サッカークラブのつくりかた #1 「TOKYO CITY F.C. 立ち上げ」編

※この記事は2014年10月8日に書いた記事をnote用に再編集したものです

2014年も10月になり、公私ともども色々あったのですが、プライベートなところではTOKYO CITY FC というクラブを立ち上げたことがとてつもなく重要な意味をもち、新たな彩りとなりました。

今後TOKYO CITY FC がどのようなクラブに育っていくかはまだ分かりませんが、なんとなくこのタイミングで立ち上げの経緯や想いみたいなものを記しておく事が、後々意味を持つ気がしたので、ここにつらつらと書くことにしました。

「サッカークラブをつくろう」と思っている方にはちょっとだけ参考になるかも?

めーっちゃ長くなってしまったのでお暇な方だけ読んで下さい><(笑)


①やる気になる

キッカケは本当に些細なことでした。

去年の年末。 「忘年会をしよー!」といつものように渋谷に集い、たらふく飲んだ翌日に、 よくつるんでいる仲間の、某スポーツチームで働く宮本涼平と某スポーツブランドで働く田口文也と一緒にフルコートのサッカーに参加しました。 (前日の飲み会も同じメンバーだったけど。笑)

それ以前にフルコートでやるサッカーに参加した時のことを覚えていないくらい久しぶりだったのですが、 それがもう楽しくて。楽しくて。 スルーパスに抜け出す感じとか、ダイレクトで展開する感じとか、クロスに飛び込む感じとか。

実は小学4年生までしか真剣にサッカーをしていなかった(中学は野球・高校は色々)ので、 フルコートでガッツリとサッカーをやるのは、それはもう15年ぶりくらいだったわけですが、めちゃめちゃ楽しかったんです。

終わったあとに、いつも飲んでばっかりだけど(本当に飲んでしかいなかった…汗)、「こういう風にフルコートで定期的にサッカー出来たら最高だね」という話で盛り上がり、 「ちょっとクラブ作ってみるか!」となったのでした。


②チームコンセプトを決める

ということで、クラブを作ることに決めたのですが、この時点でメンバーは自分を含めて前述の3人です。

最低でも11人はいないと成立しないため、メンバーを募らなければいけないのですが、そのためにはどんなクラブにするかある程度固めていないと、募りようがありません。

最初に考えるべきことは『どんなクラブにしたいのか』というざっくりとしたコンセプトです。ちょうどその頃、仕事的にも物凄く気になるニュースがありました。

『サッカー界の最注目スタートアップ?New York City FC 動き出す』http://thesportsbusiness.jp/archives/980

『NEW YORK CITY FC』 というクラブ。 聞いたことのある方も多いかもしれません。どんなクラブで、どんな仕組みになっているのかということはここでは触れませんが、なんかもうやっていることがカッコ良すぎて…。

当時はまだチームとしての全体像が明らかになっていないにも関わらず、サイトを見たり、配信している映像を見たりするだけで「ワクワク」するのです。NYという土地柄なのかもしれないけど、アウトプットがそれはもうカッコ良く見えて。

それはそれは羨ましかったわけです。 (何に対して何が羨ましいのかは謎なんですが「羨ましい」という感情でした)

ということで、どうせクラブを作るのであれば、「プレーヤーも、応援してくれる人も、クラブに関わる人全てが、ワクワクできる」 そんなクラブを作ろうと思い、お名前をちょっと拝借して、 TOKYO CITY F.C.というクラブの立ち上げを決めました。

かっこよくて、ワクワクする、そんなクラブを目指して。


③メンバーを募る

このようにしてチーム名が決まり、チームが目指す方向性もなんとなく決まりました。次にやることはメンバーを集めることです。チームの立ち上げはここが一番大変でしょう。ここで躓くと絵に描いた餅で終わってしまうので慎重に進めました。チームが目指している方向性だったりに共感し、 そんなチームを作りたいと思ってもらい、なによりワクワク感をもって参加して欲しいと考えていたので、 わかりやすく先走ってHPを作ってみました。

