010_20220714_予告犯

作品情報

  • 筒井哲也さんにより、集英社「ジャンプ改(青年誌・紙媒体)」に連載されていたマンガ

  • 「ジャンプ改」2011年から2013年9号まで、最終巻は2015年6月ごろ

  • 全3巻、全22話

  • 社会派かつ劇画的な作風も相まって、現実世界と相性が良いのか、映画、テレビドラマ、朗読劇と、さまざまなメディアで描かれる

    • ま、ドラマは「違う話」らしいんですけど

  • スピンオフとして、マンガ「予告犯 -THE COPYCAT-」、小説「予告犯 -THE CHASER-」なども発表されている

  • 自分はKindleで読んだのですが、紙媒体は今売ってないのかもしれない

    • Amazonで中古8円〜新品4510円とかなってるから

あらすじ

  • 場面は、頭に新聞紙をかぶって目だけ穴あけた覆面にしている男が、満喫からYouTubeで動画配信で「世界をかえてやる」と嘯くとこから始まる

  • 場面は変わって、栃木県の民家に「サイバー犯罪対策課」の刑事が、ゲーム等の違法アップロードでガキンチョを摘発しに来た場面

  • そのトップ、女性警部補が見せしめとばかり、派手な検挙により「ネットは味方」と思っていたガキンチョに、掌返しするネット住人の態度と、賠償金でよろしく♪の一言で絶望に落とす

  • 「サイバー犯罪対策課」は「再生回数5000回程度」を超えるとアカウントごと動画を消す「明日の予告を教えてやる」という新聞覆面の男の予告動画を気にし始める

    • 教の予告は「食通毒を出した食品加工業者に制裁」だという、「火をとおしてやる」と。

  • 実際に当該会社が炎上する、その現場に「新聞紙を被った男」が居ると動画を見た「サイバー犯罪対策」が見つける

  • 新聞男の過去の動画を洗うと「飲食系バイトテロ」とか「大学サークルの組織的な性犯罪」など「過去の世を騒がせた犯罪者に天誅」というように犯行予告→実行をしていた

  • 「サイバー犯罪対策課」は、予告配信をしていた漫画喫茶を突き止め急行、店長に事情を聞くも「配信されたとされる席に当時客は居ない」「リモートでも実際にも、なりすましは困難」だと言う

  • お茶濁しに「実行可能な人物」として店長をしょっぴく、と入れ替わりに「警察か、思ったより速かったな」という成年が、その漫画喫茶に入っていく…

  • というところで、「主人公側のキャラクター」が登場、この先どうなってくのか…みたいな話

ファースト・インプレッション

  • 2011年には、確かにYouTubeもTwitterも在ったけれど、ここまで浸透・インフラ化してなかったことを考えると、めちゃくちゃ「新しいものに挑戦した」のではないか?という感覚があった

    • 序盤はYouTubeと2chっぽい?描写かもしれないけれど

    • 現在2022年とは状況が違う、今ならドラマの小道具としては当たり前に使われる

    • それだけに、読者・登場人物ともに「若い世代」を対象にしていたのではないかなーとも

  • 例えば、バイトテロが流行ったのがイツだったかさだかではないけれど、2010年くらいにそれを書いてるのは、凄い気がする

  • どこまでかはわからないけれど、わりと「IT・情報計知識を持ってる(あるいはそういうブレーンが居る)」書かれ方だなと思った

    • ワンタイムパスワードのハードウェアトークンを割と話の軸に据えてるとことか

  • 良くネットの話題に上がる「ホリエモン似の上司によるパワハラ」とか

    • そこでも「最初の入り口がオブジェクト指向なんよね、C出来ないと使いモンにならないよ」というような世代間闘争の感じや、ブラックさやパワハラのあるあるを知ってる感じとか

    • 業界の人でもそれほど拒絶反応はなく、かといってエスパーでもない感じのエエ頃合いかなと

    • ま、でも漫画家や脚本家になるひとは「それくらいの興味と知識量をもって他分野も学ぶ」のかもしれないけれど

  • ネット掲示板、またSNSの浸透によって「誰でもない誰かの感情を表明出来るようになった」ということと「公権力や法ではさばけない義憤」に対する「私刑(リンチ)」を望む人の多さ、みたいなものを描いてる感じがする

    • これが書かれてから10年たってるが、その傾向はさらに進んでると思うし、当時としては鋭い切り口のマンガだと思う

  • そのITを舞台装置に、色々な社会問題を調味料に、ストーリラインが作られてる

    • サイバー犯罪、ネットリンチ、なりすましは基本として、どもり症、ワープア、外国人労働者とその酷使、過酷な労働と過労死、難病、臓器売買、犯罪予告、ネット規制、なんでもかんでも規制の政治家、カルトな愛護団体、そして放火や殺人…それをうまーいことシャッフルしつつ、3巻で畳んでいる

  • 「尻切れトンボ」や「詰め込み過ぎ」感はなく、破綻もなく、それでいてうまく風呂敷をたたむ、って難しいものだと思いますが、この3巻はとても上手くたとんでいる

まとめとオススメ

  • 人が犯罪する時の心理として、なにか「成したい事」があるもんだが、何周か回って「そういうことを望んだのか」と、考える作品です

  • 3巻なので、ちょっとした空き時間に駆け抜けて読了できるので短く熱く成りたい人に良いと思う

  • そのわりには「普通のマンガ(例えば日常系)」と比べれば、脳使うし読むカロリーが高いので、ちょっと時間と心に余裕をもって、じっくり腰据えて読むことをおすすめ

  • 話は秀逸なので、素晴らしさを語ることは出来るし、出来る限り語りたいのですが「語れば語るほどネタバレを避けられない」しサスペンスを楽しむマンガなので、ぼやっとした表現の褒め方で申し訳ない

  • ともあれ、ぜひとも読んでいただきたい作品


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