054_20240606_千歳くんはラムネ瓶のなか
基本情報
裕夢(ひろむ)さん原作、raemz(レームズ)さんキャラクターデザイン、ボブキャさん作画の、学園青春ラブコメ群像劇マンガ
ラノベ原作のコミカライズ
小説は2019年6月から、ガガガ文庫で既刊9巻で続刊中
マンガは、2020年4月から、スクウェアエニックスの「マンガUP!」にて連載中
既刊6巻で続刊中
メディア展開
ドラマCD
オーディオブック
賞レース
発表時は「第13回小学館ライトノベル大賞」の優秀賞
当時の原題は「ラムネの瓶に沈んだビー玉の月」
「ラノベ好き書店員大賞2020」文庫部門で2位
「このライトノベルがすごい!」文庫部門では2021年から2年連続1位
大まかな紹介
『五組の千歳朔はヤリチン糞野郎』
学校裏サイトで叩かれながらも、藤志高校のトップカーストに君臨するリア充・千歳朔(ちとせさく)。
彼のまわりには、外見も中身も優れた友人たちがいつも集まっている。
圧倒的姫オーラの正妻ポジション・柊夕湖(ひいらぎゆうこ)。
努力型の後天的リア充・内田優空(うちだゆあ)。
バスケ部エースの元気娘・青海陽(あおみはる)……。
仲間たちと楽しく新クラスをスタートさせたのも束の間、
朔はとある引きこもり生徒の更生を頼まれる。
これは、彼のリア充ハーレム物語か、それとも――?
新時代を告げる“リア充側”青春ラブコメ、ここに堂々開幕!!
小学館の同作品<書籍の内容>より
導入
主人公の千歳朔は高校2年生の
自己認識はスクールカースト上位のイケメン
リア充だとか非リアだとか、カーストなんてどうでも良い、と上位の自分が言ってみる…と心で思っている
4月、スマホで裏サイトと呼ばれるものを観つつため息をついていた
「5組の千歳朔はヤリチン糞野郎」
クラスに着くと、「スクールカースト上位6人グループ」というべき、自分のグループが集まってきた
美人で個性的な女子二人と
双方バスケ部とサッカー部エースの男子二人
チーム名を決めようとしたが「全員が自分の名前をメインのチーム」を作ろうとした
皆自分が主役という個性の強さである
クラスでは遠くからの「不快感のこもった視線」が
そりゃ初日から大声で「リア充グループだ」と言わんばかりに喋ってればそう思われることもある
別にカースト差を誇示してるわけでもないし、レッテル貼りに加担するのゴメンだ
周りが勝手に俺達を枠にはめようとしてるだけ
「リア充は薄っぺらく中身がなく、マウントを取るイヤな奴らだ」と
だというに、教師すらも「クラスまとめろ」なんて期待をかけてくる
だがこの千歳朔は"らしく"こなすことにする
なぜなら「美しく生きられないなら、死んでいるのと大した違いはない」が美学だから
担任がクラスに来る
担任とは顔なじみ、千歳は「クラス委員長と副委員長を決める司会」に一方的に駆り出される
リア充グループでの小粋な掛け合いでクラスのつかみはOK思うが、先程の悪感情グループは舌打ちしてる
立候補が無いので「俺やるわ、その代わり貴様らは我が配下」と言い放つ
副委員長は、リア充グループから「柊夕湖(ひいらぎゆうご)」が立候補する
千歳が「超天然の男たらし」評する美少女である
昼休み、屋上に行くと担任が出口上のスペースでタバコ吸っている
「千歳はクラス委員長だよな?クラスメートは一人も欠けずみんな揃っていたほうが良いと思わないか?」
「一人不登校の男子生徒が居る、理由はわからないが…」
「要はその生徒を説得して登校させたいっていう話っすよね」
担任は言う「放って置くのか?なんでも出来る みんなのスーパーヒーロー千歳くん」
千歳は自己認識を新たにする
自ら人を助けたりしないが頼られた以上は誰よりもかんぺきに美しく、相手の"想像を超える水準"で期待に答える
俺が俺として行きてくために、”そうあり続けなければならない”のだ
「やり方は任せてくれるんですよね」「ん、ああ」
ここからは「今後の予告編」のようなイメージ映像
「さっさと帰れよヤリチン糞野郎!」
マンションのベランダ、バットを構えた千歳は、そんな罵倒を受けている
千歳はバットを振ってガラスを破壊、中に居る「引きこもりの少年」に対峙する
ここまでが一話。
感想
読み始めのファーストインプレッションとして「自分が読まなそうな作品だな」と思った
「学生時代に明るい思い出が無く、陰キャだった自分」「ジャンプの少年漫画で育った自分」としては、基本手にとらないタイプの
眩しくてムスカなりそうだし、マンガに嫉妬してしまいそう
