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気温には棒グラフを使わない - データ可視化ミニ講座(7)

棒グラフと折れ線グラフは似た表現方法です。しばしば交換可能なものとして使われる両者ですが、使うべきポイントには違いもあります。

代表的な例が気温です。気温は棒グラフではなく、折れ線グラフで表現するのが正しいです。

そもそも棒グラフは、棒の長さ(≒ 棒部分の面積)の比率と数値の比率を対応させることで視覚的に数値を比較するものです。したがって、数値が2倍なら棒グラフの長さも2倍になります。棒グラフにおいて、縦軸を省略してはいけないのはそのためです。

しかし、気温において「X倍」に意味はありません。気温が10℃から20℃に上がっても「10℃上がった」とは言いますが「2倍の暑さになった」とは言いませんよね。気温とは、水が凍る温度を0℃、水が沸騰する温度を100℃とする相対的な指標です。気温がマイナスになることはしばしばありますが、これは本当に何かがマイナスになっている、失われているのではなく、水が凍る温度=0℃より気温が低いだけです。「借金」や「赤字」のように本当に何かがマイナスになっているわけではありません。

したがって気温を表現するときは、棒グラフではなく折れ線グラフを使います。

気温のように、「X倍になった」と言えないものを統計学では「間隔尺度」と呼びます。他の例として偏差値があります。「偏差値が1上がった」とは言いますが「偏差値が1.5倍になった」とは言いませんよね。ちなみに「X倍」が言えるものを「比例尺度」といいます。給料、体重、テーブルに乗っている団子の数、などなど。これらは棒グラフで表しても大丈夫です。

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