インサイドセールスのプレイブックを作成した理由〜組織拡大に伴い直面した問題と未来に向けた投資とは
こんにちは、カミナシの伊藤と申します!
気がついたらnoteを書くのが1年ぶりになってしまいましたが、私はこの約1年間は「ネクストPMF市場の探索・検証」と直近半年間は「SMB・MMユニットのインサイドセールスマネージャー」を担わせていただいています。
本記事では、後者のマネージャーとしての役割の1つとして実施した「インサイドセールスのプレイブックの作成」をテーマに、作成に至る問題意識や作成目的などを、赤裸々に公開していきたいと思っています。(後者のネクストPMF市場の探索・検証の内容も、別途noteを書こうと思っています)
インサイドセールスのリーダー / マネージャーとしてチームの育成に注力していきたい
成長し続けられる組織づくり / 仕組みづくりをしていきたい
インサイドセールスのイネーブルメントの事例を知りたい
上記のような思いを感じられる方々のお役に立てたらと思っています。これが正解というものではなく、もっと良い方法を探している最中ではありますが、どなたか1人でもお役に立ったら良いなと思います。それでは早速、以下にまとめていきます。
はじめに
自己紹介
新卒で教育系コンサルティング会社に入社し、上場大手企業の人材育成支援に従事。その後HRTechのSaaSスタートアップに5人目社員として入社。創業期メンバーとして事業拡大を推進、マーケティング・営業責任者を担当。2021年12月にカミナシに入社し、入社後は約1年間SMBドメインのフィールドセールスを担当。2022年10月からインサイドセールスチームに異動し、エンタープライズ企業開拓の立ち上げの後、SAM拡張のためのネクストPMF市場の探索・開拓を担当。現在はインサイドセールスのSMB・MMユニットと新規業界開拓ユニットのユニット長を担わせていただいています。
カミナシのインサイドセールス組織
カミナシのインサイドセールスチームのミッションや目標などは、弊社執行役員の富澤がインサイドセールスへの愛を語っている素敵な記事があるので、ぜひこちらを読んでください!
そもそもプレイブックとは
ここでいうプレイブックはカミナシのインサイドセールスの勝ち筋をまとめたものになります。内容はカミナシのインサイドセールスのミッションから始まり、必要なマインドセットやスキルセット、コールの守破離、継続的に成果を出すために必要なTips、などなど多岐にわたって言語化され、それをGoogleSlideに体系化しています。
カミナシでは営業部長の島田(SK)がフィールドセールスの「セールスブック」を以前から作成していましたが、インサイドセールスではまだそのようなコンテンツはない状態でした。
そのため、本記事でお伝えするプレイブックとは、カミナシのインサイドセールスにおける内容とご認識をお持ちいただけたらと思います。
プレイブックを作成しようと思った際のチームの状況
組織が約1.5倍に急拡大
事業計画に伴う人材採用で、インサイドセールスチームも概ね毎月新たなメンバーが入社するという時期でした。また本当に有難いことに採用活動も順調に続き、未来も継続して新たなメンバーが入社するという状況でした。そのため常にオンボーディングやイネーブルメントが必要な状況がこの半年間でした。
チームのノウハウ・ドキュメントが点在
オンボーディングのためのコンテンツやドキュメントを整理しようと着手すると、過去に作成された素晴らしいコンテンツはありつつも、格納場所が点在し情報が集約できておらず、せっかく良い内容がありながらも有効活用ができていると言える状態ではありませんでした。ノウハウや情報を一元的に管理・ストックして、活用ができていると言える状況ではないのが当時でした。
チームを牽引するコアメンバーの在籍期間の長期化
チーム拡大の一方で、これまでのインサイドセールスの成果を牽引してきたコアメンバーの在籍期間が長期化しているという状態でした。チーム体制や個人の役割の変更は一部ありながらも、インサイドセールスチームの在籍期間が長くなっている状態です。これは良い悪いの解釈は一切なく、まずは状況としてご認識ください。
当時抱えていた問題意識
同じ説明を繰り返し何度もしている
