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ワンオペ育児を夫婦で豊かにする方法【後編】

前編はこちら
ワンオペ育児を夫婦で豊かにする方法【前編】

前編では、「ワンオペ育児の難易度を決める4つの要素」や「パートナーに抱いてしまう感情の構造」について書いた。

こちらの「後編」では、前編をふまえて、どのようにして「お互いにとって最適なワンオペ育児」を作っていくのか、という実践のお話をしたい。


「妻のワンオペ育児」と「夫のワンオペ育児」

ワンオペ育児には付随するタスクが多い。
しかも大人ひとりなので、気付きを言語化する機会も少なく、時間にも追われる。
なので「ツラさ」の具体性は意外なほどボヤけてしまいがちだ。

あくまで一例だが、我が家の場合で図解してみたい。

今、妻(プーさん)の前にあるタスクは、1個ずつは軽々と持ち上げることができそうだが、全部いっきにだと両手から溢れないかヒヤヒヤする。
そんなとき、横の手ぶらのペンギン(夫)をみると、身軽そうで恨めしいが、この感情は一旦タスクと分けて考える。

妻(プーさん)は家事育児の経験値で培った「スキル」があるため、タスクをまとめる方法を知っている。
先に洗濯機を回しておいて、その間にご飯の支度、子どもの機嫌が悪くならないように、先におにぎりだけ与えておこう…など、複数のタスクをまとめて持ちやすくする工夫ができる。

これでまともに1個ずつ手で持っていたときよりは、格段に負担の体感は下がる。

では夫(ペンギン)はどうだろうか。
妻と同様のタスクに加えて、「ママの不在」による子どもの不機嫌・癇癪がかなり追加されている。
しかもこれは、工夫で減らすことはなかなか難しい要素である。

元々のスキルが少ないこともあり、妻のようにひとりで全てを管理することは難しそうだ。

これでは一口に「ワンオペ育児」と銘打っても、夫の方が体感としてツラい思いをしてしまっている。
つまるところ、妻と夫のワンオペ育児を平等にするためには、何かしらの工夫が必要になってくるということだ。

同じにすべきなのは「タスク量」ではなく「負担量」

キャパもスキルもちがう者同士で、「同じだけの仕事」をさせることは公平さにかけてしまう。

ワンオペが続くと大変ツライので、「私と同じだけの苦労をして欲しい」と思ってしまいがちだが、これは仕返しの発想である。

相手に求めるのは、いつも「努力」でなくてはいけない。
これを間違えて「犠牲」と混合すると、そもそもの目的が「思い知らせること」にすり替わってしまう。
このような動機でものを言ってくる人間のために、頑張ることは難しい。

写真のペンギンは、現状すべてのワンオペタスクをプーさんと同等にこなすことは難しそうだ。
なので、「絶対にやっておくべきもの」をペンギンに、「明日でもいいもの」を一旦放置、そして「相手に渡せるもの」に仕分けていく。

仕分けは2人で話し合って、「負担感が平等」になるように公正に行う


そして、ペンギンのやる気によって「絶対にやっておくべきもの」が変化してしまうのはよくない。

それは結局プーさんの負担を増やすだけなので、ここで決めたものは自分がやりきる、という責任感は重要だ。
もしできないなら、それは再度2人で話し合って調整する。

こなすタスク量が異なっても、これを徹底できると、案外不満はわかないものだと、私は体感している。

自分がサボったしわ寄せは、パートナーの心身をむしばむ

現段階でスキルやキャパが足りないために、ワンオペタスクをすべて担えない、という状況を私は否定しない。
スキルは繰り返すうちに上がるものであるし、子どもも成長するので、「明日でもいいもの」の数はそのうちに減っていく。

なので「タスク量」に関してはおいおい担える量を増やしていければいいのだが、早急に真摯に対応すべきなのは「自分のレギュラータスクをサボってしまえば、パートナーに倍返しされてしまう」という構造に向かい合うことだ。

お互いに負担感ベースで決めたタスクがあるのだから、それを話し合いなく相手に渡してしまう行為は、負担感の均衡を崩すだけでなく、「本来やらなくていいタスクが降ってきた」という不満感と、「相手は私の負担よりも自分のラクを選択したのだな」という不平感を与える。

これはパートナーシップの大きな危機だ。

かく言う私も、自分がワンオペ時にやる決まりの家事タスクを、持ち帰り仕事を言い訳に、だまってやらずにいたことがある。

私がサボった家事をやらざる得なくなった夫は、「大変だった」よりも「イライラした」の比率がずっと大きかったという。ごめんなさい。

私の中にはうっすらと「でも仕事だし…遊んでいるわけじゃないし…」という免罪符があったのだが、だったらきちんと相談すればよかったのだ。
2人で決めたことを1人で勝手に覆さない。
これが本当に大事だと、個人的な経験からお伝えしたい。

ワンオペ育児は大変だ。だから夫婦で立ち向かう。

ワーママ、専業に関わらず、ワンオペ育児が必要な状況はしばらく続く。
ひとくくりに「ワンオペタスクセット」として相手に負わせるのではなく、
自分がやるワンオペと相手のやるワンオペ、その負担の違いや、継続していけるだけの「担えるタスク量」を相互に理解しあいたい。

私の好きと相手のスキが異なるように、負担や苦手もまた異なる。
相手の負担を「そうか、それは確かに大変だね」と肯定する。
「私はできる」は置いておく。

ワンオペ中にすべてが行えなくてもいい。
それは二人がそろう朝や週末に、一緒に行えばいいのだ。

「もっと担ってほしい、もっと苦労してほしい」その思いは本質だろうか。
多くのワンオペ担当者が本当に願っていることは「もっとわかってほしい、一緒に歩んでほしい」のように、私は思えてならないのだ。

きっとそこから、精神的ツーオペ育児ははじまっていくはずである。



記:瀧波和賀

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#育児 #ワンオペ育児 #パートナーシップ #家事分担

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