読んでて背中痒ぅなったり、なんか恥ずなったり悶えたり
それだけにふと「読んでみよう」という意欲で読んだし、学びが凄く在るマンガだった
主人公は「スクールカースト上位で陽キャの全能感」で始まる
「周りのバッシングも”嫉妬だ”と気にもとめず自分の正しさで邁進する」という感じ
見方によっては「ヒーロー然としたステレオタイプ」なのだが…
時折「”こう在らねばならない”という呪縛」や「自分に対する迷いと鼓舞」が垣間見える
これはこれで「ストーリーを読み進めて明らかにしていく事実」だが
このマンガを読むことによって「少年期の”クラスのヒーロー”に見えてた底抜け明るいアイツも苦悩してたのかもしれない」という気付きがあった
ま、35年くらい遅いのだけれどw
相手も「人間」だし「心的呪い」は無かったとしても、一つ一つの行動・判断には「苦悩してた」のかもしれない…けど「何も考えない勢い」だったかもしれないw
その「お察し力」は、この年齢でかつマンガからでも影響を貰える
マンガだって「学ぶことが出来る実用書だ」という主張をこれからしていきたい
”書籍”という主語で高校の頃の国語の先生が言ってた時の受け売りだが
転じて「どんなジャンルでも”とりあえずは読んでみよう”と言う意欲」をより強めた
とはいえ、やはり自分は「”引きこもり”から脱却しようとする少年」のほうに感情移入してしまう
最初の章が「主人公がクラスの引きこもりの少年の家に行って、あの手この手で学校に来させようとする」話
その後、”自らの意思”で主人公の期待を越えて、原因にリベンジして、主人公グループでかつ準主人公くらいになったりする…のは話の都合だろけど
一つの作品で読める「世界の主役ではない少年の成長物語」という別ベクトルのサブストーリー
まぁ、根が暗かったり、嫉妬アリアリだったり、悪態ついたり、下心が原因での引きこもりだったり、おおよそ「まっすぐな少年の努力物語」ではないんだけれど
だからこそ、俺なんかは「強烈に感情移入」して、これまた悶えてします
いつだって「コミニュケーションは勇気!」ということを忘れちゃいけないなー
どんなときも「対話をしようとする人は勇者」なんだということ
異性は言うに及ばず、同性でも「話しかけようとする人」は勇気を絞ってんだ、と
「あの人は出来る人やから」とか「慣れの問題」とか、話しかける人の”勇気”をないがしろにしちゃいけないなと
キャラデザ&作画が「圧倒的にキレイ&さわやか&かわいい」ので、それだけでもエゲツない引力
なにより「絵がきれい」は「読みやすい」
もう既に女子たちのファンが相当居そう
多くのニーズに対応した、ある種ステレオタイプなキャラ設定
特設サイトに「各キャラ別のPV」が用意してあったり
これは世の流れじゃなくて仕掛け人の仕事かもしれないが
「五等分の花嫁」に似たファンの「誰が良い?」盛り上がりを感じる
声優もおそらく「PVの声優固定」で売ってくんだろうと思う
その「絵の美麗さ」が強烈な目くらましに成ってると思うが…
脳内から絵を全部消して、文字情報だけで読めば「相当エグみのあるドロっとした」物語な気がする
キャラデザの人(転じて作画の人)の選択次第では、全然結果が違うかったのだろうと推測する
試しに「劇画」「割と暗い絵柄」で想像してみたら、割と爽やかじゃない暗い感じになった
試しに「実写」で想像してみたら、生々しい&殺伐とした感じになった
未アニメ化ながら「メディア展開が充実」している
ドラマCD、オーディオブック、特設サイトにスペシャルPV…
なんなら、自分は「アニメ化してる」と勘違いしていた
検索サジェストに「千歳くんはラムネ瓶のなか アニメ」と出るくらいには、皆そう思っていそう
今、めちゃくちゃ「アニメ化を待望されているラノベ」なのではないだろうか
「いつアニメ化するのか」が話題作りになってた「薬屋のひとりごと」「無職転生」パターンじゃないだろうか
水面下で争奪戦してそう
総評
「スクールカースト最上位で陽キャ」を定められたかのような主人公…の「内面から観たい」という興味が在る方におすすめ
ある種の「(多く居るであろう)弱者少年の下剋上物語」でもあるので、痛痒い感じの「少年の成長物語」が好物の人にも推せる
自分のような「スクールカースト最底辺の少年」だった者には、悶えながら嫉妬する…を楽しむ作品かも?
最後までお読みくださり、ありがとうございます!
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