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週刊金融日記 第493号 女性は恋愛リスクを分散できないので配偶者ガチャで人生ギャンブル、悪い円安が加速、日本に帰ったら食べたいもの、人気声優のYouTuberと実業家との二股について、他

// 週刊金融日記
// 2021年10月19日 第493号
// 女性は恋愛リスクを分散できないので配偶者ガチャで人生ギャンブル
// 悪い円安が加速
// 日本に帰ったら食べたいもの
// 人気声優のYouTuberと実業家との二股について
// 他

 こんにちは。藤沢数希です。
 日本もだいぶ涼しくなったようですが、香港もかなり涼しくなってきました。コロナ禍ももうすぐ2年ですね。こんなふうに香港に閉じ込められるということは、理論的に考えればありうるシナリオでそのことを実際にメルマガにも書いてもいたのですが、理屈と感情は別なので、実感としてはまさかこんなことになるとは、というのが正直なところです。2年間も海外旅行できないとはね。僕はこの間に、香港と日本を強制隔離を経ながら果敢にも二往復したんですけどね。
 それで、意外となんか強制隔離が懐かしいです。というのも、いまはひとりで原稿を書いたり分析系の仕事がしたい欲が高まっていて、強制隔離は完全な缶詰状態になるので、悪くないかな、と。もうすぐ日本に帰ることは決まっているのですが、次に香港に戻ってくるとき、隔離がどうなっているかは、先のことなのでよくわかりませんね。香港は最長で21日間になるのですが、それはそれでいいかな、と。

★今年の3月には21日間、完全にホテルに缶詰になるという経験をしました。隔離は政府が認定したホテルでないとダメなんですが、いいホテルを取ったので70万円ぐらいかかりました。

 先週のメルマガで紹介したイカゲームですが、あれからさらに世界的にバズっています。まさか、ここまで流行るとは……。さて、このドラマでもあったんですが、愛する家族が重い病気になってしまい、貧乏なためにその治療費が払えない、という場面が出てきます。これはイカゲームに限らず、日本のドラマにも非常にありがちな設定なのですが、僕はこれは社会への有害な影響があると思っています。
 というのも、がんなどの大変な病気になると、多額の医療費がかかり、金持ちは助かるが、金がないと助からない、などということをじつに多くの人たちが信じているわけです。だから、ドラマでもそういう場面が描かれるわけですね。しかし、すでにメルマガで勉強したように、日本の医療費は所得から上限が決まっていて、何百万円もかかる難しい手術だろうと、ふつうの所得なら数万円の負担しかしないわけです。香港も難しい病気や緊急を要する怪我などは、公立病院があって、ほぼ無料です。韓国も当然、しっかりとした医療制度があります。
 ドラマで、こういう医療費が払えない、みたいなフェイクのシーンを流すものだから、庶民はすっかりそういうものだと信じていて、タダでさえ貧乏なのに、保険会社からインチキ医療保険を売られて、さらに困窮してしまうわけですね。そんなの必要ないのに。また、金持ちは金持ちで、がんなどになると、ほぼ無料の公的医療の治療を拒否して、インチキ代替医療にどっぷりハマって、インチキ医師に金も命も取られます。こういう医療費が払えなくて、家族の生死がわかれる、というフェイクは法律で規制したほうがいいかもしれません。

●「イカゲーム」の価値は1000億円余り ネットフリックスが推計
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-10-17/R13MUBT0G1KW01

週刊金融日記 第385号 正しいがん検診とがん治療はとても簡単だった
週刊金融日記 第400号 保険はすべて解約せよ!人生はノーヘッジで

 さまざまな職業の紹介をしている人気YouTube番組「俺たち天下のゆとりーマン」が外資系証券会社について動画を作りたいというので監修しました。僕は外資系証券会社のサラリーマンを辞めてから、日本では文筆業に主軸を移していたのですが、香港は金融業しかまともな産業がないので、またヘッジファンドや証券会社の人なんかとつるむようになって、僕も何が本業なのかわかりませんが、トレーディング業務を長期的プランの下ではじめています。いずれ、今年の反省についてはまたメルマガで書きますが、とりあえず、まあまあ起ち上がりつつある、という感じでしょうか。日本、香港(と中国)、米国市場を同時にカバーしながらぼちぼちやっていきたいです。証券会社なんかだと、トレーダーの権限が市場とプロダクトで細かく決まっているので、こんなふうに複数の市場を同時に見ることができないことがほとんどですが、個人だと何でもできるのでいいですね。

