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【解説】「同調圧力」が発生するメカニズムからその解決策までを徹底解説【同調圧力の悪魔 PART1】

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◆同調圧力の悪魔 PART1


◇紹介書籍

おはようございます、Kazukiです!
それでは今週もさっそく投稿の内容に入っていきましょう。
今週紹介していく書籍たちはコチラになります。

2023年7月15日にSBクリエイティブさんから発行されました、
山崎雅弘(やまざき・まさひろ)先生の『この国の同調圧力』と、

2023年10月25日に早川書房さんから発行されました、
逢坂冬馬(あいさか・とうま)先生の『歌われなかった海賊へ』になります!
今週はこの2冊を用いて、ある考察を行なっていきます!

◇紹介書籍概要

また今回の紹介書籍たちの概要につきましては、
いつもと同じように下記に詳細を載せておきますので、
もし紹介書籍たちについて気になった方がいましたら、
そちらの方たちはぜひ下記をご覧いただければと思います。

SB新書 624
タイトル 『この国の同調圧力』
著者 山崎雅弘(やまざき・まさひろ)
価格 990円税込
発行日 2023年7月15日 初版第1刷発行
発行者 小川淳
発行所 SBクリエイティブ株式会社
装丁 杉山健太郎
本文デザイン 杉山健太郎
図版デザイン・DTP 株式会社ローヤル企画
印刷・製本 大日本印刷株式会社

『この国の同調圧力』奥付及び裏表紙から引用

タイトル 『歌われなかった海賊へ』
著者 逢坂冬馬(あいさか・とうま)
価格 2,090円税込
印刷日 2023年10月20日 印刷
発行日 2023年10月25日 発行
発行者 早川浩
発行所 株式会社早川書房
印刷・製本 三松堂株式会社
 

『歌われなかった海賊へ』奥付及び裏表紙から引用

◇紹介書籍選出理由

そして今週の投稿に、
本作『この国の同調圧力』と『歌われなかった海賊へ』、
この2冊を選んだ理由になりますが、それがコチラになります!


衝撃のデビュー作『同志少女よ、敵を撃て』に次ぐ第二作目は、
第二次世界大戦時のナチス・ドイツが舞台の扱っているテーマは同調圧力で、
今尚同調圧力が強い日本社会を見つめ直す良い機会だと思ったから!


今週紹介する書籍の一つであります、
『歌われなかった海賊へ』の著者である逢坂冬馬先生の、
デビュー作となる『同志少女よ、敵を撃て』は、

それは紛うことなき大傑作!でして、

それを裏付けるように、
書店員の有志で組織されている本屋大賞実行委員会が運営する、
2022年の本屋大賞では見事に大賞を受賞しまして、

また、公益財団法人早川清文学振興財団と株式会社早川書房が主催の、
新人小説家の発掘を目的としたアガサ・クリスティー賞では、
史上初となる満場一致の最高点による大賞を受賞しているんです。

そして、そんな大傑作を生んだ逢坂先生が次に挑んだ題材というのが、

第二次世界大戦下のナチス・ドイツでした。

なんと前作『同志少女よ、敵を撃て』の主人公たちが在籍していたソ連軍と、
真っ向から敵対していたナチス・ドイツを次は題材にするというね。

私はこの二作目の題材を知った時、
とても逢坂先生の遊び心が込められているなぁと思いましたが、
その内容というのは、全く遊んでおらず真剣そのものでして、

ナチス・ドイツのホロコーストに真っ向から立ち向かった少年少女たちを、
それはそれはとても鮮明に細部まで描かれている大傑作でした。

そして、その本作の中で逢坂先生が、
一番重きを置いているであろうテーマというのが、

この日本で今もなお根強く国民の意識に残っている「同調圧力」でした。

さらにタイムリーなことに、その同調圧力については、
今年の7月にSBクリエイティブさんから発行された、
戦史・紛争史研究家である山崎雅弘先生の『この国の同調圧力』の中で、
わかりやすく同調圧力の発生のメカニズムから解決策まで解説されており、

この2冊を読んだ私は、
あることに気がついてしまったのです…!

それが、山崎先生の『この国の同調圧力』の視点で、
逢坂先生の『歌われなかった海賊へ』の同調圧力を、
読み解けるんじゃないか?というものだったのです!

