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船待ち日和

「島らしさ」というと、一般的には海であったり、
それに紐づいて漁港や魚料理を思い浮かべる人が多いと思う。

とはいえ、これまで海士町を訪れた殆どの人が、漁業の瞬間に立ち会ったことはなさそうな気がする。潮の流れ次第で、引き上げる網を変えたりするので、魚を積んだ船が港に帰ってくる時間もその日次第。8時前に帰ってくることもあれば、12時を過ぎそうな時もある。

人様の都合に合わせてられないのだ。陸にいる限りは、ひたすら待った者だけが、水揚げされたその場で魚を手に入れられる。

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今日は、船が帰ってくるのを待つには最高の天気だった。
きらきら光る海は綺麗だし、久々に肌に太陽の光が染み込む。
沖合の船を眺めながら、ボーっとしてしまう。

今年の7月に、定置網漁船に乗せてもらった時のことを思い浮かべながら、
沖合での船上の風景を想像してみたりもした。あの時は、とても時化ていて酔ったし、越前クラゲの大きさに驚いたりしていた。

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穏やかな海のうえを、静かに船が帰ってくる。
船からどんと降ろされた青いコンテナには、
氷水で締められた色んな魚が入り混じっていた。

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ヒラマサ、アジ、サバ、アナゴ、スズキ、アオリイカ、カワハギ、ヘダイ。
氷水の中に手をつっこみ、氷の下に隠れた魚を探す。ヒラマサは、尻尾や頭を振って、ばしゃばしゃと水しぶきをあげていた。

40名分のお刺身を準備する予定があるのでヒラマサを5本。
あとは、普段見かけない魚も、ちょこちょこと買ってみる。
活きたまま、島食の寺子屋校舎に持ってあがり、包丁で血抜き。
淡く鮮やかなヒラマサの肌に、ドロッとした血がつく。

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漁港でつまみ食いを終えたトンビが、舞っていた。空が高い。

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