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A.ドヴォルザークについて 5 弦楽セレナード編

さて、いよいよ5回です。焦らしまくりですが、4回の復習です。

何と言っても
オーストリア文化教育省が提唱した国家奨学金ですよ。
これはチェコにも適用されたために、ドヴォルザークが1874年から5年連続受賞することができました。初受賞後、大張り切りで作曲に力が入ります!

弦楽五重奏ト長調Op.77
モラヴィア二重唱曲集Op.20
ピアノ三重奏曲変ロ長調Op.21
弦楽セレナードホ長調Op.22
ピアノ四重奏曲ニ長調Op.23
交響曲第5番Op.7(旧番号はOp.24)
オペラ「ヴァンダ」Op.25

名作続く1875年。本日はこの中で、弦楽セレナードホ長調Op.22について解説します。

この曲の誕生背景として、奨学金を受賞し、大金を手にした事により、気持ち的にはイケイケ。それはこの曲にも現れているかもしれません。

例えば、第1楽章はソナタ形式ではなく、より自由な三部形式で書いているところからも伺えます。そして、まあ、どちらかだけ入れることが多いですが、ワルツとスケルツォを両方入れてしまうし、第4楽章ではお得意のドゥムカ。そして、第5楽章フィナーレでは舞曲的なロンド形式のアレグロヴィヴァーチェ。弦楽合奏曲といえばチャイコフスキーの弦楽セレナードが有名ですが、ドヴォルザークの弦楽セレナードも同じくらい人気があると言っても過言ではないかもしれません。

それでは始まります。


弦楽セレナードホ長調Op.22について

作曲 1875年(33歳)
初演 1876年12月10日 
演奏 プラハ 仮劇場管弦楽団とドイツ劇場管弦楽団合演奏
指揮 アドルフ・チェフ
出版 1877年(ピアノ連弾譜)プラハのスタリー社
   1879年(原曲)ベルリンのボートウントボック社
   自筆譜所有者 プラハ在住ユリエ・ドヴォジャーコヴァーさん
編成 弦五部
演奏時間 約27分

第1楽章 モデラート ホ長調 4分の4拍子 3部形式
第2楽章 テンポ・ディ・ヴァルス 嬰ハ短調 4分の3拍子
第3楽章 スケルツォ ヴィヴァーチェ へ長調 4分の2拍子
第4楽章 ラルゲット イ長調 4分の2拍子 3部形式
第5楽章 終曲 アレグロ・ヴィヴァーチェ 嬰へ短調ーホ長調


まずこの曲の最大の特徴、それは、カノンです。全楽章通してです。

カノンとはなんぞやと。それは追っかけです。日本語だと追復曲というらしい。。(知らない。。。)

第1楽章    冒頭からいきなり第1主題を追っかけ画像1


第2楽章    中間部トリオで追っかけ(トリオ主題で)画像2


第3楽章    いきなりカノン。追っかけ開始。
画像3


第4楽章    主題2回目の時追っかけ。1回目よりヴァリエーション加える。
        再現部では最初から追っかけです。画像4

第5楽章    こちらも頭から正確に追っかけ画像5


全楽章通してカノン使いすぎ感は否めませんが、別れて追っかけしていた部分が一つの音楽に戻っていく美しさを堪能して欲しいですね。また、ここでみなさんは、そうなんだ、追っかけてるんだ、へー。

で終わらず、カノンをぜひ楽しんでトライして欲しいのです。そう、あの日あの時カエルの歌を歌った時、最初のチームに負けずにより大声で歌い、3番目のチームも負けずに大きく歌ったあの日を!

ダイナミックスは守りましょう。決して強さの問題ではありません。1楽章で言えばセカンドヴァイオリンが歌った歌、言葉を、チェロが優しく返すのです。この最初の4小節だけでたくさんのドラマが作れるのです。

「天気がいいね」「そうだね」
「気持ちい朝だね」「本当にね」
「好きかもしれない」「僕もそうかも」
「愛してるわ」「俺もだよ」

そして、次に考えるのが世界。そう、ここはE-dur。ホ長調。この世界において語られるセリフは何がいいだろう。


って考えるとやるべきことはたくさんあるのです!

作曲家が作った作品は物語。音符は台詞。演じるのは演奏者だとした時に、自分の台詞ばかり棒読みしてしまうのが特に危険なのがカノンかもしれません。

「そうだねー」「本当にねー」「僕もそうかもー」「俺もだよー」

これアウト。

「そうだね^^」「本当にね( ´ ▽ ` )」「僕もそうかも?!」「俺もだよ!!!」

これだけでも違うでしょ。

それでは、次回は1楽章から迫って行きたいと思いますが、更新がそんなに早くないので、せっかくですから、それぞれの楽章のカノンの台詞(メロディ)を調性も意識して考えてみてくださいね!

ではまた!




 

 


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