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<読書>残照の頂 続・山女日記


登山をする女性を山女とするならば、私は山女ではありません。

山に登った経験はほとんどないし、現在、山に登る体力もありません。

本を読むと自分の知らない世界を知ることができる、追体験できると、昔、母に言われたことがあります。

前作の『山女日記』を読んで、ほんの少し、山を知りました。

実際に、山に行ったわけではありません。

追体験をした、ということです。

しかし、その追体験は、心地よかったのです。

そして、続編の、『残照の頂 続・山女日記』を手に取りました。

・残照の頂 続・山女日記 著者:湊かなえ

残照の頂 続・山女日記』は、短編集です。

短編4作品で構成されています。

後立山連峰

60代の女性が、登山経験者の知り合いの30代(?)の女性と、五竜岳を目指す話です。

60代の女性、同行する女性、登山をガイドする男性、それぞれに山に対する想いや、事情があります。

無事に五竜岳の山頂に着いた後、同行した女性と、ガイドの男性の物語が展開します。

北アルプス表銀座

音大生の二人の女性が北アルプス表銀座縦走コースを行く話です。

もともと三人組で登山をしていたのですが、今回は訳あって二人で縦走しています。

少々ミステリアスな話です。

立山・剱岳

母と娘が登山をする話です。

娘の登山を、母はずっと快く思っていない様子。

しかし、娘は山岳ガイドの仕事をしたい。

母娘、それぞれに考えがあって、それを少しずつ見せ合い、歩み寄っていこうとする過程が描かれています。

母と娘の関係は難しいですよね。

考えさせられます。

武奈ヶ岳・安達太良山

大学の山岳部で共にすごした女性二人が書いた手紙です。

ひとりは、家業を継いで、必死に老舗和菓子屋を守り、育ててきました。

もうひとりは、山岳部の先輩だった男性と結婚しますが、その後の生活は予想外の展開となります。
家族にも恵まれ、安泰そうに見えますが、生活の変化もあり、心が穏やかではない日も多かった様子です。

大学卒業後は、一緒に山に登ることもなく、必死にそれぞれの人生を歩んできました。

私には、共感できる話でした。

結婚してもしなくても、仕事を優先しても、家庭を優先しても、もやもやすることがあります。
そして、後悔することも。

でも、もやもやしながら、後悔もしながら、歳を重ね、日々の生活を続けていくしかないのです。
人生を歩き続けていくこと。
それは、山を登ることに似ているのかもしれませんね。

私は山に行かないので、推測しかできませんが。

手紙を送りあった二人が、再会して、語りあう日が訪れますように。

『残照の頂 続・山女日記』を読み終えて、早速、短編の題名となっている山を調べてみました。

後立山連峰、北アルプス表銀座、立山・剱岳、どの山も2000mを超える山で、とても素人が歩ける山ではないですね。

しかし、写真に写るそれらの山々の姿は素晴らしいです。

登るのは難しくても、写真ではなく、実物を見てみたいものです。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

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