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探究学習の感想をデータで分析!KHCoderを使った共起ネットワーク図の実践

現代の教育において、探究学習は生徒が主体的に学び、課題解決力や批判的思考力を養うための重要なアプローチです。そのプロセスを振り返り、より深い学びを得るためには、生徒の感想や意見を分析し、フィードバックすることが不可欠です。そこで今回、KHCoderというテキストマイニングツールを活用し、生徒の感想文を分析し、共起ネットワーク図を作成してフィードバックを行う実践を紹介します。



1. 探究学習の振り返りとしてのテキストマイニングの重要性

探究学習は、生徒自身がテーマを見つけ、情報を集め、分析し、結論を導き出すというプロセスを含むため、その成果物に対する振り返りは多角的な視点を持つことが求められます。生徒たちが探究活動を通してどのように学び、何を感じたかを明確にするためには、個々の生徒の感想を集約し、全体的な傾向を把握する必要があります。

ここで役立つのがテキストマイニングです。KHCoderのようなツールを使うことで、生徒が提出した感想文のテキストデータを分析し、共起関係を視覚化できます。これにより、生徒がどのようなキーワードや概念を中心に学びを進めたのかを把握し、それを全体の振り返りとしてフィードバックすることが可能になります。

2. 生徒の感想文の提出方法:Teamsでのテキスト提出

今回の実践では、Microsoft Teamsを使用して生徒に探究学習の感想文を提出させました。Teamsは、生徒とのコミュニケーションや情報共有のプラットフォームとして便利で、テキスト形式での提出もスムーズに行えます。各生徒は、探究学習が終了した後、自分の学びや感じたこと、改善点などを自由に記述し、提出しました。このデータを基にKHCoderで分析を行います。

3. KHCoderを使ったテキストマイニングの流れ

KHCoderは、テキストデータの解析に特化したオープンソースソフトウェアであり、特に共起関係の分析に強みがあります。今回の実践では、以下のステップで分析を進めました。

1. 感想文のデータ収集:
Teamsで提出された感想文をテキストデータとしてまとめます。これをCSV形式に変換し、KHCoderにインポートしました。
2. テキストデータの前処理:
KHCoderにインポートしたデータを、不要な語句や接続詞を削除し、分析に適した形式に整えました。これは、感想文中の重要なキーワードを抽出しやすくするためです。
3. 共起ネットワークの生成:
KHCoderを使って共起分析を行い、生徒の感想文内でよく共に出現するキーワード同士の関係を視覚化しました。これにより、生徒たちが探究学習を通じてどのようなテーマや概念に注目していたかが明らかになります。

4. 共起ネットワーク図を用いたフィードバックの実践

生成された共起ネットワーク図は、単なる単語の出現頻度を超えて、どのキーワードが他のキーワードとどのように関連しているかを視覚的に示します。この図を用いて、生徒にフィードバックを行う際には、以下のようなポイントに注意しました。

• キーワードの中心性:
共起ネットワーク図において、中心に位置するキーワードは、探究学習において生徒が特に重要だと感じたテーマや概念を示しています。これをフィードバックの際に指摘し、探究学習の中でどのような点に注目していたのかを振り返ります。
• 関連性の可視化:
キーワード同士の関連性を強調することで、生徒たちがどのように学びを展開したかを説明します。例えば、「コミュニケーション」や「協働」というキーワードが頻出していれば、グループワークや他者との対話が学びにおいて重要な役割を果たしたことが分かります。
• グループごとの傾向分析:
同じ探究テーマに取り組んだグループ内でも、各生徒が異なる視点で学びを進めたことが分かる場合があります。グループごとに異なるキーワードが中心に位置している場合、どのような異なるアプローチがあったかを分析し、共有することで、さらなる学びの広がりを促します。

5. 探究学習の質を高めるための改善点の提示

共起ネットワーク図を基にしたフィードバックは、生徒の探究学習を振り返るだけでなく、今後の学習改善にも役立ちます。具体的には以下の点に焦点を当てました。

• 視点の拡張:
特定のキーワードに偏っている場合、それ以外の重要な視点に気付いていない可能性があります。この点を指摘し、次回の探究学習では多角的な視点から問題に取り組むよう指導します。
• グループダイナミクスの改善:
グループごとのキーワードの違いから、コミュニケーションや協働の質に課題がある場合、その改善策を検討します。特に、リーダーシップの役割や、意見交換の方法について改善点を提案しました。

6. 今後の展望:テキストマイニングによる探究学習の深まり

KHCoderを用いたテキストマイニングと共起ネットワーク図を活用することで、生徒たちの学びの深さや広がりを視覚化し、具体的なフィードバックを行うことができました。このようなデータに基づいたフィードバックは、感覚的なものに頼らず、客観的な視点で学びを振り返る機会を提供します。

今後は、さらに詳細なデータ分析を通じて、生徒一人ひとりの学習プロセスを個別にフォローし、探究学習の質を高めていくことが目標です。また、教員間での共通理解を深めるためにも、テキストマイニングの活用は有効な手段となるでしょう。

まとめ

テキストマイニングを活用した探究学習の振り返りでは、KHCoderを用いて生徒の感想を分析し、共起ネットワーク図をフィードバックに役立てる方法を取り上げました。生徒が提出する感想文を基に、学びの広がりや質を可視化し、それをもとに具体的な改善点を提示できるため、探究学習を深めるための有効な手段です。今後は、データに基づいた振り返りを教育現場でさらに活用し、生徒一人ひとりに合わせたサポートを強化していくことが求められます。

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