのである。
ポーランドで何が彼にカナダという地を選ばせ、そしてサッカーのフィールドから一転この地でクリーニング会社を立ち上げるに至ったのだろう。

そう思うとたとえば
韓国からカナダに移住して来たある人は、母国では生物学のPhD,移住直後のドライクリーニング屋さんを経て今はアジアンレストラン経営に至っている。

夫もしかり。
移住前のアメリカでは教育や心理関係の仕事をしていたのにカナダでは一転、オーガニック農産物のトレードやオーガニックのベジタリアンレストランなどまるで違う分野に関わっていた。何しろ、カナダで初めて白人によるお豆腐屋さんを開いたというのが夫の自慢である。韓国人お豆腐屋さんのもとで修業したらしい。
日本人の私よりもずっとお豆腐の事を知っていた。

こんな風に私は、この地に根付いた人々の型にハマらない自由さに驚かされるのである。その選択しかなかったとか、切羽詰まった理由があったかもしれない。
それでも知らない国の知らない分野で、一から取り組んで生きてきた人々の精神の強さと心のたおやかさに私は感心し魅了される。

ところで移住直後、夫が関わっていたベジタリアンレストラン。それに合わせるように夫も一時期ベジタリアンだったと話していた。
え?ハンターなのに?
なんだか納得の行かない私であった。

Kielbasa,日本で見つけられるのかわからないけれど、キャベツ炒め物詳しくはこちら Mary's nest ↓


日本とカナダの子供たちのために使いたいと思います。