なので、今週の投稿には、
山崎雅弘先生の『この国の同調圧力』と、
逢坂冬馬先生の『歌われなかった海賊へ』の2冊を選ばせていただきました。

◇投稿内容とその目的

そして、今週の投稿の内容につきましては、


今回のパート1で『この国の同調圧力』の内容を解説していきまして、
次回のパート2で『歌われなかった海賊へ』の内容を要約していきまして、
最後のパート3でこの2冊を用いたある考察を行なっていきます。


なので、
今週のこの【同調圧力の悪魔】のシリーズの投稿を、
パート1からパート3まで、全部ご覧いただいた暁には、


社会に蔓延る「同調圧力」のメカニズムと解決策を理解できて、
また、ナチス・ドイツに真っ向から反抗した少年少女たちの物語を堪能できて、
そして、戦時下における本当の同調圧力の悪魔の正体を知ることができる!


という、そんなシリーズの投稿になっていれば幸いだと思っております。

ぜひ一緒に、
今もなお社会に蔓延る同調圧力に屈することなく、
自由を掴み取るための読書の旅へ出かけましょう!

◇「同調圧力」とは?

それではようやく今回の投稿の内容であります、
本作『この国の同調圧力』で解説されている同調圧力の発生のメカニズムと、
その解決策について解説していこうと思いますが、

まず最初は、基本の「キ」ということで、
「同調圧力とはそもそもどのようなものなのか?」という疑問について、
本作『この国の同調圧力』の言葉をお借りして解説していきます。

恐らく、この投稿をご覧いただいているほとんどの方が、
なんとなく「こういうものかなぁ?」と把握されているかとは思いますが、
一応念のため「こういうものなのだよ」という共通認識を持つために、
本作で解説されている同調圧力について目を通しておきましょう。

本作『この国の同調圧力』の、
その「はじめに」で解説されている同調圧力、
それがコチラになります。

 なんとなく反論しづらい「大義名分」と共に、人の心と身体に静かにまとわりつき、思考や行動の自由を少しずつ奪い、やがて集団全体の一部へと取り込んでしまう同調圧力。

『この国の同調圧力』p3から引用

いやぁ〜、非常にわかりやすいですね。笑

私自身、育ったのは東京都の中でも田舎の方だったので、
この同調圧力の意識が結構根強く残っている地域でして、
それこそ大学を卒業して地元の市役所に就職した時なんかは、
「みんな入ってるんだから、お前も消防団に入れ!」という、
よくわからない大義名分下の同調圧力がそれはそれは凄くてね。

それが嫌すぎて、仕事ごと辞めて今に至るという。もうノイローゼ寸前よ。

また、本作『この国の同調圧力』の第一章の中で著者の山崎先生も、
自身のこれまでの経験の中で味わった同調圧力というのを語られており、
私自身、読んでいてとても共感できたのは、

教師の常套句である、
「みんなも我慢しているんだから、お前も我慢しろ」
に込められた同調圧力に対する経験談です。

これは筆者の山崎先生が中学二年生の時に経験したことで、
今でいう「ブラック校則」に対して、中学生だった山崎先生が、
教師に対して「その校則を変えてほしい」と伝えたところ、

先の、
「みんなも我慢しているんだから、お前も我慢しろ」
という言葉が返ってきたようなのです。

しかし、この言葉は論理的に考えてみれば、おかしいことに気が付きますが、
教師からしたら秩序を乱されたくないという一心で、
中学生の山崎先生にそのような言葉を投げかけて同調圧力を働かせています。

他にも、日本における同調圧力の典型例といえば、

「空気を読む」ことの強制というのもあります。

これは例を用いなくても、
この投稿をご覧いただいている方の誰しもがすぐに理解できる、
「同調圧力」の典型例かと思いますし、私自身、過去に何度も、
この「空気を読む」という同調圧力を経験したことがあります。

そして、その空気をぶっ壊したことも何度もあります。

それはそれは恐ろしい時間が流れていましたね。

◇「同調圧力」は誰が何のため?

