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A.ドヴォルザークについて 7 弦楽セレナード第2楽章編

第2楽章へ突入です。

第2楽章 テンポ・ディ・ヴァルス 嬰ハ短調 4分の3拍子 三部形式

ワルツ
ワルツA 1〜20小節(40)リピートあり
ワルツB 21〜54小節(64)リピートあり
ワルツA 55〜76小節(21)リピートなし

トリオ
トリオA 80〜119(78)リピートあり
トリオB 120〜139(27)一部リピートあり
トリオC 140〜165(25)リピートなし
トリオA 166〜205(39)リピートなし

ワルツ(センツァレペティツィオーネ 繰り返しなしで)
ワルツA 1〜20小節(20)リピートなし
ワルツB 21〜54小節(28)リピートなし
ワルツA 55〜76小節(21)リピートなし

ワルツ → トリオ → ワルツ
という三部形式で、それぞれの中で、さらに細分化されています。 


それではまずワルツの先頭の調合を確認しましょう。シャープが3つ。

シャープ3つだったら嬰へ短調(fis-moll)じゃない?でも曲は嬰ハ短調(cis-moll)です。実際に4つ目のシャープになるはずのレのシャープ(Dis)の音が臨時記号でついてますね。だったら最初からシャープ4つつければいいのに・・・。
なんでこんな書き方をしたのだろう。ワルツBはイ長調(A-dur)です。なので21小節めからシャープ3つの調なのでここからはこの調号に合っております。こっちの方が弾きやすいと思って、最初の表記を嬰ハ短調(cis-moll)だけどシャープ三つにしたのかも知れません。

重要なのはこの転調方法。到着したC#のハーモニー(ド#、ミ、ソ#)がここではソ#がなく、ド#とミだけ。これでも調性感としては良いのですが、このソ#がない事で、まるでド#、ミ、(ラ)だったとして捉えると、ラ、ド#、ミの世界に飛んで行くことができる。しかし聞いている方からすると突然世界が変わるようなイメージがある上に、16小節間もイ長調(A-dur)の属音であるE7の和音で攻め続けるので、緊張感が続きますし、37小節目のイ長調(A-dur)の主音に来た時の喜びは計り知れません。そして、結構むづかしいのですここ・・・。


さて、トリオ

このトリオA、変二長調(Des-dur)、素敵なメロディです・・・。
ドヴォルザーク先生の力が発揮されております。

このトリオAの後半から、このセレナードの特徴、前回の1楽章でもお話した、
カノン短三度転調がここでも!

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赤の部分は追っかけカノンです。そして、青の部分が短三度転調。だけど少し凝ってて、D♭をC#に読み替えさせてからの短三度転調なので、フラット系からシャープ系に行くので、タトゥイーンからオルデランくらいの距離感があるというわけです。

トリオの中間部はトリオ動機の展開と、ワルツの最後に登場する動機を利用して、この楽章の中で一番激しいff、marcatissimoを越えて、トリオAに戻ります。そして再びワルツへ回帰します。

構成自体は簡潔ですが、細かいところにドヴォルザークの技巧が目立つ、そして何と言ってもドヴォルザークらしいメロディがたまりませんね。

演奏のポイントは、やはり突然の世界が変わるところにお気をつけ、かのんは台詞の言い方に気をつけてくださいw 5回で触れていましたね!


さて、次回は3楽章に進みます!


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