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令和6年2月文楽公演(1部)

文楽を観に行ってきました。
2月公演の第1部は『二人三番叟』と『仮名手本忠臣蔵』

ホームグラウンドである国立劇場が建て替え中のため
現在は都内の劇場を転々としています。
今回は日本青年館での公演です。



演目

二人三番叟

仮名手本忠臣蔵
 山崎街道出合の段(五段目)
 二つ玉の段(五段目)
 身売りの段(六段目)
 早野勘平腹切の段(六段目)


二人三番叟

 天下泰平・五穀豊穣を祈る能『翁』をもとにした「三番叟物(さんばそうもの)」は、さまざまな邦楽に取り入れられており、義太夫節でも古くより翁や三番叟が登場する曲は数多く作られてきました。今日、人形浄瑠璃文楽で特別な格式を持つ祝儀曲『寿式(ことぶきしき)三番叟』は、十八世紀半ばごろに成立したとみられます。
 今回上演する『二人三番叟』は、その内の二人の三番叟が登場する場面を取り上げています。災厄を払う荘重(そうちょう)にして軽快な浄瑠璃と溌溂(はつらつ)とした三番叟の舞をもって、ここ明治神宮外苑の地の文楽初お目見得といたします。

パンフレットより

三番叟の動きが煌びやかでよかったです。
片方ががサボりがちなのも面白かったですね(笑)

仮名手本忠臣蔵

今回は五段目と六段目です。
登場人物↓

↓のURLより抜粋


山崎街道出合の段

 『仮名手本忠臣蔵』は、事の推移を四季の移ろいとともに描いており、五・六段目は夏。雨降る闇夜の街道は雌伏から這い上がろうとする勘平の運命の暗転を予感させます。

パンフレットより

元塩谷家家臣・千崎弥五郎と出合った早野勘平。
主君仇討ちの噂を聞き、自分も加わりたいと願うのは武士の本分なのでしょうか。

お家の大事に恋人おかると現を抜かしていた勘平が
汚名返上したいと思う気持ちはわかる気がします。


二つ玉の段

 命乞いも空しく斧定九郎(おのさだくろう)に殺される与市兵衛は、その純朴さが哀れを引き立てます。娘のおかるを売って得た大金が奪われるとともに、ようやく見えた婿・勘平の再起への微かな光明も無残にかき消されるのです。そして、猪をねらったはずの弾丸が定九郎に当たった偶然により、勘平は、撃った相手と手に入れた大金の出所を知らぬまま前途に光明が差したと逸り、破滅へと突き進むのです。

パンフレットより

『斧定九郎』が登場します。
演芸(講談・落語)で初代中村仲蔵が工夫をして当たり役になったという話は存じていましたが、いまいちどんな役回りだったのかがわかっていませんでした。

なるほど、結構な悪人だったんですか。
私欲のために関係のない(実際はあるのですが…)人間を殺害。

が、勘平の撃った鉄砲の流れ弾が命中。
なんというか、悪人らしい最後ですね(笑)


身売りの段

 おかると母、彼女たちも、勘平の帰参という希望に向かって健気に生きており、取り分け、おかるの明るさが一家を支えていることが窺えます。そんなおかるが苦界へ身を沈める現実と母娘の別れを眼前に、心の中でも舅を殺したか不安が渦巻く勘平の、二重三重の苦悩が描かれます。

パンフレットより

山崎街道出合いの段のあと、勘平から与市兵衛にお金を融通してもらうことを懇願。その後、この展開があると理解するまで少し時間がかかりました。

身売りされることを知ったおかると、帰ってこない与市兵衛。
そして、財布の特徴を知り舅を殺害してしまった事実を受け止めきれない勘平。

武士の本分と板挟みになり追い詰められていく様子が
なんとも儚いですね…。


何ぼ別れても、主のために身を売れば悲しうもなんともない。
わしや勇んでいく。

おかるの心中はいかばかりだったのでしょうか。


早野勘平腹切の段

 おかるさ去り、与市兵衛の骸が担ぎ込まれ、いよいよ勘平たちが残酷な運命の波に吞まれます。老母は慟哭、怒り、そして悔恨という「激」の連続、一方の勘平は不安、屈辱、絶望という「沈」の連続という、相対した感情がぶつかり合い、耐えがたい奔流となっていきます。この老母の、与市兵衛とは違う形の善良から来る”激しさ”が勘平の心を抉り、郷右衛門が諄々(じゅんじゅん)と説く「渇しても盗泉の水を飲まずとは義者戒め」が勘平の矜持を打ち砕き、自害へと追い込みます。やがて勘平の名誉は挽回されても、母は昨日まで貧しくも家族四人が一丸となっていた家に、たった一人取り残されます。「見送る涙、見返る涙、涙の波に立ち返る」まさに大悲劇の段切(だんぎり)です

勘平は最初から切腹覚悟だったんですね。
郷右衛門と弥五郎から責められても無実と証明するためには、この時代それしかなかったのかもしれません。

ささいな勘違い・すれ違いが起こした最悪の結末。
結果的に勘平が武士としての本分は保たれましたが…
これでは誰も幸せになれないですね。

与市兵衛が勘平に殺害されたと知り、羽織を脱ぎ戦闘態勢に入る弥五郎。
すべてを理解したが、もう後戻りできないことを理解した老母の狼狽。
少し考えさせられる内容でした。


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