「令和5年度ものづくり基盤技術の振興施策」(ものづくり白書)
「令和5年度ものづくり基盤技術の振興施策」(ものづくり白書)を本日閣議決定
ものづくり企業における能力開発の現状やデジタル化に対応した人材の確保・育成状況などを紹介
政府は本日、「令和5年度ものづくり基盤技術の振興施策」(以下、ものづくり白書)を閣議決定し、国会に報告しました。
「ものづくり白書」とは、「ものづくり基盤技術振興基本法」第8条に基づき国会に毎年報告する年次報告書で、政府がものづくり基盤技術の振興に関して講じた施策を取りまとめたものです。この白書は、経済産業省・厚生労働省・文部科学省の3省が共同で作成しており、平成13(2001)年の白書から、今回(2024年版)で24回目の公表となります。
厚生労働省担当の「第1部 第2章」では、ものづくり人材の雇用と就業動向、能力開発の現状、ものづくり企業における能力開発の取り組みと効果、デジタル化に対応した人材の確保・育成について、JILPTの調査研究等を活用して紹介しています。また、「第2部 第2章」では、ものづくり産業における人材育成に関する施策について、企業の取り組み事例とともに紹介しています。
■「2024年版 ものづくり白書」の構成(厚生労働省担当パート)
【第1部】ものづくり基盤技術の現状と課題
第2章 就業動向と人材確保・育成
第1節 ものづくり人材の雇用と就業動向
第2節 ものづくり人材の能力開発の現状
第3節 ものづくり企業における能力開発の取組と効果
第4節 ものづくり企業におけるデジタル化に対応した人材の確保・育成
【第2部】令和5年度においてものづくり基盤技術の振興に関して講じた施策
第2章 ものづくり産業における人材育成に係る施策
第1節 人材確保と雇用の安定
第2節 職業能力の開発及び向上
第3節 ものづくりに関する能力の適正な評価、労働条件の確保・改善
■「2024年版 ものづくり白書」のポイント(厚生労働省担当パート)
第1部 第2章 就業動向と人材確保・育成
第1節 ものづくり人材の雇用と就業動向
● 製造業の就業者数は、2022年は1,044万人、2023年は1,055万人と増加した。【P.40 図212-1】
● 中小企業における産業別従業員数過不足DIをみると、製造業は、2020年に新型コロナウイルス感染症の感染拡大による影響を受け過剰に転じたが、それ以降不足に転じ、2023年にはマイナス20.4と、同感染症の感染が拡大する以前(2019年)より人手不足感が強くなっている。【P.39 図211-4】
● 2002年からみると、若年就業者数は減少し、高齢就業者数は増加しているが、近年はほぼ横ばいで推移している。【P.41 図212-2、図212-3】
第2節 ものづくり人材の能力開発の現状
● 製造業における計画的なOJT及びOFF-JTを実施した事業所の割合は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大以前の水準には戻っていない。【P.49 図221-1、P.50 図221-2】
● 製造業における自己啓発を行った労働者の割合は、正社員が4割前後、正社員以外が2割未満で概ね横ばいで推移している。【P.51 図221-3】
● 製造業における人材育成の問題は、6割以上の事業所が「指導する人材が不足している」となっている。【P.53 表222-2】
第3節 ものづくり企業における能力開発の取り組みと効果
● 伝統的な改善提案やQCサークルなどの奨励に加え、「能力評価制度の導入」や「自社の技能マップの作成」など従業員の技能習得のプロセスを支援する環境整備も一定程度行われている。【P.54 表231-1】
● 約8割の企業は従業員が身に付けた能力・スキルを実務で発揮するための取り組みを行っているが、配置転換やプロジェクトチームの人選まで踏み込む企業は限られている。【P.55 表231-2】
● 正社員については5割を超える企業が能力・スキルを昇給・賞与へ反映させている。【P.55 表231-3】
● 従業員の育成・能力開発を行っている企業のうち、経営面または人事面の効果を「実感している」、
「やや実感している」とした企業は6割程度。効果を感じている企業は、「技術水準や品質の向上」や
「従業員の能力・スキルの底上げ」など、期待した効果を実感している。【P.56 表232-1~P.59 表
232-6】
● 従業員の育成・能力開発を行っている企業のうち、経営面と人事面どちらも効果を「実感している」とした企業(1割程度)について分析すると、能力開発周辺の仕組みの整備に取り組んでいる割合が高い。【P.60 図233-1~P.62 図233-3】
第4節 ものづくり企業におけるデジタル化に対応した人材の確保・育成
● ものづくり企業において、デジタル技術を活用している企業は、2019年は5割弱だったのに対して、2023年は8割を超えている。【P.70 図241-1】
● デジタル技術の活用が進んだ企業は、デジタル技術の活用に向けた人材確保の取り組みをより進めると
ともに、自社でのデジタル技術に関する人材育成の取り組みを充実させている。【P.74 図242-1、P.75図242-2】
● 従業員数300人以下のデジタル技術の活用が進んだ企業は、2019年から2023年の間に営業利益を伸ばしている割合が高くなっており、従業員の賃上げなどの処遇改善も進んでいる。【P.79 図243-3、P.80図243-4】
第2部 第2章 ものづくり産業における人材育成に係る施策
● ものづくり産業における人材育成に関する厚生労働省の施策について、企業の取り組み事例とともに紹介。【P.280~307】
※「ものづくり白書」は、厚生労働省ウェブサイトの「統計情報・白書」のページからダウンロードできます。
(https://www.mhlw.go.jp/toukei_hakusho/hakusho/)
[参考資料]
・
2024年版 ものづくり白書 概要(厚生労働省担当パート)[1.3MB]
・2024年版 ものづくり白書 本文(全体版)[経済産業省ホームページへのリンク]