オンボーディングはもちろんその後のイネーブルメントに置いて、同じ内容を異なるメンバーに何度も説明していて、その度に前提となる情報や、考え方ややり方を口頭で伝えている状況でした。(上述した通り情報が点在しているので、その情報を繋ぎ合わせてマネージャーが補足していました)
もちろんオンボーディング時には説明をしなければいけないことはたくさんあるので、説明すること自体は何も悪くないですし、人数が少数の場合はこれで良いかもしれません。
しかしこれからもメンバーが増加することを見据えると、この状態から脱却しない限り、雪だるま式に伝えることが増えるので、50%はドキュメントで理解をして貰い、大事な部分をマネージャーが口頭で補足する、不明点があれば再度ドキュメントを見て咀嚼してもらうような状態を作りたいと感じていました。
フィードバック内容がモグラ叩きで一貫性がない
カミナシでは「判断に迷ったコール音源」や「応酬で疑問を感じたコール音源」を各メンバーから共有してもらい、自分が音源を確認&フィードバックをする「コールレビュー」という時間を、今年から各メンバーと週に1回ずつ設けています。
コールレビューを開始して1〜2回実施した後に感じたのが「このコールは仮説を持って臨めていたのか?」や「この応酬はxxxの方が良かったのではないか?」のような、その時々に感じたことを場当たり的にフィードバックしていることに気がつきました。
これが悪だとは思いませんが、少なくともチームとしての基準やスタンダードがない中でのフィードバックは、ただのモグラ叩きのようなもので、重箱の隅を突くようなフィードバックになりかねないと思いました。メンバーからしてみても理想やtobeが不明瞭ななかで、その時々のコールの改善点だけ明示されても、本質的な成長は得られにくいだろうなと感じていました。
また自分とメンバーのフィードバックだけではなく、メンバーとメンバーのコミュニケーションのなかでも「Aさんはこう言ってる」けど「Bさんはこう言ってる」のようなことが発生し、フィードバックを貰う側も混乱してしまいます。
それぞれが想いやこだわりを持っていることは素晴らしい一方で、チームとして大事にしたい守破離の守のような基準・スタンダードを設けない限り、人によって伝える内容が異なり、チームとして継続して成果を出し続ける状況は難しくなります。
決して短距離走ではなく長期に渡って成果を出し続けられるチームにするためにも、誰に聞いても大事なポイントがブレない状態・仕組みを作る必要性を感じていました。
既存メンバーの育成〜マーケティングが強ければ、良くも悪くも成果が出てしまう〜
語弊があるかもしれませんが恐れずに言うと、インサイドセールスは職種柄、マーケティングチームが強力であれば、商談を作るという成果は出せてしまうと感じています。もちろんインサイドセールス各自の努力や研鑽によって成果の強弱が付くことや、成果の定義を受注や有効商談などの指標におくことでまた変化はあると思いますが、商談を作るという点にピン留めすると上記のように感じています。
カミナシではマーケティングチームが獲得する新規リードへの対応と、ハウスリストからの商談獲得、BDRで自力での商談獲得と、様々なチャネルでもともと商談獲得はしていましたが、相対的には前者2つの属性の商談が多い状態でした。BDRが凄いという話をしたい訳でもなく、個人的に感じていたのは、現状に満足せずに営業職としてまだまだ先のレベルを1人1人が目指し続けて欲しいということでした。
営業のスキルアップに終わりなどないので、商談が作れているから良い・自分はできると満足せずに、まだまだインサイドセールスとしての高みを目指し続けられる環境を作りたいと感じていました。
プレイブック作成で取り組んだこと
プレイブックの目的
上述のような問題意識を感じていたため、インサイドセールスのプレイブックの目的は以下のイメージとして作成をしています。
インサイドセールスとしての自分の現在地を把握し、何を研鑽したらレベルが上がるかを客観的かつ納得感を持って自覚できる
インサイドセールスに関連する情報を集約し、ここを見ればチームの基準値やスタンダードを概ね把握ができる
カミナシインサイドセールスの守破離の守として、全員がこの情報をもとにフィードバックをし合える内容にする
