ハラスメント防止措置

【◎ 指針に定められている項目について具体的な取組例】
 次に事業主が雇用管理上講ずべき措置の方法について、それぞれの指針及び運用通達に示されたものを示します。

【● 事業主の方針の明確化及びその周知・啓発】
1 ハラスメントの内容、方針等の明確化と周知・啓発
事業主は、ハラスメントを防止するためには、まず事業主の方針としてハラスメントを行ってはならないことを明確にするとともに、これを従業員に周知・啓発しなければならず、方針の周知・啓発として、次の措置を講じなければなりません。
今回の改正で、次のとおり改正されました。
労働者⇒管理職を含む労働者
あってはならない⇒行ってはならない

事業主は、事業主の方針等を明確化しなければならず、次に示す取組を行わなければなりません。

【ハラスメントの発生の原因や背景】
周知・啓発をするに当たっては、ハラスメントの防止の効果を高めるため、その発生の原因や背景について労働者の理解を深めることが重要であり、それぞれの指針でハラスメントの発生の原因や背景についてそれぞれ示しています。

◎パワーハラスメント
パワハラ指針では、次のとおり、ハラスメントの発生の原因や背景に「労働者同士のコミュニケーションの希薄化などの職場環境の問題」されています。

その際、職場におけるパワーハラスメントの発生の原因や背景には、労働者同士のコミュニケーションの希薄化などの職場環境の問題もあると考えられる。そのため、これらを幅広く解消していくことが職場におけるパワーハラスメントの防止の効果を高める上で重要であることに留意することが必要である。

◎セクシュアルハラスメント
セクハラ指針では、次のとおり、ハラスメントの発生の原因や背景に「性別役割分担意識に基づく言動」されています。

その際、セクシュアルハラスメントの発生の原因や背景には、性別役割分担意識に基づく言動もあると考えられ、こうした言動をなくしていくことがセクシュアルハラスメントの防止の効果を高める上で重要であることに留意することが必要である。

● セクシュアルハラスメントの内容には、異性に対するものだけではなく、同性に対するものも含まれます。
● また、被害を受ける者の性的指向(※1)や性自認(※2)にかかわらず、性的な言動であればセクシュアルハラスメントに該当します。
※1 人の恋愛・性愛がいずれの性別を対象とするか
※2 性別に関する自己意識
● 性別役割分担意識に基づく言動の例としては、以下が考えられます。
 ① 「男のくせに根性がない」、「女には仕事を任せられない」などと発言する。
② 酒席で、上司の側に座席を指定、お酌等を強要する。
● 性別役割分担意識に基づく言動そのものがセクシュアルハラスメントに該当するわけではありませんが、セクシュアルハラスメントの発生の原因や背景となり得るため、こうした言動も含めてなくしていく必要があります。
◎妊娠・出産・育児休業等ハラスメント
《妊娠・出産等指針》
妊娠・出産等指針では、次のとおり、ハラスメントの発生の原因や背景に「妊娠、出産等に関する否定的な言動(不妊治療に対する否定的な言動も含め、他の女性労働者の妊娠、出産等の否定につながる言動(当該女性労働者に直接行わない言動も含む。)をいい、単なる自らの意思の表明を除く。)」及び「制度等の利用の周知不十分」とされています。今回の改正で「不妊治療に対する否定的な言動」が追加されました。

≪改正概要≫
 妊娠、出産等に関する否定的な言動に不妊治療に対する否定的な言動も含める旨の指針改正が行われました。

その際、妊娠、出産等に関するハラスメントの発生の原因や背景には、①妊娠、出産等に関する否定的な言動(不妊治療に対する否定的な言動も含め、他の女性労働者の妊娠、出産等の否定につながる言動(当該女性労働者に直接行わない言動も含む。)をいい、単なる自らの意思の表明を除く。以下同じ。)が頻繁に行われるなど制度等の利用又は制度等の利用の請求等をしにくい職場風土や、②制度等の利用ができることの職場における周知が不十分であることなどもあると考えられる。そのため、これらを解消していくことが職場における妊娠、出産等に関するハラスメントの防止の効果を高める上で重要であることに留意することが必要である。

● 妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントの発生の原因や背景には、妊娠・出産・育児休業等に関する否定的な言動(不妊治療に対する否定的な言動を含め、他の労働者の妊娠・出産等の否定につながる言動や制度等の利用否定につながる言動で、単なる自らの意思の表明を除きます)が頻繁に行われるなど、制度等の利用や請求をしにくい職場風土や、制度等の利用ができることについて職場内での周知が不十分であることが考えられます。制度等を利用する本人だけでなく全従業員に理解を深めてもらうとともに、制度等の利用や請求をしやすくするような工夫をすることが大切です。
● 妊娠・出産・育児休業等に関する否定的な言動は、本人に直接行われない場合も含みます。例えば、夫婦が同じ会社に勤務している場合に、育児休業を取得する本人ではなく、その配偶者に対して否定的な言動を行うことは、 妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントの発生の原因や背景になり得る行為です。

《育児休業等指針》
 育児休業等指針では、次のとおり、ハラスメントの発生の原因や背景に「育児休業等に関する否定的な言動(他の労働者の制度等の利用の否定につながる言動(当該労働者に直接行わない言動も含む。)をいい、単なる自らの意思の表明を除く。)」及び「制度等の利用の周知不十分」とされています。

その際、職場における育児休業等に関するハラスメントの発生の原因や背景には、①育児休業等に関する否定的な言動(他の労働者の制度等の利用の否定につながる言動(当該労働者に直接行わない言動も含む。)をいい、単なる自らの意思の表明を除く。以下同じ。)が頻繁に行われるなど制度等の利用又は制度等の利用の申出等をしにくい職場風土や、②制度等の利用ができることの職場における周知が不十分であることなどもあると考えられること。そのため、これらを解消していくことが職場における育児休業等に関するハラスメントの防止の効果を高める上で重要であることに留意することが必要であること。


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