恐ろしい思い込み
雪が深く積もったシカゴの冬も終わり、あれだけ多かった雪はもうどこにもない。除雪車は一晩中走り、融雪剤を撒き道路の安全を確保する。だからスノータイヤは誰も履いていない。もちろんチェーンは禁止である。しかし気温が上がると雪はあっという間に消えていく。人間の必死の苦労を嘲笑うようである。
この時期になると犬のフンがやたらと目立つようになる。雪が深かった時に犬のフンを拾わず、雪に埋めて立ち去る飼い主が多いからだ。雪が融けると干からびたフンが至る所にある。こういう光景を毎年見ているともっとモラルを持って犬を飼って欲しいと思う。またこんな飼い主と同じ目で見られるは心外だと思う。
私の近所の家の庭にはいつも犬のフンが放置されたままだった。道路に面したその庭の横を通るたびに、一体誰がこんなことをするのだろうと憤慨していた。人の家の庭にフンを放置するなんて。私も犬を飼っていたが、犬のフンを拾わずに去ったことは一度もない。これは完璧なマナー違反だ。アメリカでは放置された犬のフンのDNA検査から犬を特定するというビジネスまで誕生しているとニュースで見た。
そんなある日の早朝、私はついにその犯人を目撃した。その犯人は意外な人物だった。人間の思い込みは大変恐ろしい。自分の過去の経験、メディアで流されるさまざまな情報を基に頭の中で固定観念は出来上がっていく。
犯人は誰だったか皆さんはすでにお分かりですね。
『そんなのわかるはずがない!だってあんたの隣人の名前なんて知らないから』と考える人がいるかもしれませんが、それも大きな思い込みかもしれません。名指しできる可能性がある人は私を含めて2人しかいないのですから。
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