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湖畔だより。その後19 モンテソーリと言語習得

東京の英会話教室の講師からクラスの写真が届いた。
こちらカナダから、カリキュラムを作成して送り、講師たちは毎週クラスリポートを返信してくれる。
杉並で近所の子供たち向けに、外国人講師たちと英会話教室を始めてはや20年である。


モンテソーリの国際免許を取り、こちらカナダのプリスクールとペンパル関係を結んでからは、モンテソーリの理念や言語分野のワークを、東京の教室に積極的に取り入れてきた。


色々ないきさつはこちらをみてもらうこととして
追憶 in Canada: 湖畔にて。

https://note.com/kazunagatsuki/n/n5291b4b43e88?magazine_key=mf11651072e7f

今もクラスにモンテソーリワークを取り入れることに苦心している。
子どもたちがそれぞれに選択したワークをするとことが
1週間に1回、1時間の英会話クラスでは中々難しいのだ。
でも私は、モンテソーリの理念やワークは第二言語習得に効果的だと思っている。
言っておくが、私は脳科学や言語学の専門知識はない。
だから経験から、そんな気がする というだけである。

でも金曜クラスのErinから報告を受けると、その確信は高まる。


言葉はコミュニケーションとして使うものだから、広く外に向けられた共通の道具である。でもそれは、とても個人的な道具でもある。もとはといえば人それぞれの気持ちや考えと結びついているのだから。

今月取り入れたワークのひとつを紹介する。
Air, Land and Water。
下記の写真はQuiet Watersモンテソーリプレスクールで見つけたもので、カナダの子供たちがこのワークをする様子を観察し、そして東京の教室にも取り入れることにした。

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このワークより先に、東京の教室ではまず、Little CloudやThe Rainbow Fishの絵本を講師に読んでもらっている。それから派生して色々なクラフトをする。青空色の紙に雲を書いたり、水の中の生き物作りをしたり、そして先週は秋のテーマでリンゴのパッチワークをした。

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これらを通してAir Land Waterの感覚を子供たちは英語でつかんでいる。

そしてこの月の最後に、このワークを、子供たちの選択肢の中に滑り込ませた。

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このボードは講師Markの手作りである。

このワークをしながら、子どもたちの心の中では、いったいどんな言葉が行き交っているのだろう。年長の子どもは、すでに知っている日本語に置き換えている部分があるかもしれない。Airplaneは飛行機だから空に当たるAirに置くんだ、とか。
しかしいくつかの単語の変換はあったとしても、こういう思考の流れをはたして彼らは日本語で明らかにしているのだろうか?

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子どもたちの心は、このワークをすることにあまりに忙しく、そんな時間はとてもなさそうに見える。それが私の目的とするところで、子どもたちの集中を目の当たりにすることは、まさにモンテソーリで言うnormalization との遭遇である。

そしてなぜだろう、そういう時に英語が、子どもたちの体の中に浸透していく。
子どもたちがどこまで理解しているかはわからない。理解の詳細や経緯はあまりにそれぞれである。
しかしふっと子どもが発した英語で、その子の理解度が分かる。そういう英語は子どもたちの頭と言うより、体に入っていて、単に覚えてすぐに消える類のものではない。
カードを見てappleやcucumberが言えたというのは、そのカウントに全く入っていない。

言葉は表層的な記憶ではなく、深く心と結びついている。

そんなことからモンテソーリのワークは、英語が子供の心に直接入って行きやすいのではないかと、私は考えている。
その仕組みを言語習得専門家に是非とも伺いたい。

そう言えばガレージにある夫のハンティンググッズを整理していて、Erikが、見つけたホイッスルを鳴らした。

グースを呼ぶ笛ね、と私が言うと彼は笑いながら

Close enough.  For Ducks

と言った。
全くもって私はそれも聞き分けられていないのだ。水鳥たちにはちゃんとわかっているというのに。

第二言語習得の道のりは果てしなく長い。

日本とカナダの子供たちのために使いたいと思います。