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製造管理はリスクベースで考える【製薬会社での働き方】

どうも、かずっくです。
先日同僚から、「どのように考えながら仕事をされていますか?」と質問されました。

わたしの答えは「リスクベースで物事を考えること」。実際、製造管理において重要な考え方だと思います。

この記事ではリスクベースをもとにした製造管理の考え方について、深掘りしたいと思います。

あらゆるリスクを考慮する

我々がつくる医薬品は、患者さんの命に直結しています。間違ったつくり方をしたり、別の製品の混入を許せば、患者さんの健康を害し、最悪命を奪うことにもなりかねません。

さらに医薬品は、少量ならばくすりでも、多量に摂取すれば毒になります。医薬品をつくっている作業者はくすりの有効成分を大量に扱っているわけで、もし誤って摂取してしまうと健康を害しかねません。

万が一にも、患者さんや作業者の健康を損なうことがあってはならない。そのためには、あらゆるリスクを考慮した製造管理が求められます。

例えば、次のようなことが挙げられます。

・作業者が原料に直接触れないための対策は?
・どうしても触れてしまうなら、他にどんな対策ができる?
・異物や菌が入らないための手順は?
・前製品の残留はどの程度なら許容できる?
(残留をゼロにすることは現実的ではない)
・使ってる計器の値は正しい?確認方法は?どう保証する?
・使用した設備をどうやって洗う?洗えた保証はどうする?
など

これら1つ1つの疑問に、根拠をもって回答する。根拠は各国の医薬品ガイドラインや書籍・論文などからエビデンスを取ったり、場合によっては検証してデータを取ることもあります。

現実的な運用も視野に入れる

一方で、ガチガチのリスクベースで考えてしまうと、管理が厳しくなってしまいます。実際の運用を考えた時に、作業者の動きに無理が生じたり、コストが大きくなるといった弊害があります。

例えば使った設備を洗うとき、リスクベースならば何回も何回も洗うことになります。ですが何回も洗うとなると、その分洗浄水(場合によっては薬品や有機溶媒)や人手が必要になります。実運用的には、なるべく少ない回数で洗い終えたいところです。

ですので、あらゆるリスクを考慮するものの、運用に無理のないところに落とし込む。リスクと実運用の上手いバランスを取るのが、管理の難しさであり、面白さかなと思います。

日頃から製造の「なぜ?」を考える

リスクベースでの考え方を身につけるには、日頃製造する中で「なぜ?」を見つけて解消することが大切です。

製造作業は1つ1つに必ず理由があります。日頃の作業を当たり前と思わず、疑問を感じたら先輩や上司に確認してみましょう。

・なぜその順番で原料を入れるのか?
・なぜ混ぜるスピードはそれなのか?
・今している点検は、何のためにやっているのか?
・なぜ設備はほとんどステンレス製なのか?
(医薬品の製造設備はステンレス製がほとんどだと思います。)
・なぜ窒素とプラントエアーを使い分けているのか?
・なぜ製造エリアに時計が1つしかないのか?
 複数あるなら、なぜ複数置いていいのか?
・なぜ頻繁に部屋の清掃を行うのか?
など

これら疑問を1つ1つ解消していくことで、製造まわりの知識やリスクの考え方、運用とのバランスの取り方が身についていきます。毎日の作業に疑問をもつことから始めれば、より高度な仕事を任されるようになりますよ。

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