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【直樹の日常.37U】極限状態

「昨日は眠れましたか?」
「何とか眠れましたね。でも寝つきが悪くて
1時間くらいしたら意識がなくなりました」
「眠れなかった翌日に寝つきが悪いっていうのは
いつからですか?」
「ちょうど3年前くらいからですかね」
「何か原因があるんですか?」
「コロナもあって運動不足で、減量もしたかったんですけど
寝る前に30分ほどの運動を1カ月ほど続けたんです。
それをきっかけに、変に目がさえるようになりました」
「運動と睡眠ですか、一見関係なさそうですね」
「でも日常で変化したことは、それ以外ないんですよね。
今までも減量目的でウォーキングとか筋トレとか
やってきましたけどその度に体調がおかしくなりましたよ。
いったい何ですかね、この変化って」
「運動量がキツかったんじゃないですか」
「限度が分からなかったんで、とにかく限界までやりました」
「それに直樹さんの年齢からすると
老化っていうこともありますよ。
原因がはっきりしないことを
老化ってごまかすこともありますけど」
「1カ月に一日眠れない日がでてきたのも
老化なんですか」
「歳をとるとみんなそうらしいですよ。
老人ホームの高齢者は
眠剤くれっていう人多いって言いますしね」
「嫌ですね」
「増薬はしました?」
「しました。すぐに元に戻すんですけど、
一時的にでも増やさないと、寝れない日が続くんです」
「続くとどうなるんですか?」
「だんだん調子がおかしくなってきます。
それが長く続くと、だんだん食欲が落ちてきて
そのせいか神経が過敏になって
ちょっとの音でもビクッと反応するようになります。
身近でいえばテレビが見れなくなります」
「ワイドショーなんか、基本暗いニュースばっかりですしね」
「ひどく影響されてしまうんですよ。
健康な人からは想像がつかないでしょう」
「何となくわかりますよ。
でも動物って天敵に対して無防備になりますから、
基本的に眠るのは危険な行為ですよね。
極限状態でそういう本能にスイッチが入ったのかな」


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