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第一話【出発】(Vol.1−10)

Vol.1
ボクはヒロ。
訳あって保育士に転職した
脱サラ保育士だ。

縁あって、児童養護施設に就職することになった。

これは実話をもとにした物語。

一緒に夢の扉を叩いてみよう。


Vol.2
ボクは27歳で保育士になった。

はじめは、保育園での就職を希望していたのだが

憧れの先輩が
【児童養護施設】に就職を考えているといのを聞き

一気に興味が湧いた。

【施設】ってどんなところ?

調べてると

『さまざまな事情で家族と生活できない児童が生活する場所』

とあった。


Vol.3
親と一緒に生活できない

そんな世界があるとは知らなかったボクには衝撃だった

募集要項を見てみると

・必要資格:保育士
・宿直あり
・交代制 とあった

同じ保育士でも、業務内容が全く違う

幼稚園や保育園は 朝から夕方までの間が仕事。
児童養護施設職員は 朝から夕方以外が仕事。


Vol.4
児童養護施設とは、子ども達にとっての【生活】の場なのだ。

住み込みで生活を共にしながら働く!

なんて“熱い“ 志事なんだ!

ボクは一気に、この志事に魅せられてしまった。

よし!子ども達と一緒に生活しよう。

そう決めた。


Vol.5 
いいことも、悪いことも全部ひっくるめて
一緒に生きていこう。

ボクは2003年4月。
児童養護施設の職員として就職した。

「初めまして。ヒロって言います。

これからみんなと一緒に生活することになりました。

よろしくお願いします。」

食堂に集まった40数名の子ども達との初対面。


Vol.6
静まり返った食堂。

その年、採用された職員2名。

その1人がボクだ。

もう1人は女性のかおり。

かおりとは専門学校時代の同級生。
クラスは違ったがいつも気さくに話していた友だちだ。

かおりが自己紹介をしたあと、
ボクの番が回ってきた。

下は3歳から
上は17歳までの子供たち


Vol.7
子どもたちを前にして挨拶

「はじめまして。ヒロです。
中高生男子の兄ちゃんになりました
みんな仲良くしてください。」

簡単な挨拶しか言えなかった。

一発ウケることが言えなかったことに
自己嫌悪

ヒロの施設は職員のことを
【先生】とは言わず
兄さん・姉さん と呼ぶシステムなのだ


Vol.8
園長先生から話があった。

「ヒロ兄さんは中高生男子の担当になってもらいます。ペアは、ケンタ兄さんです。」

「はいっ!ケンタ兄です!よろしく」

勢いよく返事したのは、ペアを組むことになったケンタ兄だ。

ケンタ兄は、ここに来て5年経っている中堅どころ。

ボクの上司になる人だ。


Vol.9
ケンタ兄は、とてもユーモアたっぷりで子供や職員からも人気がある。

歳もボクと同い年だが
早生まれ。
人生でもイッコ先輩になる人だ。

ポッチャリとした体型と、
メガネがトレードマーク。

いつもほんわかした雰囲気が人気のある秘密だろう。

ボクは早くもケンタ兄に憧れを感じた。


Vol.10
ボクの施設は
大舎制(今はなんて呼ばれてるのだろう)で

・幼児さん
・小学生男子
・小学生女子
・中高生男子
・中高生女子

の5つに分かれている。

性別による縦割り施設だ。

当時はオーソドックスだとされていた。

新体制が園長先生から発表されたあと
歓迎セレモニーが続く。

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