Jongleurという公演、並びに今回の演目について。


【事の発端について。】

『カズさ、いつも"普通"の演奏は色々な然るべき機会でやってんだろ?ウチ(エレクトリック神社)では心からやりたいこと、演奏をやってくれて俺は構わないよ、楽器に関わらず、お芝居とか舞踏とか、どんなパフォーマンスでもさ。』

エレクトリック神社のマスターであるケンジさんと、いつの日かに交わした会話のやり取りの中でそんなことを僕に言ってくれたことがとても印象に残っている。(勿論、一言一句正確な言葉を覚えてるわけではないから多少表現は違ったかもしれないが、主旨の大筋は大体そんなところだ。)

この言葉に私は今一度、胸に手を当てて考える事となった。"どうして音楽をプレイしているのか?"
そして、"あなたは何が好きなんだい?何を本質的に、したいんだい?"、ひいては"あなたとは誰なんだい?"といったシンプルな自己への問いに対してだ。

【現代で表現をしていくという事とそのジレンマについて】

得てして人生には色々な二元的問題が付きまとう。
お金、人間関係...そしてドクタージョーの言葉を借りるなら、環境、身体、時間というビッグスリーだ。
音楽活動、いや音楽に限らず創作活動をする者達の苦労の一部を取り上げるとすれば、"自分が本当に持っているものを正直に示す"行為そのものがそのまま純粋イコールでお金に繋がるとは必ずしも限らないということだ。

ある方面では"売れる(お金を得る)"ことを研究し、努力していくことも大事なプロセスではある。
自分が本当に持っているものを正直に示しつつ、多くの富を(ある意味で自然と)集めてきた音楽家、芸術家は歴史上にもいるだろう。その中にはもう既にこの世にいない人もいるだろうが、そういったアーティストは死んでもなお、(富を持った芸術家全てとは言わないが)人類に"意義"を残し続けているし、一方で、アンダーグラウンドでも着実に、それでいて地道で全うに、自分が本当に持っているものを正直に示している人達だっている。

お金関連でもう一つ言うなら、リーダーライブでメンバーを率いていくならギャラを皆にしっかりとお支払いする責任があるし、ブッキングして頂いたお店にも集客を通じて収益をもたらす責任だってある。
だから表現したいことが浮かんできて形にしたくとも、では採算性は?そんなジレンマにいつだって我々表現者は直面する。

はて、確かに社会的に大事なことではあるのだが、そんなお金という1つの要素(これが時間や環境など他の二元的要素の複合となってくるとより錯綜していくことは想像に難くない。)そんなことを考えているうちに、何だか本質がどこかへ追いやられてしまうような気持ちにもなるのは私だけだろうか?
偉大な舞踏家である"大野一雄"の表現を借りるなら、"常に魂を先行させること"がアーティストの使命ではなかったのだろうか。

【あなたとは誰なんだい?】

話をもう一度、二元的問題を含んで、そして超えたところに持って行こう。
先ほどの"あなたとは誰なんだい?"というシンプルな問いを、ここでは便宜的にあなたは音楽を通して何がしたいのか?ということに置き換えて、自分の答えを提示していきたい。

私の角度から映る音楽の魅力とは、曲の1つ1つが提示してくる物語、そしてミュージシャン、アーティストとはある意味でStoryteller(ストーリーテラー)というロール(役割)でもあるという事だ。

例えば、Chopin(ショパン)の"スケルツォ第2番"に込められたあの死者が審判を下されているようなテーマ、その後に提示される束の間の安らぎ。或いはコルトレーンの"Resolution"の邪気をも払うような厳かさ、"Havona"という神秘的で宇宙空間のようなザヴィヌルによるあのイントロ...ジャコの、キースの...etc 例を挙げれば本当に枚挙にいとまがないが、それらが語りかけてくるものとは一体何なのだろうか。(※あくまで僕の一感想です。)

私(達)がそこに"今その瞬間に純粋に感じているもの"には形もなければ時間もなく、人間という自意識(エゴ)さえない。
そして、きっとそこから繋がっている大元へと辿っていくと、私(達)の正体がそこにはあるのだろう。  
よって、音楽で何がしたいのか?という問いに対しての答えは、自分の中にある物語を全うしていきたい、ということに尽きる。

【Jongleur、ジョングルールという公演について。】

さて、ここからは公演のコンセプトについて簡単にお話ししたい。

そもそも"Jongleur(ジョングルール)"という単語は主にフランス中世の大道芸人のことを指し、彼らは各地を遍歴する傍ら民衆文化の伝播、伝承を担い、日本で言えば琵琶法師が平家物語を伝えたように、騎士文化を反映した詩や物語も伝えた。

この公演では、我々出演者がそれぞれ現代の"Jongleur(ジョングルール)"となり、その時々のテーマ、或いは各々のパフォーマーがその時に表現したいことをその場で感じたままにステージで披露したって構わない。

長い目で見てゆくゆくはこの公演が、画家、詩人ラッパー、舞踏家、演劇、トーク...etc あらゆる表現者達の心の叫びの場所、アートを発現する1つのスポットになればいいと思っている。(ので、この投稿を読んで何かビビッと感じてくれた表現者の方々がいらっしゃれば、気軽にDMでも何でもお問い合わせください。)

【結びに】

...という何だか突拍子もない試みに挑戦させてもらえるのは、冒頭にあったようにエレクトリック神社という場所、何よりケンジさんの理解があってのことであります。ケンジさんありがとうございます🙏

4/27(sat)のvol.2公演のプログラムテーマは【人間讃歌】となっていて、また演目については詳しくは別の投稿で触れようと思いますが、何より今回は初の試みで"詩人"がステージにも登場します。

まだまだイベント自体が黎明期であり、vol.3はひょっとしたら数年後とか、そんな規模感かもしれませんが、ライフワーク的に生涯取り組んでいくこととも思っていますので、どうぞ4/27(sat)にその全貌を目撃しに来てください!!👁️
本当はテーマ的にチャージフリーにして門戸を広げたいところですが、私自身もまだまだ駆け出しで富に溢れている訳でもないので😂応援の意味も込めてのご来場も何卒、是非、お待ちしております!笑 
ご予約は気軽に私にまでDMください。

長くもここまで読んでくださり、ありがとうございました!!

【Jongleur vol.2 】 "人間讃歌"

-ピアノトリオ-
Kazui(団長兼ベース)
小室響(ピアノ)
岡田真帆(ドラム)

豊嶋さおり(タップダンス)
さのみきひと(パーカッション)

-詩人-
葦田不見(詩、カホン)
→彼のnoteはこちらから
https://note.com/ashida_water


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