●平均年収3000万。サラリーマンの最高峰、外資系投資銀行の日常が壮絶すぎる…

『外資系金融の終わり』 http://amzn.to/2ixif2n

 今週も読者から興味深い投稿がいくつもあります。見どころは以下のとおりです。

- アメリカ人はもうコロナで死ぬことを恐れないのか
- 人気声優のYouTuberと実業家との二股について
- 資産5000万円の30代後半ですが医者の娘のAクラス女子との結婚を決めかねています
- 恋愛活動の冤罪リスクを避けるためには
- 横綱白鵬の孤高と恋愛工学
- 「頑張る」とは仕事をガムシャラにするということですか
- 6500万円の貯金と年間100万円の老齢年金で55歳でFIREできます

 それでは今週もよろしくお願いします。

1.女性は恋愛リスクを分散できないので配偶者ガチャで人生ギャンブル

 僕は身内に受験生がいて、意外と受験生というのは偏差値が高いほど楽かと言えば、そうではないことがいろいろわかり、前回、超進学校トラップとして記事を書いた。

週刊金融日記 第489号 学歴コンプ製造装置となりうる超進学校トラップ

 世の中の現象はとても複雑なので、一般的にルックスや年収、模試の偏差値のように高ければ高いほど良いと信じられているパラメータも複雑な挙動を示すことがある。0が最低で100が最高のスケールであったとして、90→100ぐらいのところに非線形性が現れ、92から95に上がったところにスポッと落とし穴がある、というようなことがよくあるのだ。この観点から女性のルックスと幸福の関係について書いた記事が、たとえば以下である。

●美人であるということは賭け金の高いゲーム
https://cakes.mu/posts/7411

 僕は物性物理の研究をしていたので、物性というのは、たとえば超伝導現象などが典型なのだが、ある物質がある温度を境にして一気に状態が変わる、というような現象にとても馴染み深い。分子一つひとつはものすごくシンプルなルールに従って動いていても、集団になるととても複雑な世界を作り出すのである。新型コロナウイルスの感染拡大と政府の感染対策というのも、まさにこのような複雑なものであり、世界各国が同じウイルスに対して、非常に異なる多様な対応をしている。

 さて、大学受験では東大B判定ぐらいが、ハラハラドキドキで苦しい。東大C判定ぐらいなら、ワンチャン東大受けても、本線は早慶で英語と数学の勉強でもしていればいい。あるいは、手堅く文系なら一橋大学、理系なら東工大ぐらい受ければいい。この層は早慶を同等の進学先として併願できるので、リスクがかなりヘッジされ、ほぼそのまま現役ですんなり大学生活がはじまる。しかし、東大B判定ぐらいになると、せっかくすべての教科をこれまで勉強してきたのだから、早慶では「もったいない」という気分になってくるので、東大しか受けない、ということになり、受験が一発勝負のギャンブルになってくる。
 関西もやはり京大B判定ぐらいが苦しい。C判定ぐらいなら、手堅く阪大ぐらいにして、神戸大が後期入試も行っているため、後期試験も合わせて全落ちリスクを軽減できる。しかし、京大B判定、たまにA判定ぐらいになると、神戸大では納得できないのである。よって、京大に落ちたら浪人して、また京大に再チャレンジという後のない受験ギャンブルをしないといけなくなる。そこまでする意味はあるのか、と思うが、思いつめている受験生にとっては真剣であり、彼にとっては、ほとんどの関西の高校生が勝ち組だと自己肯定感を得られる神戸大では何の慰めにもならない。ましてや関関同立では、である。
 日本は伝統的に大学教育の内容を軽視し、大学入試で子供の格付けを行ってきたので、受験生もその親も必死だ。なお、僕自身はそういう価値観や考え方とは無縁であったことは、過去にメルマガにいろいろ書いたとおりであるのでここでは繰り返さない。また、真面目な話をすると、こういうことになっているから、日本では大学間の競争があまり働いていないわけで(最初からヒエラルキーが決まっていて、中身に興味がないので)、日本の大学以降の教育がどんどん貧しくなっている理由であり、根本的に日本の大学のあり方をスクラップ&ビルドしたほうがいい、と思っている。