そしてもう一点、 メンバー募集に際し、”ゆるく”ではありますがあえて条件を付けてみました。『スポーツビジネス』『スタートアップ』『IT』。 これらキーワードに関連する人たちという一応の括りをつけました。

これは、この後の部分にも関わってくるのですが、ワクワクするクラブにしていくためには、 サッカーをするのは勿論、オフザピッチでもワクワク感を生み出すような仕掛けをしていきたいと思っていて、そのためには、スポーツの価値を理解していて、フットワーク軽く、スピード感があり、前向きな人たちと一緒にクラブを作っていきたいと思ったので、このようなキーワードに限らないことは百も承知ですが、自分が置かれている環境・育って来た道・思考性を考えた上で、 あえてこのような条件をつけることにしました。

そして作成したHPとともに、言い出しっぺメンバーとともにFacebook上で友人へ呼びかけると、 いきなり30〜40人近くの人から「やりたい!」との反響が。


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④参加リーグを決める

ここまではビックリするくらい順調に来ました。正直圧倒的に想定を上回るほどの反応だったのですが、「やっぱりサッカーしたいけど出来ていない人が特に若者の中では多いんだな」と感じたのを覚えています。

ということで無事にメンバーも集まり、Facebookグループをつくり、何度か民間業者が主催している大会へ参加しながら徐々にチームとしての活動を始めつつ、4月の新年度から本格参戦出来るリーグのリサーチをはじめました。

民間業者主催の単発の大会なんかに定期的に出れば、 それはそれでそれなりに楽しいでしょうが、理想としてはどこかの都道府県市区町村リーグに加盟して、“オフィシャル感を感じながら”シーズンを戦いたくて、 加盟出来るリーグを探す日々となりました。

ところが、これが大変でした。

今思えば初めから『都リーグ』に参戦しても良かったのですが、当時は『都リーグ』のレベル感も分からず、ましてや参加するリーグを探す段階でメンバーの大多数は圧倒的な運動不足状態(笑)で、都リーグ参戦は頭にあらず。

ということで『区リーグ』への参戦を検討することとなったのですが、これが一苦労。自宅のある区では、参加チームが現状限られていることから新規チームを受け入れてもらえず。。

かといって新規チーム受け入れをしていれば、どこの区でも良いという訳ではなく、大抵の区は『在住・在学・在勤が50%以上』ということが条件となっており、 必然的に選択肢が限られます。

そんな中で、なんとか条件にあったのが『世田谷区リーグ』後から聞いた話ですが、世田谷区リーグは社会人サッカーの加盟チームが市区町村単位では最も多いとか?(小耳に挟んだ情報なので本当かどうかは知りませんが…)

毎年新規加盟チームを募集しているようなのですが、コンタクトをとったのは期限ギリギリのタイミング。ここから加盟のための手続きが始まります。


⑤加盟手続きを進める

加盟に必要な手続きは、 リーグを主催する各市区町村によって異なるでしょうが、世田谷区の場合は大まかなステップとして3つ。

(1)メンバーリストの提出 (2)保険加入 (3)加盟料の支払い

(1)の『メンバーリストの提出』時に必要な情報は、『氏名、生年月日、居住地、在住・在学・在勤を証明出来る書類、審判資格証の写し』といったものでした。「大したことないじゃん!」と思うかもしれませんが、 メンバー全員分(うちの場合初期は30人)の情報をもらおうと思うと一苦労です。公式戦に選手登録するメンバーが決まった後は(2)の保険への加入をしなければなりません。

そして(3)の加盟料の支払い。

金額は各リーグによって様々ですが、 たいていのリーグでは『チーム加盟費+個人登録費』という料金構造が多いようです。保険料と合わせ、TOKYO CITY FC の場合は総額でいうと12〜13万円という所でした。この辺りからチームとしての出費が増えてくるので、年間の活動費の徴収は早めに行っておくのが無難です。