と、冗談はさておき、
これで本作で解説されている同調圧力がどういうものなのか、
簡単にではありますが読者の皆さんも把握できたかと思います。
と言っても、皆さんが同調圧力と聞いてイメージする内容と、
さほど大差はなかったかと思います。

なので、お次はその同調圧力というものがなぜ存在するのか、

つまるところ、
「誰が何のために生み出しているのか?」
という疑問について明らかにしていこうと思います。

本作『この国の同調圧力』の中で著者の山崎先生は、
その疑問について少し極端な例にはなりますが、
昭和期の大日本帝国時代の日本を例に次のように述べられています。

 ナチス・ドイツと同じ時代、つまり昭和期の大日本帝国時代の日本でも、明治期や大正期には限定的ながら社会に存在した、「個人」を尊重する価値観(たとえば自由民権運動)が一時的に失われ、国家全体や社会全体が共有する価値観や世界観、すなわち「天皇を中心とする国家体制への献身奉仕」という考え方に、国民全員が同調して従うことが強要されていました。

『この国の同調圧力』p71から引用

この引用中から判明する先の疑問の答えというのは、
「誰が」の箇所には「国家」や「社会」が当てはまり、
また、「何のために」の箇所には、
「天皇を中心とする国家体制への献身奉仕」が当てはまります。

さらにいえば、
「国家や社会による天皇を中心とする体制への献身奉仕」という、
同調圧力の犠牲になったのは「国民」だということも、
先の引用からは読み解くことができるかと思います。

なので、同調圧力というのを一言で言い表すのであれば、

「支配者から被支配者にかけ、ある目的を成し遂げるための圧力」

とも言い表すことができるかと思います。

特に先ほどの引用中に登場していた、
「ナチス・ドイツと同じ時代、つまり昭和期の大日本帝国時代の日本」は、
「全体主義」という主義が強まっていた時代でして、
これはどういう主義かと言うと、

個人の自由社会集団自律性を認めず、個人の権利や利益を国家全体の利害と一致するように統制を行う思想または政治体制である。対義語は個人主義である。

全体主義 - Wikipedia

つまり、個人の権利や利益よりも、
国家全体の利害を優先する主義のことを指します。

ただでさえ、個人と国家ではパワーバランスが全く違うのに、
その二者を取り巻く環境に全体主義という風潮が靡いてしまうと、
国家による同調圧力というのは簡単に形成されていきます。

そして、ここまでは国家という、
とても大きい単位による同調圧力を紹介しましたが、
一方で、そんなに大きい単位ではない者が、
支配者となる同調圧力というのももちろん存在します。

それこそ、私が市役所時代に体感した、
「地元の消防団に入れ!」という同調圧力は、
その地元の方たちが地元に貢献させるために形成していた同調圧力ですし、

また、山崎先生が中学二年生の時に体感した、
「みんなも我慢しているんだから、お前も我慢しろ」という同調圧力は、
その学校内の秩序を守るためだけに形成されていた同調圧力でした。

さらに、これら以外にもより小さい単位での同調圧力というのは、
この社会の中に五万と存在していますが、
先にも述べたようにそれらの同調圧力はひとえに、

「支配者から被支配者にかけ、ある目的を成し遂げるための圧力」

として働いてしまっているということは疑いようがありません。

◇「同調圧力」から自由になるためには?

と、こんなことを申し上げてしまいますと、
普段、自身が所属しているコミュニティの中で、
否応のない同調圧力に苦しんでいる方からしたら、
苦虫を噛み潰したような思い出を想起させてしまうかもしれませんので、
最後は本作『この国の同調圧力』で紹介されている、

同調圧力から自由になる方法というのを紹介して、
この投稿を終わりにしようと思います。

本作『この国の同調圧力』の第五章では、
「集団や共同体の『みんな』と衝突せずに、心身の自由を取り戻すために」
という章が設けられており、
この章の中で同調圧力に対処するための心構えというのが、
記されてあるのですが、

そもそもの大前提として著者の山崎先生は、次のように述べられています。

 同調圧力に従うべきか、従わない道を敢えて選ぶべきかという問題は、その時々の状況によって正解あるいは最善解が変わる、ケース・バイ・ケースの問いであり、常に正しい答えはおそらく存在しません。

『この国の同調圧力』p213から引用

つまり、誰にでも当てはまる黄金の最適解のようなものは存在しませんので、
そこはあらかじめ注意していただければと思います。

その上で、著者の山崎先生は、
精神面と行動面の二つの面において解決策というのを提示されており、
それがコチラになります。

【精神面】
同調圧力との付き合い方のバランスを見つけること

【行動面】
集団によって自分が変えられないようにすること

まず最初の精神面における同調圧力の解決策である、
「同調圧力との付き合い方のバランスを見つけること」というのは、

同調圧力との付き合い方を予め心の中で設定しておくことで、
必要以上に同調圧力に苛まれないようにする方法です。

というのも、私たちの心の中というのは、
当たり前ですが、その当人にだけにしかわからないので、
表面上は同調圧力に従っているように見えても、
実は心の中では全く従っていないことだってあり得るわけです。

