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マック地蔵達に祈りを-映画「東京自転車節」-

都内のマックの前を通り過ぎると、日焼けした男達が自転車と一緒にたむろしているのを良く見かけた。

彼らはUberEatsの配達員達だ。

巷では、彼らのことを"マック地蔵"と呼ぶらしい。

マック地蔵達の内訳は、どうやら日本人だけではないらしく、そこには、東南アジア系と思われる若者たちも多い。

ところが最近、彼ら地蔵達の数がこころなしか減っていると感じていたところ、Twitterのトレンドにこのような記事があった。

"山梨で働きながら映画製作をしていたところ、コロナ禍で職を失い、2020年3月に上京してUberEats配達員となった映画監督の青柳拓さん。ホテルや友人の家を転々としながら東京を自転車で走り抜け、奮闘した3カ月間を映画に記録した『東京自転車節』が7月10日より公開されます。"

青柳さんという映画監督さんが、UberEats配達員をしながら、今の世相に迫るという内容の映画のようで、いつも社会派の映画を取り上げているポレポレ東中野で上映されるようです。

久しぶりに見てみたいなあ、と思う映画です。
しかも、日本人監督の。

夢を追う生き方が正解なのか否かは、ぼくには分かりませんが、今も俳優になりたいとか、ミュージシャンになりたいとか、映画監督になりたいと、一部の若者は思うはずです。
それくらい若者の目には、大人達の生き方が魅力的にはうつっていないのでしょう。

そして、その中のごくひと握りの若者が、その夢だった仕事で生計を立てられるようになり、反対に多くの若者達が「あっこれ違うかも」、と挫折と一括りにはできない方向転換をしていくことになります。

ぼくが若かった頃、夢追い人達は取り敢えず、何かしらのバイトで生活を成り立たせていました。

今、そういう人達は、この青柳さんのように、UberEatsドライバーをされたりするのでしょうね。

自分の都合に合わせて働ける利点がある一方、こうしたギグエコノミーと呼ばれる雇用のデメリットも、巷では良く叫ばれています。

世界はこれからどうなっていくのでしょう?

経済的な格差は広がるばかり、ぼくや青柳さんのように一度お決まりの人生コースを外れた人間が、改めて優良企業の中で待遇の良いポジションを得るのも、まあ難しいでしょう。

かといって、優良企業とされる会社の方々も熾烈な競走にさらされ、メンタルをやられるか、またはビッグテック達の囲い込みで、あれっ人間いらない?という風潮が眼前に迫ってきているという話をよく見聞きします。

ぼくはそんな職場で働いたことがないので、優良企業の実態はまったく知らないのですが、こんな感じなのでしょうか?
それとも、わりと安穏とした空気感がまだ生き残っているのでしょうか?

とにもかくにも、アウトサイダーに優しくない社会なんてつまらない。
オリンピックの皺寄せもくるだろうから、多くの庶民がこれから益々貧しくなる社会の中で、ぼくたち弱者はどう生き抜いて、生を謳歌するべきか、この映画を見ながら考えてみたいと思いました。

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