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〈老人ホーム日記〉終の棲家となった老人ホームで快適に過ごしたい

「施設入所までの回想」 子供達はそれぞれ独立して離れた場所で家庭を築いている。女房と二人きりの生活をしていたが、やがて終わりを迎えた。遅かれ早かれ確実に訪れるとは思っていたが、順番がないことを痛感させられた。そして一人暮らしが始まったが、以前からブログやユーチューブに投稿したりして、気がまぎれ日々退屈することはなかった。また学生時代からの友人達と旅行、飲み会を定期的に行って孤独感じることも全く無かった。
ただ毎日の食事には閉口したし、気が付くと「独り言」が多くなっていた。

ある日嫁いだ娘がやって来て「お父さんこんな施設があるよ」と高齢者向きの施設のパンフを見せてくれた。まだまだ元気でお世話になる状態ではないが、オープンしたばかりで条件も悪くなかったので、早速娘とその施設を訪れ、気に入ったので即契約をした。それが3年前の83歳の時だった。

「入所してから」 当施設の収容人数は50人余で中規模の施設で、施設の中では大きい一人部屋を選んで生活が始まった。
入所を決めた時の心境を思い返すと、今いくら健康での一人暮らしも、老いるといつかは必ず予期せぬ事態が惹起すると思い、安心して日々暮らせる施設での生活を選んだ。もう一つの理由は入所者との交流が始まって、食事に出かけたり、ハイキングに行ったり、また施設主催の催し物などで充実した毎日が送れると信じていた。しかし月日が流れ入居者が増えて行ったが、期待することが間違っていた。

自分もそうであったが、自分と異なることはご家族の方がほんとうに日々の面倒が見切れなくなって勧められての入所だと思う。体が弱り車椅子を必要とし介護も必要な人達が多く、デーサビス利用者も限りられた人のみで、高齢者施設とはほとんどが同じ状態ではないかとの結論に至った。

「入居者の日々の過ごし方」 朝昼晩の食事(1F食堂)以外の時間は、1人部屋でどの様に過ごされているかは各人異なって具体的に知る由もないが、ただ共通していることは想像が付く。恐らくは退屈と孤独を感じながら、いつしか眠っている。
お互いに顔を合わすのは食事時であるが、スタッフの方の行動を観察していると、仕事とは云え献身的で入居者に対して至れり尽くせりの接し方で、薬を服用されている方が多く、忘れないよう必ずスタッフの方が飲ませる。
時々笑える時がある。例えば、目薬点眼の時「眼を開けて」と言えば逆に力を入れて目を閉じる。
このような状態が毎日で月日は過ぎて行く。

「楽しみの提供」 わが施設では何も行わなければ以上の状態がこれからも続いていく。残念だが一般的にはこの状態が標準ではないかと思う。
だが今元気である自分が皆さんの日常をひと時でも楽しく過ごせることがないものかと考えた。あったあった。
自分に出来ることは自分の趣味を提供することで、最初の企画として「映画上映会」を行った。

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趣味でDVD映画を200本以上愛蔵しているのを活用して毎週1回月曜日に上映会を食堂にて開催。(ポスターを作り、100インチのスクリーンにプロジェクターで放映)町の映画館状態で鑑賞いただいたが、コロナで蜜を避けるため30週で中止。

映画上映会を残念ながら中止をせざるを得なくなったが、このままで引き下がれない思いから次に企画したのは、京都市内を観光穴場探しに10年間歩き廻った資料をブログに投稿した「京都ぶらり散策」を冊子にした。
そしてやはり毎週月曜日に発行した。出歩くことのできない人達なので次週を楽しみにしておられたが、ネタが尽きて27週で終わった。
愛読していただいた方々には撮りためた写真を「写真集」(製本)を進呈した。

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「現在進行中の企画」  京都ぶらり散策の姉妹編として「東海道五十三次の宿場を訪ねて」の冊子を毎週月曜日発行している。

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「その他の企画として似顔絵を描いて進呈」

Microsoft Word - ノート投稿用似顔絵

希望される方の似顔絵を描いて額縁付きで進呈する。すると思いのほか驚きと喜びの表情をされた。(自分の写真は見ることはあっても、依頼しない限り自分の似顔絵を生涯見ることはないので感動されるようだ。)期待以上の効果があった。入所者のほとんどの方を描いたが、皆さん机の上に大切に置かれているそうです。(スタッフの方曰く)

Microsoft Word - 石原

             余暇での似顔絵を描いた

自負ではないが、多少はお役に立っているようだ。自分もやりがいがあってこれからも楽しみにしていただける企画を、考えるられる限り続けようと思う。
しかし、来年1月には86歳になる。出来るかな・・・・・・・

                                           ji633f@bma.biglobe.ne.jp



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