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レジサイド

薪が燃えて、はぜる。焚き火を囲う、巨大な獣の肉から滴り落ちる獣脂が、火に落ちて、その勢いを増す手助けをする。

ヘイザムはただ独り、それを見ていた。筋骨隆々の体は、ますます滾りを増して、一回り大きくなっているようだ。

身をつんざく夜の寒さも、今では感じない。焼けた肌に刻まれた、獣の爪痕に、部族の勇敢な戦士を称える刺青が、己のうちに燃え盛る闘志を鼓舞する。

火は偉大だ。肉を焼き、暖を取るだけでなく、悪意ある獣や精霊を追い払い、人の気持ちを昂らせ、または、安らぎを与えてくれる。その火が語るのだ。部族の長を殺すのだ……と。

長は老いた。子供の頃、巨獣と見紛うほどに大きく見えた体躯は、もはや、食い時を逃した果実のようにしなびており、槍すらかなわぬであろう、延びた背筋は曲がりくねり、体からは死臭を漂わせ、瞳は濁り、地を揺るがす声は弱々しい。

見てはいられない。王を殺す汚名を被っても、自らが長を殺し、魂の園へ送らねばならぬ。ヘイザムはそう決意した。

──しかし、そう思う戦士が他にいたことを、ヘイザムは考え付かなかった。

【続く】

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