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投資とトレードはまったく別のゲームー三田紀房『インベスターZ』を読んでみた

どんどん上昇しつづける物価。
いっぽう預金の金利はず〜っとほぼ0円。
預金してしていると相対的に資産価値はどんどん下がる。
さすがに思いますよ。
預金している私、アホなんじゃね。

どんどん軽くなっていくポテチを買いつづけていたら、いつの間にか怒りがわいてきました。
物価に合わせて金利を上げるべきではないのか。
それができないなら預金をやめて別の運用をすべきではないか。

でも今まで金融とか投資とかについて勉強してこなかったので、どこから手をつければいいのかまったくわかりません。

ズブの素人でもやり遂げることができて、基礎をまんべんなく学べるものはなにか。

やっぱマンガでしょ。

お金を増やすマンガで思い当たったのは、
『賭博黙示録カイジ』と『インベスターZ』。

しかし前者は過激すぎてちょっと怖い。何てったって賭博黙示録である。そこで『インベスターZ』(コルク 全21巻 2013年〜2017年)を読むことにしました。

著者は三田紀房。『ドラゴン桜』などで有名ですね。

超あらすじ

主人公は超名門中学にトップ合格します。実はこの学校、毎年トップ合格した1名だけを集めて投資部を組織しています。この組織は130年前につくられ現在に至っています。130年で積み上げた資産は3000億円。これを中学生(と高校生。ここは中高一貫校なのです。)自身が運用することによって学校の運営費を稼ぎます。実はこの学校この仕組みのおかげで学費は無料。
このような学校での一年が描かれます。
読者は主人公といっしょに投資について学んでいくことができます。

トピックス

全21巻で気になった点、感銘を受けた点を挙げていきたいと思います。これで『インベスターZ』の輪郭を伝えることができればうれしいです。

法則

法則をつくって、法則にしたがって投資すること。
たとえば20%で利食い、10%で損切り。
サンクコストに縛られない。
過去は忘れる。
など。

共感します。たぶん曖昧な規則で行動すると確率より主観が強くなるので、ということは確率的に損するのだと思います。

投資先選定方法

投資の神様、バフェットの言葉が紹介されます。
確固たる信念を持てるまで徹底的に企業をリサーチして、その企業について論文を一本書けなければ株を買ってはいけない。

ですよね〜。世の中、そんなにあまくないですよね。肝に銘じます。
ホント共感しかありません。

利益の本質

人が信じていることと実態のあいだの差がリターンになる。

な、なるほど。人が、実態の株価が安いと思えば株価は上がり、高いと思えば下がる。ここでも虚構(信念)と現実(実態)の衝突が起きています。ここでもと書いたのは、この虚構と現実の衝突は、私が今まで書いてきた記事に通底するテーマになっているからです。
投資の沼、深そうです。

投資とトレード

投資とトレードでは行動がかわる。

投資
企業の成長に資金を投じる。長期保有が大事。年率7%程度の利益を出せば成功。

トレード
市場参加者の心理を読み、過去パターンを参考に売買タイミングを判断。投資よりハイリスクハイリターン。

腑に落ちました。
実はちょっと困っていました。投資とトレードは別ものであることを知らずに投資関係の本を探すと、だいたい億り人を目指す本と年利6%くらいでリスク小さくでも確実に増やすことを目指す本に分かれるのですが、この二つがどのように整合するのか、さっぱりわからない。この疑問に答えてもらえました。読んでよかった。
しかも各巻末に金融専門家による解説があるのですが、そこで、投資とトレードを分けるようアドバイスしている人物もわかりました。トレーダーの窪田剛。そして窪田には『株の学校』という著作があることもわかりました。ということで次に読む本も決まりました。

投資銘柄の選定

消費に直結している企業(B2C)より流行を裏で支える資材や工業製品(B2B)を選ぶ。
「人の行く裏に道あり花の山」という格言もあるらしい。

確かに、たとえばPCメーカーよりもCPUメーカーの方が少ない(たぶん)ので、後者の方がよりマーケットを制覇するのだと思います。

天才

行動する人。100人が思いついても行動するのは一人。100人が行動しても継続するのは一人。つまり継続できるのは一万人に一人。これを天才という。

継続する人をどう呼ぶかは別にして、確かに継続している人は貴重です。でも儲けのために行動していると、いつ儲かるかわからないから継続は難しいでしょうね。やはり、儲けに関係なく、好きだからとか、人を助けたいからといった目的で行動する人が結局は儲かるのかもしれません。
でも、一生売れないミュージシャンとか芸人とかもいるし、記事を書いても書いても一円にもならない人(私のこと)もいるわけで、もうこれは、論理とか超えちゃっていますね。
まぁ話半分で聞いておこう。
(この時点で凡人であることが確定したような…)

愛情

まさかの愛情。インベスターの本なのに。
愛情とは具体的に考えること。答えが見つからなくても忘れずにずっと考えること。

ここでも愛とは記憶であると、愛とは何度も何度も思い出すことであると言われてます。小川哲『ゲームの王国』のテーマがまさにこれでした。
ホントSNSばっかりやって記憶喪失している場合ではない!
とブログ(SNSと言えなくもない)に書いてしまっているあたり、私自身もすでにかなりの愛を喪失しているのかもしれません。
何度も何度も同じような記事を書くことで思い出しつづければ愛を取り戻せるでしょうか。

ところで上のトピックス冒頭で法則についてまとめました。そこでは「過去は忘れる」と書きました。いっけん矛盾しているようにみえますが、そのような読みは浅いのでしょう。文字どおり忘れてしまったら、それはそれでヤバい。そうではなくてしっかり記憶して愛?を放棄しない。でも忘れてしまったかのように、記憶にしばられることなく法則にしたがいなさい、というのが作家からのメッセージなのでしょう。きっと。

そういえば『インベスターZ』のKindle版、期間限定キャンペーン中でたいへん安価になっているようです。(2023年4月24日現在)


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