パレスチナ・ガザ地区の飢餓:世界と日本に求められる援助は?
パレスチナ・ガザ地区の国内避難民の現状
中東のパレスチナ・ガザ地区の紛争状態が日々メディアで報道されています。この地域で繰り広げられている紛争に巻き込まれた国内避難民の画像を見ると、戦争や紛争が続く中、被害を受けた人々は日々の暮らしに困難を強いられていることが理解できます。しかしそれがどれほどひどいものかは、日本にいる私たちにはなかなか理解し難い側面もあります。そこで、数日前に国連がガザ地区の現状を伝える報告書を発表しましたので、その内容について解説します。
Photo by Jorge Fernández Salas on Unsplash
ガザ地区の飢餓リスクの現状分析とリコメンデーション
2023年12月22日、UNICEF(ユニセフ:ニューヨークに本部を置く国際連合児童基金)は、「ガザ地区における飢餓リスクに関する声明」を発表しました。声明の内容は、パレスチナ・ガザ地区の国内避難民の飢餓リスクについての現状分析ですとリコメンデーションです。この声明は、今後加盟国が取るべき援助分野とそれに見合った拠出を想定しています。
声明文のポイント:
UN Security Council(国連安全保障理事会)がガザへの人道支援を強化するための決議を採択した。
ガザ地区のIPC(統合食料安全保障段階分類)は、ガザ地区での飢餓リスクが非常に高いことを警告しさらに状況は悪化する可能性がある。具体的には、IPCの報告書によれば、ガザ地区の少なくとも4軒に1軒、または50万人以上が、極度の飢餓の危機に瀕しており、これは最も深刻な警告レベルである。
約120万人が緊急の飢餓状態にあり、急性栄養失調の閾値が既に超過している。つまり、ガザの多くの家族にとって、飢えで死ぬという脅威は既に現実である。
ガザ地区の5歳未満のすべての子供、33万5000人が重度栄養失調と避けられる死の高いリスクに晒されている。
飢餓状態のリスクが増加し続ける中、UNICEFは来週には少なくとも1万人の5歳未満の子供が最も命にかかわる栄養失調、重症消耗症と呼ばれる状態に陥り、治療食品が必要となるであろう。
ガザ地区の食料および医療システムが完全に崩壊している時期に発生している。80%以上の幼児が深刻な食物の貧困に直面しており、燃料、水、および重要な医療用品の不足または攻撃により、病院の3分の2以上が機能していない。
妊娠中の女性と授乳中の母親、および2歳未満の子供の栄養に関しては特に懸念される。これはストレスとトラウマによって悪化する特定の栄養ニーズが重なるためである。
飢餓に関する警告はまだ回避可能であり、ただちに行動を起こすべきである。
即時かつ持続可能な人道的停戦が必要であり、これにより人道主義機関がガザ地区全体で必要なサービスの強化と回復をサポートし、脆弱な子供たちが基本的な栄養と健康のニーズを満たすことができるようにする。
これには乳児用ミルク、食品および栄養補助食品、および深刻な栄養失調の早期予防、診断、治療に使用される準備ができた治療食品、水、医薬品、燃料、および商業交通の再開が含まれる。
幼い子供、妊婦、および負傷した患者が生命を救う治療とケアに安全にアクセスできるよう、病院を含む重要なインフラの復旧が必要である。
この声明の内容は、国連加盟国に対して指定された問題に対処するために拠出金を割り当てるよう促しています。UNICEFは必要な資金が確保されると、特定された懸念事項に対処するための具体的な行動計画を策定します。
非常事態における人道支援:リスクグループの生存率を高めるUNICEFの役割
声明文にある現状分析とリコメンデーションはUNICEFが発表したものですが、この組織の役割は、こども、母親、妊婦、授乳婦などのリスクの高いグループを活動の対象としています。国連には、国連の下部機関(UNICEFなど)や専門機関(WHOやFAOなど)があり、それぞれの機関は自分たち組織の目的と役割にあった活動を行っています。現在のガザ地区は非常事態にありますから、人道支援が優先されなければなりません。UNICEFの活動の特徴は、現地に入り込んで活動を行ないます。現地で直接リスクにある人々に便益がある活動できるのは、過去に長いあいだ培ってきた経験やスキルがあるからです。UNICEFのこのような非常事態での役割は現地の人々の生存に不可欠です。
日本の国連への拠出と人道支援
日本は、その国連への拠出額からみて非常に重要な国連加盟国の一つです。この拠出は国民の税金から賄われており、その額は国民が注視すべき重要な要素となっています。日本政府が国連に対してどの分野において拠出するかを注意深く見守ることで、あなたもまたガザ地区の人道的支援に参加していると言えるのです。
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