とは言うものの、初年度はユニホームを制作したり、年間を通した経費が幾ら掛かるかも分からないので、一人当たりはちょっと余裕を持った金額の設定にするのがおススメです。理想はなるべく早い段階から選手の負担額が少なくなる状態を作りたいのですが、 初年度はそうもいかずに部費という形で集めることにしました。


⑥ユニホームの制作

加盟手続きが順調に進み、いよいよ事前準備で一番楽しみなユニホームの制作となります。参加メンバーをこだわると、こういう所でクオリティの差が出だします。 スポーツブランドで活躍する名デザイナーたちの提案でまずロゴが決まりました。そして、イメージカラーなども決まっていき、 それらをもとにユニホームを考えることに。

ぶっちゃけた話、 カッコいいなんてというものは主観的なもので、どうしても自己満足になってしまう部分もあるのですが、ホームユニホーム・アウェイユニホームともに”拘り抜いたユニホーム”が完成しました。

特にアウェイユニホームは珍しいようで、色々な大会に出ると敵チームの方から声を掛けられたりもします。「それ買いたい!」との声もちらほら貰えるほどに。出来て1年目のアマチュアチームにそんなオファーがあるなんて、お世辞だとしても嬉しいです(笑)


⑦いよいよ開幕!!

こうして事前準備が整い、あとはいよいよシーズン開幕を待つのみです!世田谷区リーグは前述したように加盟チーム数がとても多く、 リーグは4部構成となっています。そもそも世田谷区リーグの日本サッカー界における立ち位置を説明しておくと、ピラミッドの頂点にJ1があり、J2・J3が続きます。 (正しくは別のピラミッドですが…)その下にJFLがあり、 『地域リーグ』→『都道府県リーグ』と進みます。

実はピラミッド構造はここまでで、 区リーグ1部を優勝したところで、都リーグに昇格するわけではなく、 あくまで別軸ではあるのですが、分かり易くするため『都リーグ』の下に『世田谷区リーグ』があると考えると、J1から数えて世田谷区1部リーグはなんと『11部』

そして世田谷区リーグでは新規加盟チームは最下部リーグからのスタートがルールとなっているため、TOKYO CITY FCは世田谷区4部からのスタートとなりました。

実にJ1から数えて『14部』!!

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(全国社会人サッカー連盟HPよりお借りしました。)

ということで、そんな14部リーグ、『世田谷区4部リーグ』の開幕戦が迫ります。開幕戦は勿論勝利で飾りたいのですが、 それよりもまずは、参加するメンバーが『ワクワク』した状態で開幕戦に向かうことが大事です。

ということで、HP上でこのようなキャンペーンを実施したりし、気分を盛り上げます。

「Opening Day キャンペーン」実施のお知らせhttps://tcfc.jp/news/detail/id/402


そしていよいよ開幕です。

試合は水物なので、どうのこうのは言いませんが、開幕戦は3-0の快勝スタート!

なんだかんだ言っても、やはり勝つことは自信になり、次へのワクワクに繋がっていきます。

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開幕してからは本当にあっという間でした。4月に世田谷区4部リーグが開幕し、終わってみれば6試合を戦い5勝1分。

世田谷区リーグでは各ディビジョン3チームが入れ替えとなるのですが、 無事に昇格内定!!となりました。 (正式決定は翌年の参加チーム数の具合をみながら決まるそうです)

そして世田谷区リーグでは、 通年のリーグ戦以外に、全Divチーム参加のカップ戦『世田谷区区民体育大会(通称コパセタガヤ)』がリーグ戦と同時並行で開催されます。TOKYO CITY FC はリーグ戦で唯一引き分けてしまった「Rev SC」との初戦を制し、2回戦も2部の強豪チームに勝利。

ベスト8まで駒を進め、いよいよ次は1部に所属するチームとの対戦となりました。

次戦は10月26日(日)10時15分キックオフ

http://tcfc.jp/game


⑧次なるステージへ


ということでクラブが立ち上がり、 約半年かけてピッチ上ではそれなりのカタチになってきました。

そうなるとクラブ立ち上げ時の思いであった「ワクワク感」を更に追い求めたくなってきます。

クラブを立ち上げる時に特に思っていたのが、TOKYOならではの方法論でクラブを盛り上げていきたいということです。そして、どうせやるなら、自分達のような若い世代がよりサッカーを好きになるような、そんなキッカケを提供できるようなクラブにしたいとも思っていました。

東京にはご存知のとおり、Jクラブが2つ存在し、下部カテゴリーにも幾つものクラブが存在します。各クラブがそれぞれ素晴らしい取り組みをしている中で後発のTOKYO CITY FC の役割とはなんでしょうか?