上記の考え方で、後は個別でコンテンツを次々作成していきますが、かなり胆力のいる作業なので、個人的には週に1回のコールレビューでフィードバックした内容が多いものからコンテンツを作り始める、週に固定時の時間をブロックしてその時間はプレイブック作成だけに投資する時間にする、などの工夫をしながら作成を進めました。
インサイドセールスの成長レベルを定義
プレイブックの作成初期に実施したことは、インサイドセールスとしての成長レベルを定義したことでした。トークスキルが良い悪いだけではなく、SFAの活用習熟度やプロジェクトの推進力など、インサイドセールスという職種で求められるスキルセットは多岐に渡るので、他のリーダーなどとのディスカッションを経ながら必要な要素の言語化を進めていきました。
上記の要素それぞれに対して、以下の図のようにレベル・段階を設計し、スキルマップのようなものを作成しています。これを作ることで「いまxxさんが獲得している商談の大半はyyなので、更にレベルアップするためにこのスキル要素を意識して研鑽していきましょう」などのようなコミュニケーションを取ることができるようになりました。
チームのスタンダードを作る
上記のスキル要素に連動する形式でコンテンツの作成を進めました。また上記と合わせて、ハイパフォーマーが実行している行動を言語化・体系化して、チームの基準となる理想の行動などもまとめています。これまでにハイパフォーマーだけが実行していたコツや工夫を誰でもできる状態にすることで、全体のレベルの底上げやオンボーディングの早期化を趣旨に実施しました。
日常でのプレイブックの活用方法
プレイブックもまだまだ完成している状態ではない前提ですが、現在は以下のようなシーンで活用をしています。
①1on1やコールレビューでのフィードバック
自分とメンバーで週に1回実施する時間の中で活用をしています。「今回のコールではここはできているので、xxxを意識してみるとより良くなると思います」という会話をプレイブックの同じページを見ながら会話して、イメージや認識に齟齬のないようにコミュニケーションを取っています。
②メンターがオンボーディング時に活用
新しい入社メンバーには育成を担当するメンターがいます。そのメンターがオンボーディング時にプレイブックを活用しながら育成や指導を実施することで、オンボーディングの段階に合わせたティーチングができるようになります。メンターの経験ややり方に偏重せずに、チームの1つの基準としてティーチングが可能になっています。
まとめ
ここまで記載しましたが、ここまでプレイブックにこだわった理由は、上述した問題解決のためでもありますが、その他に2つあります。
1つは「カミナシのセールスはそもそも難易度が高い」ことです。マルチバーティカル戦略という戦略を取っているため、同じ行動を繰り返しているだけでは事業の成長に貢献することは難しく、1人1人が圧倒的に成長をしない限り事業の成長は鈍化します。そのために全員のレベルを引き上げ続ける仕組みを作る必要性を感じていました。
また2つ目は「勝ち続ける組織を作る」ためです。カミナシもまだまだスタートアップなので、今後も人員増加や社内異動など、チーム内の人材流動性は一定あると感じていますが、その時々に成果が揺れ動くことなく、安定して成果を出し続けられる基盤を作る必要があると感じていたため、プレイブックの作成に本腰を入れました。
とはいえ、プレイブックもまだまだ発展途上で、むしろようやくスタートラインに立てた状態です。「手を付けられていないがやるべきこと」がまだまだたくさんあります。これからもっともっとコンテンツを充実させて、より強い組織づくりを行っていきたいと思っています。
カミナシのセールスチームは「日本一のSaaS School」を本気で目指しているので、このようなコンテンツを活用して成果を出し、逆にコンテンツを一緒に作っていくメンバーをお待ちしています!
ビジョン・ミッションに想いを持った会社で、事業成長のドライバーになるインサイドセールスに興味がある方、自薦、他薦問わずどしどしご連絡ください!
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