SmartHRの取締役会実務〜取締役会議事録の作成〜
こんにちは。SmartHRの@kazukiと申します。
法務ガバナンス本部カンパニーセクレタリー部で、取締役会の運営を担当しています。
1.はじめに
前回は、取締役会準備の全体像をご紹介しました。
今回は、会社法上作成義務のある取締役会議事録の作成実務についてご紹介します。
2.SmartHRの議事録作成ポリシー
明文化されているわけではないですが、取締役会事務局の暗黙の了解として、議事録作成にあたって3つのポリシーがあります。
2-1.あらかじめ議事録ドラフトを作成する
取締役会の決議にあたっては、議案によって決議から外れてもらう必要がある特別利害関係人となる取締役が存在する場合があります。
そのため、取締役会議長が当日決議をする際に、当該議案について特別利害関係人がいないかをあらかじめ明らかにしておく必要があります。
そこで、概ね上程議案が固まった時点で、事務局は取締役会議事録のアウトラインを作成し、特に決議事項については特別利害関係人がいないかを検証しておきます。
当たり前のことなのかもしれませんが、会社法上の議事録の作成は取締役会後に作成すればよいというマインドセットになってしまうと、特別利害関係人の存在を把握せず、当日議事に臨んでしまうことになります。
2-2.質疑を含めて実態を適切に記録に残す
SmartHRの取締役会議事録の特徴的な点の一つかもしれませんが、質疑を含め忠実に議事の内容を記載します。
会社法上は、「(会社法の規定に基づいて)取締役会において述べられた意見又は発言がある時は、その意見又は発言の内容の概要」を記載することになっているため、ともするとできあがった取締役会議事録では何も質疑がなかったような仕上がりになることもありますが、SmartHRでは透明性を担保するため、逐語録に近い形で質疑の内容を議事録に残すようにしています。
このことが、結果的に取締役の善管注意義務・忠実義務を果たしていたことの疎明材料になると考えています。
2-3.取締役のレビューを経る
上記2-2.と表裏一体でもありますが、事務局で議事録を作成後、必ず取締役(監査等委員を含む)のレビューを経ることとしています。
議事録上、質疑も実態どおり記載するため、発言した取締役自身が意図したニュアンスになっているかも含めてレビューをします。
実際に、加筆修正が入ることも多くあります。
3.議事録作成の具体的手順
<取締役会前>
3-1.質疑パート以外を固める
上記2-1.のとおり、概ね上程議案が固まった時点で、事務局は取締役会議事録のアウトラインを作成します。
3-2.特別利害関係人の有無を確認する
この時点で、決議事項については特別利害関係人がいないかを検証しておきます。
特別利害関係人が発生しうる典型的な決議例は、あらかじめチェックリスト形式でまとめています。
3-3.当日投影資料に特別利害関係を反映する
決議事項のうち特別利害関係人がいる場合は、取締役会の当日投影資料の議事進行シナリオにその旨を反映します。
<取締役会後>
3-4.開始/終了時刻・出席状況・質疑等を議事録に追記する
取締役会終了後、開始/終了時刻・出席状況・質疑等を追記し、ドラフトを完成させます。
3-5.事務局内レビュー
事務局内でダブルチェックをするため、ドラフト作成担当者とは別の担当がレビューします。
3-6.取締役レビュー
事務局ドラフトを取締役の皆さんにレビューしてもらいます。
概ね3営業日程度のレビュー期間を設定しています。
3-7.電子署名・押印依頼
レビュー期間が終わったら、原則電子署名で議事録の署名を回付します。
ありがたいことに、当社の取締役の皆さんはアクションがとても早いので、お願いした当日もしくは翌日には全員の署名が完了します。
4.その他の工夫
取締役以外の発言に関する注釈
当社の取締役会には、取締役以外に株主間契約に基づくオブザーバー株主や議案説明担当として取締役以外の従業員が出席することがあり、質疑で発言することもあります。
議事録上、取締役以外の発言者が判別できるよう注釈をつけています。
5.取締役会議事録例
ご参考までに、当社の取締役会議事録の様式を添付します。
議題内容等は割愛していますので、あくまで様式例としてご参照ください。
6.終わりに
今回は、取締役会議事録の作成について、その具体的な手順をご紹介しました。
いかがだったでしょうか。
次回以降も、各準備工程における工夫など、具体的な内容をお届けできればと考えています。
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