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【直樹の日常.6H】待っているのは「死」だ

「投了です」

肝心なところで、諦めてしまった。
投了なんて言わなければ、1手差で勝っていたのが
対局後の振り返りでわかった。
実は玉の逃げ道はあったのだ、
それもすぐ隣に。
プロ棋士の様に、何十手先まで読まなくてもいい。

直樹は何に負けたのか。
心理的に追い込まれれば、
あり得ない選択をする。
「別に、この勝負に負けたからといって
命まで取られるわけではない」
そんな緩い気持ちでいた自分が許せない。

自分よりも格上の相手が、
自分よりも多く考えて、
しかも、どんなに追い込まれても
最後の一手まであきらめない。
そんな相手を目の前に、
何て失礼な振る舞いをしたのか。
それでは軽んじられたとしても、仕方がない。

勝負に負ければ、待っているのは「死」だ。
追い込まれたからといって、
安易に「投了です」なんてとても言えない。
最後の一手まで、盤にかじりついて
中身のない頭でも、擦り切れるまで考えろ。

将棋倶楽部を終える度にいつも、
自分の愚かさに頭をもたげて帰路につく。

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