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A.ドヴォルザークについて 10 弦楽セレナード第5楽章編

さあ、いよいよ最後の楽章へと来ました。

第5楽章 終曲 アレグロ・ヴィヴァーチェ 嬰へ短調ーホ長調
ロンド・ソナタ形式

ロンド主題A  1〜30小節 (30)
Bテーマ   31〜46小節 (16)


ロンド主題A 47〜 85小節(39)
Cテーマ   86〜157小節(72)

4楽章のテーマが入った経過部 158〜173小節(16)

ロンド主題A 174〜199小節(26)
Bテーマ   200〜286小節(87)
Cテーマ   287〜342小節(56)

1楽章のテーマが入った経過部 343〜357小節(15)

ロンド主題Aコーダプレスト 358〜392

最後の楽章は普通は第1楽章の調性と同じ、回帰してくるのですが、ドヴォルザークは遠隔調のfis-mollから始めます。しかしロンド主題を上手く利用し、3回目のロンドではH-durまで戻って来ています。H-durはE-durの属調ですね。

そして、1楽章を完全に回帰させてからの、プレストコーダ!第1楽章に回帰することにより、調性もE-durに戻り、満を持してE-durデコーダを演奏して終わるという仕組み!

ここでもカノンが光ります!

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 ロンド主題はカノンとともにあり!

Cテーマの激しい技巧を駆使した後に局長が静かになってくると、思いがけないテーマが・・・。

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そうです、4楽章の主題が!!!

束の間の16小節間、あっという間にロンド主題へ戻ります。ここからの3回目のロンド主題は調性が属調のH-durになっています。いよいよ主調のE-durに一直線だ!そしてBテーマ、Cテーマを超えたその先に・・・。

何と

1楽章の完全回帰!

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そして、1楽章が完全に終わった後、怒涛のプレストで、そして主調のE-durで、駆け抜けます。

ありがとうドヴォルザーク。ありがとう弦楽セレナード。


よく三大弦楽セレナードと言われたりしますが、エルガーは1892年、チャイコフスキーは1880年、そして、ドヴォルザークが1875年ということを考えると、この曲が先駆けであることがよくわかります。エルガー、チャイコフスキーだけでなく、同時代のグリーグのホルベア組曲や、ドヴォルザークの弟子だったスークの弦楽セレナードもこの機会にぜひ聴いて頂ければ、弦楽合奏の魅力にハマるかもしれません!

弦楽セレナードの解説に最後までお付き合いくださりありがとうございました!



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