見出し画像

週刊金融日記 第429号 日本のコロナ対策迷走でわかったWhy(=信念)のとてつもない重要さ、迷走する安倍内閣のコロナ対策、レストラン紹介コーナーは自粛中、医学部受験は田舎の入りやすいところ、他

// 週刊金融日記
// 2020年7月21日 第429号
// 日本のコロナ対策迷走でわかったWhy(=信念)のとてつもない重要さ
// 迷走する安倍内閣のコロナ対策
// レストラン紹介コーナーは自粛中
// 医学部受験は田舎の入りやすいところ
// 他

 こんにちは。藤沢数希です。
 香港は大量検査でクラスタ連鎖が見つかり、あれよあれよという間にウイルス対策が実行され、あっとう間に夜に人が出入りする場所はほぼぜんぶ閉まりました(笑)。まあ、昼間はお店が開いているし、夜はデリバリーで美味しいものを食べられるので、そんなに不自由していませんが。それにしても、恐るべきスピード感ですね。

★これまで全開状態だった香港ですが、一気に夜間限定ですがほぼロックダウン的な状況になりました。

★レストランの夜間営業が禁止になる前夜には、ワインなどを遅くまで楽しみました。

★僕は都心に住んでいるので、デリバリーはめちゃレベルが高いです。大きいロブスターです。これで6000円弱ですかね。

★昼間は「まだ」レストランなど楽しめます。しかし、感染が増えるようなら、昼間も容赦なく締めると香港政府は言っています。

 新コロ禍の影響で、だいたいのものがオンラインでオッケーになったのですが、映画のマスコミ向け試写会もオンライン化していて、大変にありがたいです。ビジネス情報誌の週刊SPAで連載中の今月の映画評です。

●女性はダメンズが大好き?又吉直樹原作の映画『劇場』
https://nikkan-spa.jp/1682127

 今週も読者から興味深い投稿がいくつもあります。見どころは以下のとおりです。

- なぜ日本政府はコロナに対して放置プレイなのですか
- 医学部受験は東京実家縛りから逃れ田舎の入りやすいところに入れ
- 既婚ですがパパ活などをやめないアラツー彼女のスマホを再び見るべきか
- メルマガの題材としてメンタル工学を扱ってほしいです
- 恋愛工学を学んだ男たちもまた女たちの無料性風俗店なのでは

 それでは今週もよろしくお願いします。

1.日本のコロナ対策迷走でわかったWhy(=信念)のとてつもない重要さ

 連日、ニュース等で報道されていますが、日本での新型コロナウイルス感染者の増加が止まりません。不幸中の幸いで、今回のクラスタ発生の中心は病院ではなく(新コロ対策が以前よりできています)、東京の「夜の街」などで従事する人たちやその顧客であるため、ハイリスクグループの高齢者ではなく若年層でまずは感染が広がっています。そのため、まだ重傷者や死亡者は顕著には増えていませんが、これも時間の問題で、高齢者などにも広がっていくと思われます。実際に、重症患者数はこの数日、上昇に転じています。すこし前まで、ほぼゼロになっていた地方も、現在は東京と同じような、あるいは東京より速い感染者の倍加時間になっており、旧クラスタ対策班で西浦教授らの疫学シミュレーション通りに感染者数が増加の一途を辿っています。

●流行前の生活に戻すと「都内の感染7月中に1日100人以上になる」西浦教授ら試算 2020年6月3日
https://www.yomiuri.co.jp/national/20200603-OYT1T50064/

 小池百合子都知事が国に先立ち「感染爆発の重大局面」と外出自粛要請を出し(3月25日)、志村けんさんが亡くなって(3月29日)、安倍首相の緊急事態宣言で(4月7日)、日本国民総出のいわばボランタリーな全国ロックダウンが行われました。それがめちゃくちゃ効いて、5月のゴールデンウィークが終わってしばらくすると(5月中旬)、東京以外では日次の新規感染者がほぼゼロになっていました。東京もあとすこしのところでゼロまで行く、という勢いでした。
 しかし、新コロ感染者がほぼゼロになると、いろいろ世論も景気重視に振れたのか、また、旅客鉄道や観光業などの業界からの突き上げがあったのか、「官邸主導で」緊急事態宣言を前倒しで解除しました。
 西浦教授らの精緻なシミュレーションを持ち出すまでもなく、僕も含めて、新コロ感染についての簡単な基礎知識がわかっている人たちには、緊急事態宣言が前倒しで解除され、特に感染を抑えるために検査体制や隔離や店舗への営業停止命令を可能にする法整備などもしていないのだから、放っておけば、また、すぐに元に戻って、さらに前より悪い状況になるのは自明でした。それらはすでにバックナンバーに事前に書いていたとおりですね。
 日本は、こうして消耗が激しいが効果抜群の大技である緊急事態宣言による全国自粛ロックダウンという貴重なカードをみすみす無駄にしてしまったわけです。それで、なぜこんなことになってしまったかというと、結局のところ「なぜ」全国自粛ロックダウンなどという大技を繰り出すのか、というところをはっきりさせていなかったことにつきるのではないか、と思われます。驚くことですが、目的が何かが共有されていなかったのです。とりあえず、目先の医療崩壊だけは避けよう、というのはあったのですが、それ以外は何もビジョンがありませんでした。だから、何となく外出自粛要請でのロックダウンをやり、収まったら、何となくそれを解除してしまった。戦略がないし、戦略がないのは、そもそも何をやりたいかの最終目標がないので、ある意味で当然なわけです。これは、とても日本らしいです。

 そして、こうやって振り返ると、僕は2月にTwitterなどで割とリテラシーが高い人同士で議論していた、封じ込めかピークカットか、という論争を思い出します。すでにバックナンバーに書いたとおり、僕はWHOが言っていることと、この分野で一番進んでいてかつ日本と政治体制が似ている(中国本土は特殊な政治体制なので参考にしづらい)、韓国、台湾、香港の政府が実際にやっていることを一番信頼していましたので、封じ込めるべきだという結論に達していました。また、リスクとベネフィットで見ると、封じ込め政策のいいところは、むしろ結果的に封じ込めることができなくても、なおメリットが大きい、ということも理解しました。封じ込め政策のいいところは、封じ込められなくてもいいことなのですね。ゼロ近くに常になっているわけで、また、ゼロ近くになっていれば対策コストも安いわけです。

週刊金融日記 第408号 いまさら人に聞けない新型コロナウイルス(COVID-19)問題の勘所を解説する』 2020年2月26日
週刊金融日記 第409号 封じ込め(Containment)かピークカットか』 2020年3月2日
週刊金融日記 第416号 新型コロナウイルス撲滅の実現性とグリーンゾーン経済圏』2020年4月21日
週刊金融日記 第418号 なぜ新コロはゼロを目指して抑え込むべきなのか』2020年5月5日
週刊金融日記 第420号 リスクマネジメントの視点から新コロ対策を考える』2020年5月19日

ここから先は

12,488字

¥ 220

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?