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GPS、住所無ければ、ただの箱

1週間フロリダ州NASAに同僚6人で出張。仕事は深夜10時から翌朝まで。全身の臓器がバラバラに好き勝手に動いている。自分の体が自分のものじゃない感覚だ。職場への運転はいつも大学卒業したてのクリスが担当。NASAの周りは自然保護区で、野生動物がいっぱいいる。毎日通勤中は、その景色をボーっと見ていた。

昨夜は私だけ深夜1時上がりだったので、先に宿舎(Airbnb)に戻って寝ることにした。宿舎まではGPSがご案内。Mr.ChildrenのHanabi、Himawari、エソラを聴きながら快適なドライブ。シカゴからもってきた鯖缶をつまみにビールを飲む自分の姿を想像していた。無事到着。1:30。そこで思いも寄らない事件が。

鍵が開かない

玄関の窓から鯖缶が見える。同僚たちは明け方まで帰ってこない。どこか窓が開いていないか探した。でも良く考えると、ここはフロリダ。みんな銃をもっている。深夜に窓から侵入する人間を見かけたら、蜂の巣になるかもしれない。仕方なく、私は職場に戻りクリスに家の鍵をもらうことにした。ここでさらなる問題。NASAの敷地はとてつもなく広い上に、敷地内をGPSは認識できない。目的地がはっきりわかっていないとGPSは機能しないのだと妙に納得。

クリスが運転する車に乗ってボケーと見ていた景色を必死に呼び起こし繋ぎ合わせる。記憶を担当する大脳皮質と海馬はフル活動。脳神経に電気が流れるのがわかるくらい。最終的に頼れるのは自分だと再認識。

深夜の自然保護区を運転してなんとかクリスがいるビルに到着した。そのビルを見た時、思わず“Yes!”と叫んだ。クリスに事情を説明した。彼の最初の一言は、

“Kazu,家を間違っていないか?”

斬新な発想で思わず笑ってしまった。普通このようなケースでは鍵を疑うが、彼は家を疑った。もちろん、鍵が問題だった。クリスから受け取った鍵を私がもっている鍵と重ねてみると鍵山が合わない。これまで、この家を借りた人は誰もこの鍵がダメなこと気づかなかったのだ。

私が学んだ教訓:答えがない問題を解決する際に、テクノロジーはあてにならない。


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