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都市計画と科学コミュニケーションの可能性【221017】

個性を失った地方都市

 日本中、どこに出かけても同じ様な駅前の光景が広がるようになったのはいつ頃からだろう…かつてはどこに行っても当たり前の様に見られた「駅から続く商店街」は姿を消し、大規模な区画整理で大型テナントビルがど〜んと聳え立つ。そこに入居するのは、ダイエーだったりイトーヨーカドーなどの大規模チェーンストアをキーテナントにした、多くは東京などからやってきた小売店。どこに行っても、同じ様なブランドショップが立ち並び、その土地土地が有していた歴史や人の営みなどの個性は失われてしまった。
(ページトップの写真は、まだ路面電車が走っていた岐阜市内で撮影したものです)
 そして、バブルの狂騒も去って久しい時代は平成。それも後半になると、今度は各地の駅前ビルからキーテナントの撤退が相次いで…結果、残ったのは、駅前の一等地の巨大な空きビルと人通りの乏しい広場…そんな光景、思い当たりませんか?
 都内でも、かつては生活に根差した商店街が各地に見受けられましたが、そんな商店街のあちこちで、今まだ再開発が進んでいます。ビルだらけの東京の、どこにまだそんな開発の余地があるのか、とも思いますが…
 例えば、僕が学生時代にお世話になった町でもある東上線の大山駅とその商店街も、そんな地域生活に密着した昔ながらの商店街が残る地区の一つなのですが、今、ここも再開発の波に飲み込まれようとしています。

 まぁ、あれだけ運転本数の多い東上線、しかも都内有数の人身事故の多さ…を考えれば、鉄道の高架化は避けられないのかもしれませんが…

再開発計画の決定過程

 こう言った再開発は、行政や地権者、デベロッパー企業などの主導の元に進められて行くのが通例で、そこに生活する住民(…それも、多くの場合は、反対するのは「一部の住民」と言われてしまいます…)が異論を述べた所で、概ね反映される事はない…のが、これまた通例だったのではないでしょうか。先の大山駅周辺の再開発でも、住民団体が提示した商店街を残すプランは最終的に退けられています。開発を主導する側から提示された案に反論しょうにも、結局、行政や専門家が提案してくる計画に、一般市民の側は反論に足る「根拠」を示して対案を出す事が出来ない、と言う事が大きいのでしょう。

街づくりとビッグデータ

 人の流れが変わり、生活実感にあふれた商店街は失われて行く…事が、この先も続くのか…なんてずっと思っていましたが…10/15、CoSTEPの講義で東大先端科学技術研究センターの吉村先生のお話を伺い、改めて違った可能性、「科学的知見を持って議論できる余地」があり得る事を知りました。


 街並みの活気を定量化するのに、生物多様性の指標を応用するアイデアもとても興味深いし、何より、都市に多様性があった方が小売店の売り上げが上がっている…言われて見れば、当たり前の事の様に思える、と言うか、生活実感と近いと言うか…そんな結果ではないでしょうか。
 ビッグデータとAIをこの様な解析に応用できる、と言うのも、なんだかワクワクする話です。


何かできるかな…

 さて…小売店が並ぶ街、すなわち「人が歩き回れる」街がなぜ良いのか…を科学的に可視化できたとして…データを公共政策に活かして行くためにも、データをキチンと説明できる人が必要になりそう…ここに科学コミュニケーションとコミュニケーターの役割がありそうな、そんな感想を持ちました。
 チョット強引すぎる結論でしょうかね…

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