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ムーランとウイグル、そして雄安新区

もともと書いていた文章を書く前に、映画ムーランに対してアメリカで起きている抗議について、少し書いておきたいと思います。読みたくない方は、目次の本題からお読みください。

ムーラン

まず、見方をフラットにするために下記の記事を引用しておきます。

<一部要約>

・世界ウイグル会議(WUC)は米国が資金を提供し、極右民族国家主義グループと同盟を結んだ分離主義者のネットワークである
・創設者たちが明言した目標は、中国の不安定化と北京での政権交代である
・中国のウイグル・ムスリムに関する欧米メディアの報道のほとんどすべては、米国政府が資金を提供し、訓練を受けた右翼の反共主義者ウイグル分離主義者の組織によって生み出された、入念に練られたメディアキャンペーンの産物である
・WUCは草の根運動ではなく、米国の資金と指示に大きく依存している
・WUCの主要メンバーの多くは、ラジオ・フリー・アジア(RFA)とラジオ・フリー・ヨーロッパ(RFE/RL)の上級職にも就いている。これらの米国政府が運営する通信社は、冷戦時代にCIAによって中国とソビエト連邦へのプロパガンダを宣伝し、これらの国々の国境で共産主義への反対をあおるために設立された

ムーランは、中国やウイグルにとっては、「本当のウイグル」を世界にアピールする絶好の機会です。「本当のウイグル」が世界に知れ渡ってしまい、観光客やが増えてしまうことでプロパガンダが崩れることを恐れるのがアメリカです。利権の塊WUCです。一帯一路の、中国の玄関ですから(下図:Xinjiang=新疆ウイグル自治区)。

ういぐ

本当にウイグルを支援したいのなら、映画を公開し、撮影地としてウイグルの魅力を世界に発信し、本当の「民主的な」人々が観光客として現地を訪れることが正しい支援です。行けば分かります。素晴らしい土地、素晴らしい人、素晴らしい料理があるのがウイグルです。

ウイグル

うい

顔を隠し、他国の地でアメリカの国旗を掲げる人権運動、民主化運動。香港で見たものと一緒です。もう飽きました。ジョシュア・ウォン(黄之鋒)も、ムーランに抗議する投稿をしています。彼は突然日本語のツイートをしたり、対日戦略をCIAから指示されています。

実は新型コロナウイルス発生前から、ムーランが公開されないんじゃないかと思っていたのです。新型コロナウイルス発生で映画館での上映がなくなり、苦肉の策でDisney+で配信を開始しています。

Disney+を立ち上げたケビン・メイヤーが、2020年8月26日に辞任するまでTikTokのCEOだったのです。6月1日のCEO就任から、約2ヶ月半の電撃辞任でした。

さて、ここからがもともと書きたかった記事です。

本題ここから

米中冷戦を文字通り冷静に見ておく訓練です。

中国は…アメリカに勝つか負けるかなどは気にしてません。

2024年に中国のGDPはアメリカを上回ります。世界一の経済大国になるのが見えてますから、アメリカやファイブアイズがあれやこれやすることに対してはのらりくらりするだけです。

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中国は内需拡大に向かいますが、本心は一帯一路での一大経済圏を作り上げることです。当然、ここにアメリカは含まれていません。

私が生きている間に、中国の金融的なMarket Capがアメリカを超えるかどうか分かりません。今後も中国は経済的には民主主義(市場経済)、政治的には共産主義を継続するでしょう。これは、世界でどこの国もなし得ていないことを成し遂げようとしているのです。アメリカ式民主主義の終焉かどうかは分かりませんが、ウォッチに値します。

人民元の国際化とデジタル人民元、そして金融的な新Gatewayが実現する頃に、米国産ファンドも中国に資金を一部移すでしょう。それを回避するためには、逆にアメリカはCapital Flightを防ぐ金融鎖国的なことをしなければなりません(もうマネロン規制含めガチガチですが)。または米ドルを強いままにしなければならないのですが、このあたりを複合的に見ていくと面白いです。ちなみにFATCAを香港の銀行に強制的に課したのもアメリカです。この時のHSBC香港の、同行口座所有者に対するコンプライアンス検査は本当に大変でした…(単なるイジメ)。

香港はマルチカレンシーの銀行口座が持てる、アジアでは稀有な土地です。私のメインバンクはHSBC香港なのですが、本当に便利。アメリカの銀行はUSドルだけです(一部を除く)。日本人は本当の意味で通貨分散してないですが、つみたてNISAとiDeCoでそのきっかけが塞がれました。しかしながら、このマルチカレンシーという概念すら無くなってしまうかもしれません。

雄安新区の取り組み

そこで注目しているのが、河北省・雄安新区において実施されているデジタル人民元(DCEP)のパイロットテスト。ここにマクドナルド、スターバックス、サブウェイなど19社がInviteされました。

2階建ての、「組み換え可能」なインフラシティを建設してます。7月以降、ピッチが急激に上がってまして、一度訪れたいと思っています。

河北省

ここでは先端技術の実証実験と改善を繰り返し、他の都市・国に横展開するために多くのテック企業が居を構えるでしょう。ここで新たなデジタル通貨が国境を超えてやり取りされる可能性があります。一帯一路の共通通貨になる可能性ですね。

で、アメリカ企業はグローバルカンパニーであり続けるために、中国から撤退することは無いと思います。

中国で事業を展開する200社以上の米国企業を対象にした調査によると、米国企業はドナルド・トランプ氏の中国とのデカップリング政策である「製造業を米国本国に戻せ」という脅しを無視していることがわかった。
(Source:Financial Times

中国には「四面楚歌」という言葉がありますよ、トランプさん。ノーベル平和賞取ってくださいませ。推薦したのはホワイトハウスの人間がたった1人ですが…

中国株は難しい?

