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感染率・死亡率とGDPの関係

香港で開催された、第44回・国連人権理事会(30 June - 17 July 2020)。そこでは「香港新国家安全保障法(国安法)に対する国際的な対応」に関する意見が交わされました。新法を支持したのは52か国、不支持が27か国という結果でした。

支持、不支持をマップ化してみました。

マップ

下記の記事に書きました、一帯一路マップと比較すると面白いです。

尚、マップを見て分かる通り、アメリカは人権理事会を離脱していますので、支持・不支持の表明はしていません。表明したところで、不支持なのは間違い有りませんが。

さらに、支持・不支持の国々の総GDPと、Covid-19の感染者数・死亡者数との関係性を集計してみました。意味があるかどうか分かりませんが、誰もやっていないのでやってみます。GDP対決ですね。

GDP比較1

明日から中国・王外相がイタリア、オランダ、ノルウェー、フランス、ドイツを歴訪するようで、GDP対決から見れば理にかなっています。

作成した表の感染者数及び死亡者数は、今日現在(2020年8月24日)公表されているものです。結果的に面白いと思ったのが、下記です。

①支持vs不支持のGDPは均衡している
②支持から中国を除くと、不支持国の感染率per GDP激増
③支持から中国を除くと、不支持国の死亡率per GDP激増
④支持から中国を除くと、支持国の総GDPが激減

支持国にアメリカを入れると、圧倒的に支持国のGDPが高くなります。総GDPから見て、中国は低GDP国家から支持を獲得している稀有な経済大国と言えますし、アメリカ側から見れば中国は低GDP国を金で飼い慣らしている、ということになるでしょう。

どちらも完全に的外れではないと思います。大事なのは、外野がどうこう決めつけるのではなく、当事者がどう思っているかです。

中国は一帯一路によって、関わる国々のGDPを全体的に上げる(経済的支配力を強める)ことを狙っています。その肝になるのが5Gであり、AIをはじめとした先端技術です。よって、一帯一路政策に関わりのある国は、新法を不支持しにくいという見方も出来そうですね。中国に寄り添ってでも経済的発展を目指したい国ももちろんあるでしょう。

ただ、そういう政策的な贔屓目を除外しても、香港の民主化に突如現れた暴動に対しては、法的に取り締まらないとカオス化が継続していたでしょう。アメリカによる介在が明らかになっていますし、周庭を民主化の女神と崇め、スポークスマンとして日本の中国敵視を煽り続けています。日本でも香港民主化の活動が行われ始めてますが…はっきり言って日本は関係ないですから巻き込むのは辞めて頂きたい。

このあたりは、アメリカによる執拗なイジメに対する中国の防衛策と捉えることも出来ますし、中国が秦の始皇帝による中華統一時から、性悪説による法治国家建設を目指したことを勉強してみると面白いと思います。韓非子あたりですね。また、数百人規模の反乱から、国の転覆を何度も経験したことがある国と、まったく経験したことのない国とでは、国家観が異なります。

歴史的背景も統治方法も異なる国や人が、頭ごなしに「こうあるべきだ」と決めつけることは出来ません。アメリカがやろうとしていることはそれです。アメリカも、米ドルや石油の利権による国際経済的支配をしてきた国です。国際警察的国家だと今でも思っています。果たしてそれはいつまで続けることが出来るのでしょうか。でも、今回のGDP計算から見ると、もう少し中国の覇権奪取には時間がかかりそうな気がします。

とは言え、これも以前書いた通り、中国がいわゆる「アメリカから見たまともな国」になった時がアメリカにとって最も脅威になるのではないでしょうか。私は、アメリカが中国にイジメを繰り返せば繰り返すほど、「中国がまともな国」になっていくと思っています。

日本は、他国の政策には口出しせず、警察ごっこに加わるべきではありません。得意の曖昧外交で良い。それよりも、日本が国内で解決しなければらない問題にフォーカスしてもらいたいですね。

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