ひびき

映画、アニメ、特撮、ももクロ大好き。 故大林宣彦監督、マーティン・スコセッシ、クリスト…

ひびき

映画、アニメ、特撮、ももクロ大好き。 故大林宣彦監督、マーティン・スコセッシ、クリストファー・ノーランリスペクト。

最近の記事

ゴジラ-1.0 総天然色版➕モノクロ版

去年公開されるなり大ヒットし、国内外で数多くの賞を獲得した「ゴジラ-1.0」が、カラー版モノクロ版共にアマプラにて公開されたので観てみた。 もともと「三丁目の夕日」や「永遠の0」などを観て大泣きされられておきながら、山崎貴監督作はその感動を誘うための表現方法があざとすぎて好きではなく、どれほど話題になっても「ゴジラ-1.0」も頑なに観ていなかったのだが。 結論から言えば「ゴジラ」70周年記念作としてはかなり力の入った作品であると認めざるを得ない。 いきなり核心に触れるが、戦

    • 拝啓、花織ことは様

      お元気でしょうか? 貴女が戦いを終え、京都に帰られてからもう15年になります。 ご存知かもしれませんが、貴女とよく似たタレントさんはとても素敵に歳を重ねられて、俳優業のみならず仕事の枠を広げてファンを楽しませてくれています。 戦いの中では、殿よりもむしろ歳の近い千明とのコンビが注目されていた感がありますが、自分はいつでも殿をまっすぐに見つめる貴女の瞳を「とても素敵だな」と思い続けていました。 それが幼いながらも殿への愛を表すものだったら素敵だよなあ、などと考え、可愛らしいロマ

      • 舞台 夕凪の街 桜の国 考

        さて、今更だけどこの作品について考えてみようと思う。 自分の携わる番組の出演者であるちゃあぽん(西脇彩華さん)の主演舞台として観に行くご縁があり、2023年9月3日の千秋楽、新国立劇場小劇場での舞台を訪ねた。 舞台演劇らしいと言ったらいいのか、ミニマムな空間をフルに活用した舞台に、強烈な反戦メッセージを織り込んだ構成は一本の作品としてとても完成度の高い作品であった。 もとより作品のテーマは重い。 原爆に人生を奪われ、人並みな恋愛すらできずに亡くなっていく女性と、その家族が

        • 神々の山嶺

          夢枕獏著「神々の山嶺」読了。 いや、何年ぶりだろう。 ざく、ざく、と物語の本質に向けて斬り込んでいく文体。 じりっと肌を焼くような男たちの醸し出す匂い立つ熱さ。 本当、久しぶりだよ、獏ちゃん。 再会のきっかけは栗城史多だった。 彼が無謀な試みから死に至った謎が解けずにいたところで、この本の存在が浮かび上がった。 死の直前、栗城が夢中になって読んでいたと。 そこで謎は氷解した。 が、それはまた機会を改めて記したい。 今は、この「神々の山嶺」そのものについてだ。 いや、やは

        ゴジラ-1.0 総天然色版➕モノクロ版

          「デス・ゾーン」

          開高健ノンフィクション賞受賞作「デス・ゾーン」読了。 虚勢を張って、大ボラを吹きながら時代の波に一度は乗ったにもかかわらず、結局自身の虚勢に押し潰された「山に登る人」故栗城史多のノンフィクションらしき作品。 何故「らしき」と書くかというと、今までこれほどまでに作者がくどくど批判と自己弁護と持論の押し付けをあからさまに行うノンフィクションを見た事がないからだ。 何かしらの話の展開があった末尾に必ず「わかったような、それでいて作者の思惑に向かってのあからさまなリード」を付け加える

          「デス・ゾーン」

          死にたがりの君に贈る物語

          読了して本を閉じた後に真っ先に感じたのは「安堵感」だった。 それは出版業界冬の時代の今でも「物語が人の心を動かす力、人の志を動かす力」がいささかも衰えてはいない事への、である。 古来から物語というのは、人の心の琴線に触れ、ある時は活性した生への導きになり、ある時は前進への原動力となり、またある時は生を終わらせる程の力にもなり得るものであった。 が、いつしかその力を得る対象は書籍に綴られる物語ではなく、映像という、より自分自身が想像力を働かせる必要のない媒体に取って代わられ、書

          死にたがりの君に贈る物語