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ダイジョウブダイジョウブ

結構な雪になった。
まだ11月ですけど?

キッチンの天井のライトが切れて蛍光灯を変えようとしたら、天井のプラスティックシートが割れてしまった。
経年劣化でもろくなっていたのかもしれない。

プラスティックシートをネット検索する。
ちょうど同じサイズで同じような柄を見つけたので
蛍光灯と一緒にオーダー。

ネットで注文をクリックしたのが夕方の7時過ぎ。
翌日配送とメッセージが来る。
この国にしては(失礼!)素早いではないか!

そして翌日それも朝に配送済みのメッセージ。
すごくない、マジ?

そして
ええ??????

玄関先に無造作に配達物が置かれている。

包装もないプラスティックシートはすでに

クラックが入っている。

でしょでしょ。割れやすいのよこれ。
それをむき出しのまま?

おまけに8本オーダーした蛍光灯は4本しかない。

すぐお店に電話をする。

英語の方は1を
フランス語の方は2を・・・

音声案内が流れる。

商品のオーダーについては1を
キャンセルについては2を・・・

イライラしながらやっとつながるかと思ったら
音楽が鳴り始め
通常より待ち時間が長くなります。。。
待つ
繋がらない
らちが明かないのでウェッブのAIアシスタントと対話することに。

クラックの入ったシート分は払い戻し、今あるシートは自分で処分しろとのこと。
しかし蛍光灯については
あなたは2パックしかオーダーしていません。

いいえ4パックオーダーしました。

あなたは2パックしかオーダーしていません。

1パックに2本入っているんですよね?
4パックで4本という意味じゃないですよね?

もはやAIとのやり取りがしっくりいかなくなる。

結局途中で人間の手でメールが送られてきて

申し訳ありません~配送ミスで2パック分になってしまったので、あと2パック分は払い戻します。
そして訂正されたインボイス(請求書)が添付して送られてきた。

あのね~・・・・

そういえば先日オーダーしたグリーティングカード。
75枚のはずが148枚も入っている。
??
んで封筒はというと85枚分

あのね~・・・・

まったく~
あっちもこっちも
ちゃんとできないの?ちゃんと?!!!!!

と叫びたくなった私である。

さて、蛍光灯は取り替えようとすると根元のところでコゲた跡が。
やばい

即、近くの電気屋さんを探して電話。
翌日やって来たのはマイク。

ダイジョウブダイジョウブ

そう言って丁寧に修理。
割れたシートもそのままはめ込んで

シ~!息しちゃだめだよ・・・

なんてニヤリとして

するとあら不思議
マイクの手にかかったらクラックも見えなくなった。

ついでにと寝室の天井ライトも見てもらう。

ふ~む
ダイジョウブタイジョウブ

点いた!

あの~さらにいいですか~?

夫ジェイが作ってきた家。
彼の意図が分からないままのむき出しの電気コード。
いちいち延長コードを繋げないといけないキッチンストーブの電源。

マイクにそれを説明すると

ふ~む
ダイジョウブダイジョウブ・・・

あちこちがまだ仕上がらない家。
5本のコードの行方は・・?

さすがにこちらは時間を要したが
むき出しのコードとキッチンストーブを繋いでくれて
残りのコードはカウンター下にコンセントを作ってくれた。

長年わからないままだった電気コードの問題がやっと解決!
湖畔の家が一歩完成に近づいた。
(完成する気がしないけれど・・・)

そういえばマイクの仕事中、度々軽快なリズムの着信音が。
そして話し出すのは・・どこのお国の言葉かしら・・?

どこの出身なんです?
そう聞くと

ロシアですよ。こっちに来て5年。
マミーを呼び寄せたんです、この夏に。

なるほど、慣れないお国でマミーが度々息子に電話をかけてくるってわけね。

どうしてカナダに?
こちらの住み心地は?

マイクに聞いてみると

いや~移住してすごくよかったよ。
ここは素晴らしいです。
なんせあっちはプXXXX・だからね・・

そう満足気に話してくれた。

そういえば以前冷蔵庫の修理に来てくれたおじさんもロシアから移住してきたばかりで、その人は

こっちに来たらみんなプXXXのことを悪く言うんだ!
そんなことは全然ないのに!

と憤慨してたっけ。

人それぞれだなあ~同じ国の出身でも。

なんだかこのマイクは
新しい土地に来ても
ダイジョウブタイジョウブと
いろんな事をうまく乗り越えていきそうだった。

また何かあったらお願いします!

アリガトアリガト

マイクはそう言って出て行った。

少しずつ湖畔の家が変わって行く。

ジェイが立って料理していたキッチンカウンター
ジェイが車いすでよけながら通ったカウチの配置
そして子供たちのプレイルームになったジェイの病室

そのひとつひとつが新しい場面へと置き換えられていく。


湖にはまたトランペタースワンが飛来していた。

彼らの泳ぎはなんて優雅なんだろう。

ジェイのいない三度目の冬。



あら?
雪の積もったガーデンをよく見ると

だ、誰?

何物かの足跡が破れたフェンスの下に繋がっていた。


私、大丈夫かな、ひとりで。
ダイジョウブダイジョウブ。






日本とカナダの子供たちのために使いたいと思います。