「ずいぶんあとになってから、日本の中流以上の家庭では、子供をいい大学に行かせるために、どれほど多大な金と労力が注がれているのかを知った。日本には、人種問題も宗教問題もないが、それらが大学の序列による差別に凝縮されてしまっているわけだ。日本では、学歴というか、学校歴に関して、人々のなんとも言えぬ怨念がこもっているのだ。
 こうして僕は、日本での出身大学の話題=欧米での人種差別の話題、だと学びそれ以来同じ過ちを二度と繰り返すことはなかった。すなわち、自分から大学や学歴の話を口にすることは、決してなくなった。」
-- 週刊金融日記 第201号 現代受験工学の最前線

「第308号のメルマガに、日本の高校の教育とは大学受験甲子園である、ということを解説した。簡単にいえば、日本の進学校というのは、東大合格者数(関西なら京大も)をまるで甲子園のように競い合っている、ということである。それをあからさまに宣伝するところもあれば、そういうのは年収自慢と同じような下品な話なので、上位の伝統校のように控えめに宣伝するところもある。しかし、明らかに、日本の受験産業というのは、このような大学受験甲子園となっているわけである。これを寒々しい教育といえば、その通りであるが、こういう客観的な数値目標があるからこそ、ある種の競争原理が上手く働き、高校以下の日本の教育には規律が生まれ、世界と比較して子供の学力という面では上手く行っているのも事実である。逆に日本の大学教育があまり上手く行っていないのは、この高校までの教育が上手く行っていることとコインの裏と表の関係にあるわけだ。」
-- 週刊金融日記 第462号 大学受験甲子園

 進学校の女子高生も女子高生なりに受験勉強に必死だが、やはりなんといってもヒエラルキーに敏感なのは生物学的にはオスの方なので、男子高生のほうが悲壮感があるようだ。実際に、偏差値が高くなればなるほど日本の大学では女子比率が下がっていく。女性はもっと現実的なので、東大を目指せるぐらいの偏差値なら、実益を踏まえて、もっと手堅く現役で受かる中堅国公立大学の医学部を選好するようである。
 こうして、大学受験を無事の乗り越えたヒエラルキーに敏感な男子高生は、次は就活に向けてがんばりはじめる。すこしでも有名な、みんなが羨む有名企業に就職しないといけないわけだ。人間はどこまで行っても他人から認められたい、という承認欲求の奴隷なのかもしれない。ちなみに、東大生は大学受験勝利の満足感があまりに高すぎて慢心してしまったり、大学は就職予備校ではないなどと考えていたりして、こちらがおろそかになりがちで早慶の学生に往々にして捲られる。人生に大きなインパクトを与えるのは圧倒的に就活の方なので、もっと就活をがんばったほうがいいだろう。

 男子たるもの生まれてから競争、競争であり、社会の階層を上っていくために必死である。それで、なぜそんなに必死かというと、承認欲求とかいろいろ説明は可能だが、究極的には男は社会的地位が高い方がモテるから、ということなのだと思う。そう考えると、社会的地位とモテがあまり関係ない女子の方は楽そうである。しかし、そうではない。彼女たちこそは、大学受験ごときのギャンブルが子供同士の遊びでしかなかった、というような人生ギャンブルをやらないといけないのである。それは、配偶者選びという一大ギャンブルである。
 男たちが受験勉強や就活、そして、会社に就職した後の出世競争に心血を注いでいるのと同じように、彼女たちは男を選んで、そして、選ばれるために心血を注いでいるのだ。それは、受験勉強や就活、会社での出世競争を勝ち続けてきた男たちでさえ、ちびって逃げ出すほどの巨大なリスクである。そのことを今週号では解説したいと思う。

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