別にプロチームであるわけでも無いし、ましてや作り立てのチームが役割を考えるなんて大変おこがましいのですが、スポーツビジネスの世界で育って来た身としては、自分のやることなすこと全て、ライフワークとして、スポーツを通じて世の中を良くしていきたいという思いがあり、仲間たちと徹底的に議論を重ねました。

結果、 TOKYO CITY FCでは『PLAY new FOOTBALL』『PLAY new TOKYO』という2つのキーワードに基づき、TOKYO CITY FC のフィロソフィーを体現しようと考えています。

サッカーには色々なサッカーがあります。ワールドカップで行われるサッカー、部活でやるサッカー、公園で自然発生的にはじまるサッカー、学校の廊下で怒られながらやるサッカー(笑)。どれも同じサッカーです。そして誰しもがサッカー(スポーツ)を始めた原点は「遊び」です。だからこそTOKYO CITY FCでは、心から楽しくなるような、遊びの選択肢として「サッカーをすること・見ることが最高」だ、 そんな風に思えるような場所を作っていきたいと考えるようになりました。

東京にも同じことが言えます。サッカーは遊びです。娯楽です。そして東京には色々な娯楽があります。 熱中出来るものが色々あります。映画・舞台・テーマパーク・居酒屋・クラブ…(仕事もそのうちの一つかもしれません)だからこそTOKYO CITY FCでは、心から楽しくなるような、娯楽の選択肢として「サッカーをすること・見ることが最高」だ、 そんな風に思えるような場所を作っていきたいと考えるようになりました。

特に若者たちにとっての。


ということで、クラブが立ち上がってから半年と少しが経過し、 次第にやれることの幅が広がってきました。

TOKYO CITY FCではこれからも、 様々な仕掛けを行っていくつもりです。

自分よりもサッカーが上手い人ばっかりで、スピード感をもって仕事が出来る人ばっかりで、早くも自分の仕事が雑用メインになってきたのですが、優秀な仲間たちと好きなことに熱中している瞬間は何にも代え難い財産です。

冒頭にも書きましたが、 TOKYO CITY FC というクラブを立ち上げたことが、自分の中でとてつもなく重要な意味をもち、新たな彩りとなりました。

今後TOKYO CITY FC がどのようなクラブに育っていくかはまだ分かりませんが、クラブ立ち上げ時の思いを忘れず、「ワクワク」を大切にしていけば、更なる「ワクワク」と出会えそうです。

スポーツは社会が抱えている課題を解決するツールとしてとても有効です。だから自分はスポーツビジネスの仕事をしています。

今回ブログにこのような記事を書いたのは、意外と多くの人が「サッカーがしたいけど出来ない」状態にいるのではないかと感じたからです。

『サッカークラブのつくりかた』という大それたタイトルの割に大したノウハウを記せていないかもしれないですが、だからこそ逆に、「なんだサッカークラブって簡単に作れそうじゃん!」と一人でも多くの人に思ってもらい、

今まで以上に多くのクラブが立ち上がることで、人々が健康になり、刺激的で楽しいコミュニティが増えれば、世の中がちょぴっと良くなりそうじゃないですか?

自分はそう思っています。

サッカーじゃなくてもね。


ということで、誰が見ているのか分からない個人ブログで、 好きなことをざざーっと書いてみましたが、たまたまこのブログを見て頂けた方は、 どうかひとつTOKYO CITY FC をよろしくお願いします!

次の更新はいつになるかな〜

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