さて、最後に。未来人となってタイムマシンで今に戻ってきたつもりで、中国株を見てみましょう。

現在、中国は96の『一帯一路』(the Belt and Road)参加国・地域と政府間の航空輸送協定を締結している。感染症の流行中にも、中国はこのうちの45ヶ国・地域との間で定期旅客・貨物便の運航を継続し、『一帯一路』協力のために安全、迅速で高効率の空の架け橋を構築した。8月末には、中国民間航空の1日あたり定期便数は1万3千便を超え、新型コロナ発生前の9割まで回復した

中国の経済回復が早いことを見通していた人は、航空会社の株を買っているはずです。度々記事に書いてきましたが、私はChina Eastern Airlines Corp Ltd (HK)を買っています。自分の株式のポートフォリオの中ではダントツ最大です。

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定期便数は9割回復、というタイミングです。なのに、株価は新型コロナウイルス発生時まで回復していません。現在の3.62HKDから22%ほど伸びしろがあります。

私が買った時が2.9HKDあたりで、現在の3.62HKDまで+24.82%上昇したことになります。新型コロナウイルス発生時まで戻すのに、+22%ほどありますので、戻すだけで+46%を超えます。こういうものが「出遅れ株」です。

さらに一帯一路の国々への増便、内需拡大による輸送フライトの増便、相互観光拡大による旅客機増便、このあたりがポテンシャルに繋がってきます。ただ、私の投資としては現状で成功。4.5HKDまで戻したら大成功、未来については不確定要素が多いので期待はしてません。

同じようにDeltaやAmerican Airlineも持ってましたが、既に利確しました。アメリカの実情、中国の実情をより深く知っていく中で、アメリカは投資対象外としたのです。もちろん、米国株で勝っている方もいらっしゃいますので、どちらが正しいというのはありません。スタンスです。

中国株に投資したい方は、ここから良く読んでくださいませ。まず中国トップ500企業が今日発表されました。

1位はファーウェイです。13兆3,300億円(1元=15.52円換算)なので、たいしたことありません。トヨタ、三菱商事よりも下です。GDPベースでは日本より中国が上なのですが、売上トップのファーウェイでもまだ13兆円程度。この「ギャップ」が大事です。

投資の鍵は、現在と未来との間にあるギャップだと思っています。上振れギャップがあればあるほど、将来リターンが大きくなる可能性が高いですよね。なので、自分の投資がShortなのかLongなのか、それは具体的に何ヶ月・何年なのか、どういう目線で情報を捉えるかで変わってきます。

私が知っている著名な投資家YouTuberの方は、証券会社のセミナーにFX講師として出てたりするのですが、はっきり言って下手です。「あと1か月保有してたら勝てるのに」というポジションを、短期間で損切りしてます。儲かっていれば良いのですが、トータルの損失が数千万円(誰だかバレそうですが)。でもこれが悪いというわけではなく、その方がShort戦略で取引しているので、結果的に負けているというだけです。私が少し検証したところ、ShortではなくLongだったら勝てているポジションがいくつもあって、少なくとも今より損失は少なかったと思います。

それくらい、投資スタンスは重要になってきます。そのスタンスに応じて、投資対象を見て、資金管理をしていかないと結果を誤ります。

例えば前述したChina Eastern Airlineは、1年スパンで投資をしました。チャートを良く見ると、エントリーした後の2週間ほどマイナスに振れているのが分かると思います。それで良いのです。損切りするつもりはまったくなく、1年かかってでも反転を待つだけでした。投資上級者の方はそんなこと知っている!と言われそうですが、初心者の方が読む可能性もありますので、強調して書いておきます。

それを念頭に、下記の記事を見ると捉え方が変わります。

Longで投資をしている場合、短期的に売り越しが多くても問題ありません。逆に買い場が来ないか期待します。Shortの場合は「売り優勢になるかも」と考えて焦ってしまい、ポジションを解消してしまうかもしれませんね。スタンスの違いが情報の捉え方の違いに繋がる良い例です。

ちなみに…中国トップ500をマジマジと見る方はほとんどいないと思いますが、念の為に記載しておきますと、国営企業が多いです。日米のマーケットと異なる点です。

あぁ、ついつい長くなってしまいました。ここまで諦めずに読む方はほとんどいらっしゃらないと思いますが、中国は金融マーケット的にはまだまだ途上国です。アメリカと比較して、質量ともに完全に劣るということ(影響を受けやすいということ)を忘れてはいけませんね。

大統領選に向けては、引き続きポジションを多く持たないように気をつけます。

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