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【第1話】営業批判していたら、じゃあやってみてよと言われたときの話

私は少しイラついてました。

その会社と出会ったのは約1年半前。

上場に向けたバックオフィスの構築をお願いしたいと言われ、
仕事をさせていただくことになりました。
私と私の信頼しているパートナー2名の計3名で上場に向けてバックオフィス、特に経理を中心に構築していくことになりました。

当初は売上と利益の成長率が高く、
今期も利益が3,000万出ているので、
最短3年で上場したい、
そのためのバックオフィスを作ってほしい、
というのが社長のオーダーでした。

なるほどなるほどと思いつつ試算表、帳簿のチェックをし始めたら間違いだらけ。

顧問税理士と顧問税理士事務所出身者が作った記帳代行業者がミスだらけで、
社内に経理経験者もおらず見抜ける人もいなくて、
3,000万の利益じゃなくてマイナス300万の赤字が正解でした。

社長、上場支援顧問、会計顧問、株主はビックリ。

ここで社長と打ち合わせ。

上場に向けてバックオフィスの構築は必要なことだけど、
それよりも今は事業の立て直しの方が急務ではないか、
バックオフィス構築に予算を振るのは一旦やめて事業の立て直しにコストを割くのはどうか、

つまり、私たちの契約を解約してもらった方がいいのではないか?という提案をしました。

社長の判断はGOでした。

「事業は私たちで立て直します。小野さんは引き続きバックオフィスの構築を進めてください。」

「はい、分かりました」

といってバックオフィス構築を進めました。

ご存知の方も多いかと思いますが、
IPOに向けたバックオフィス構築って結構体系化されてます。
社内の承認や浸透などのコミュニケーション的な調整ができて、
一定の知見があれば割とできちゃいます。
やれる人が少ないので高騰しちゃってますけどね、人材が。

私含め私のチームは10年以上この業界にいるので、
バックオフィス構築は時間の経過とともにどんどん進んでいきました。

その間にも上場支援顧問の方が決めた監査法人さんによる監査に向けた動きが少しづつ始まりました。

N-3のタイミングでしたがレビューいただいたものは基本的にOKもらっており、
N-2、N-1までに構築すべき体制づくりまで着手を始めていました。

ここまでが約半年です。

バックオフィスの体制作りがどんどん進む一方で、
事業面の改善はあまり芳しくないようで売上は伸びず、
キャッシュはどんどん目減りしていました。

このころから契約内容を超えて、
事業へも少しずつ口出しさせていただくようになりました。

社長からも単にバックオフィスを構築する責任者としてだけでなく、
事業管理のアドバイスももらいたいと言っていただけるようになり、
経営会議などに参加するようになりました。

資金繰り表を作り、
予測資金繰り表を作り、
会社の3ケ月後、半年後の未来が見えるようにして、
営業や資金調達の強化を提案しました。

このままでは3ケ月後資金ショートしてしまいますよ、
という発信をさせていただき、
社長含め各部門長を集め危機感の共有と危機脱出のためのアクションの確認、その進捗確認など進めました。

地道なコミュニケーションを続け、
社長をはじめ各部門長の頑張りもあり、
何とか毎月黒字で少しずつキャッシュが貯まる会社になりました。

すごい良い会社になったな、
上場を目指さない普通の中小企業だったら立派な会社だな、
と思えるくらいになってきました。

これが契約して1年半ぐらいの時です。

この期間、一番改善が進まなかったのが営業チームでした。

経営会議で少し話すぐらいの関係性だった営業部長は、
私から見ると全然やる気がないように見えました。

一般的に言われているような営業管理も全然しないし、
出すべき営業報告書も期限までに出さないし、
遅れて出してきた報告書も間違いばかり、
営業目標を達成できないのは当たり前で、
新規営業獲得ゼロ件の月も普通にありました。

社長が直接テコ入れに入ったり、
外部から〇通信の役員をやっていたらしい方をコンサルで入れたり、
大手出版社出身で広告営業をしていた方をコンサルで入れたり、
その会社でやれそうなことは結構やってました。

営業事務入れたり、
人員を増やしたり、
給料上げたり、
役職上げてあげたり。

社長は社長なりにやれることを手当たり次第試行錯誤していました。

でも結果は出ませんでした。

すっかりバックオフィス構築は落ち着いてしまっていたので、
ルーティンの業務を運用代行しているだけで一定の報酬をいただける状況になっており、
当初契約からの予算の減額を申し出たり、
そもそも契約の休止なども提案してました。

営業が伸ばせない限りは上場に必要な業績を達成できないので、
不相応にしっかりしたバックオフィス体制とバックオフィス予算は釣り合っていないと感じてました。

まずは私の分の契約から終了いただく旨を社長に提案し、
私の性格と意図を理解している社長も呑んでくださいました。

その際に伝えたのが私なりの仮説の営業の改善方法です。

正直、少しイラついてました。

営業コンサルの方が着手する問題は、
私からみると本質的な課題の改善にはつながってなくて、
表面的な部分だけ綺麗にしているようでした。

とはいえ私は営業未経験なので様子を見ていただけだけでした。
営業の世界で上位に上り詰めて、経験豊富な方がやっている横から、
営業未経験のやつが営業改善の提案するって普通イカれてますよね。
なので我慢してみてました。

最後の最後に、最後だからと思って伝えました。

問題の本質、その解決方法を。

段々と営業コンサルの方々への批判も入ってしまっていたと思います。

結果も出ないくせに高い報酬持っていきやがってって。

話を最後まで聞いてくれた社長が一言。

「小野さんやってもらえませんか??」


「え??」


次回につづく。








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