つまり、心の中だけは自分の裁量で、
同調圧力への服従度合いを決定できるわけなのです。

表面上は理不尽な同調圧力に対して、
「ありがとうございますぅ〜」と阿っていたとしても、
心の中では「うるせぇ、ハゲ」と思うことだってできるわけなのです。

そして、その心の中の同調圧力への付き合い方の、
バランスの決定権を握っているのは自分だ!と理解しているだけでも、
同調圧力に悩まされることというのは少なからず軽減されます。

また次の行動面における同調圧力の解決策であります、
「集団によって自分が変えられないようにすること」というのは、

とにかく行動を起こし続けることで、
周囲が自分を同調させるのを諦め、
そういう人だと思わせるという方法です。

この行動面での解決策というのは
実際に行動に移す必要があるので、
先ほどの精神面での解決策よりかは、
難易度が数段跳ね上がるかと思います。

ただし、これは今尚同調圧力に苦しんでいる方には、
ぜひ知っておいていただきたいのですが、
同調圧力を生み出しているそのコミュニティの支配者が、
一番望んでいることというのは、

被支配者が行動を起こさないで、大人しく従っていることです。

そうすれば、その支配者が支配しているコミュニティというのは、
あくまでも秩序が保たれているので、
その秩序が保たれている状態に支配者というのは安心します。

なのであれば、同調圧力から自由になるためにすることというのは、

ズバリ、行動を起こし続けることになります!

とはいえ、そのコミュニティから受ける同調圧力に、
真っ向から喧嘩腰で行動を起こしてしまうと、
それはもちろん相手も喧嘩腰で対応してきますので、
本書でオススメされている方法というのがコチラです。

 また、先ほど紹介したように、はっきりとした「拒絶」ではなく、それにうっかり気付かなかったというふりをして、同調圧力に自然体で「従わない」態度をとるのも一策です。

『この国の同調圧力』p254から引用

つまり、真っ向から同調圧力に刃向かわなくても、
「あ、そうだったんですね、気付きませんでした」という自然体で、
同調圧力に気付かないふりをしておけば良いんですね。

もちろん、何度もこの態度を取り続ければ、
相手も馬鹿ではないので「コイツ、わざとだよな…」と、
思われるかもしれませんが、実はそれでいいんです。

そうすると、そのコミュニティ内では自然と、
「そういう人だから…」という評価に次第になっていきます。

そうなってくればもうこっちのもんです。
なぜならその状態というのは、最初にも述べたように、

「集団によって自分が変えられないようにすること」

という状態が成し遂げられているからです。

なので、ぜひ皆さんも
この精神面と行動面での同調圧力への解決策を駆使して、

一見従っている風に見えるが、飄々と自然体で同調圧力を無視して、
そして、心の中では圧をかけてくる相手に「このハゲ」と毒吐いていきましょう。

◆おわりに


いかがでしたかね!

今回のこのパート1の投稿では、
2023年7月15日にSBクリエイティブさんから発行されました、
山崎雅弘(やまざき・まさひろ)先生の『この国の同調圧力』の内容を参照して、

同調圧力のメカニズムとその解決策について解説してきました!

私個人の話で言えば、
今回の投稿で扱った同調圧力というのには、
大変苦しめられたなぁ…という思い出がいくつもありますね。

それこそ、昔から人一倍「空気を読む」ことは敏感だったので、
同調しなければいけない空気が流れると一歩引いてしまって、
小さく隅で大人しくしていた記憶というのが頭をよぎります。

ただ、最近はというと、最後の解決策のところでも紹介したように、
社会の中の同調圧力に対して、飄々と自然体で受け流せるようになったので、
あんまり苦労することはなくなりました。

あーだこーだ言われても、
その場は「そうなんですね!うわ、すみません!」って言っとけば、
相手は満足しますからね。心の中で従ってなければいいだけです。

そして、次回のパート2の投稿では、
逢坂冬馬先生の『歌われなかった海賊へ』の完全要約をお届けしますので、
そちらの投稿もお楽しみにしていただければと思います!

ぜひ一緒に、この自身を縛る同調圧力から、
本当に自由になるための方法を会得していきましょう。

では、この投稿が面白いと感じた方は「スキ」。
また、次回の投稿も見逃さないように「フォロー」。
どちらもお忘れなきようこれからも応援してくれるととても嬉しいです。

それでは、また次回の投稿でお会いしましょう。またね👋

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