見出し画像

魚の鮮度が落ちる過程を知ったら目から鱗だった。

魚が死んだ後から腐敗するまでの行程を知ると魚の鮮度保持の強い味方になります。こればマジ。

生き物は死んだ後に死後硬直することで体全体が硬くなった後に、これが解かれると時間の経過と共に腐敗が進んでいきます。
鮮度保持には魚のもともと持ってる体力(個体差あり)や釣った後の処理が影響してきます。

死後硬直の行程
①死 ②硬直開始 ③完全硬直 ④解硬 ⑤軟化 ⑥腐敗
魚が死ぬと筋肉中の成分が分解されて死後硬直が始まります。
死後硬直が始まる時間は魚の種類や栄養状態、獲ってからの処理によって異なってきます。

10cm小さなアジと80cmを超える大きなブリを比べると筋肉の量が全く違い、ブリの方が筋肉量が多いので死後硬直の始まりもブリの方が遅くなります。

同じ魚でも1年間の中で産卵期のときは卵巣や精巣にエネルギーがいくため、身が痩せて筋肉量が少なくなるため死後硬直が早まります。

硬くなるまでの時間は死後数分から10数時間かけて硬直が始まります。
その後5時間から22時間まで完全硬直状態が持続します。
完全硬直状態とは魚の頭を持って横にしても尻尾の方が下がらず、棒のようにまっすぐ保てる状態です。

完全硬直が一定時間経過すると解硬がはじって、身が柔らかくなると同時に体液が組織に滲み出てきます。
体液に含まれている酵素類によってタンパク質や脂質を分解する自己消化が速やかに始まり、魚はより軟化しやすくなっています。

魚に付いていた微生物が自己消化によって分解されたタンパク質などを栄養にしてどんどん増殖していきます。
増えた微生物の酵素作用により腐敗がより進んでいきます。
生臭さや腐った卵臭の不快な匂いや口に入れた瞬間に吐いてしまう状態になります。

僕はヒラメを寝かせることに失敗したことがあり、匂いを嗅いでも臭くないし大丈夫そうと判断して、食べられるか試しに生で食べてみたところ
口に入れた瞬間に体が
「これは危険!!!!!!!!」と反射で吐いたことがあり、そのあと吐き気が止まらなくて一瞬で変な汗をかいた。
体を守る反応を身をもって感じた貴重な経験でした。反射さん体を守ってくれてありがとう。

魚の鮮度を長く保つには

魚介類は肉などの食品よりも鮮度の落ち方がとても早く、鮮度が落ちて軟化の状態になると完全硬直前の状態にはできない食材です。
鮮度を保つためには魚が死んだ後に魚体に起こる死後硬直までの変化を可能な限り遅らせることが重要になってきます。
何も処理しない野締めの魚よりも、活け締めして即殺した魚の方は死後硬直するまでの時間が遅くなります。

すると硬直状態の持続時間も長くなるために自己消化が遅れて腐敗するまでの時間も長くなります。

鮮度がいい状態に保つには即殺からの血抜き、そして氷水(海水)での魚体を冷やすことが重要になってきます。

鮮魚流通の源流にいる漁師として鮮度を維持できる処理を心がけて取り組んでいきます。

美味しく魚を食べてもらえることが漁師としての喜び。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?