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百年前のパンデミックと比べてみた(2020年04月末時点)

 現在日付は2020年5月1日、きょうの東京の感染者数というのが日々のニュースになってから、1ヶ月以上が経った。この疫病について、米国はイタリアを抜いて世界最大の死者数を記録し、大統領が陰謀論を呟きはじめた。
 僕は日々の数字を追うことに飽いて、先月に作ったグラフを更新することにした。

 1918年から1920年にかけて、呼吸器系の疫病が世界じゅうに広まった。発祥は定かでないが、たまたま話題にのぼったスペインでの苛烈な流行が、欧州に古くから伝わる「スペインかぜ」という言葉をよみがえらせたのだと、当時の資料には記されている。
この「スペインかぜ」による全世界の死者数は、2,000万とも、1億とも言われている。日本でも3シーズンにわたって流行し、合計して38万人が亡くなった。当時の日本の総人口が約6,000万人なので、現代日本に当てはめるなら、これは2倍掛けしないとかもしれない。
 1920年の日本と2020年のイタリアとは、ちょうど同じ程度の人口になる。現代イタリアのCovid-19で亡くなられた方の数を、百年前の日本と、同じ尺度でグラフにして比べてみた。

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 日本での「スペインかぜ」の流行は、1918年の8月末ごろに始まったらしい。冬にピークを迎えて、翌春から梅雨にかけていったん鎮まったのち、1919年の秋から再流行した。患者数は第2シーズンのほうが少なかったけれど(10分の1程度)、死亡率は第2シーズンのほうが高かった(第1は約1%、第2は約5%)。グラフからは省略したけれど、1920年末から第3シーズンの流行もあった。日本での死者数は、第1シーズンが約26万人、第2シーズンが約12万人、第3シーズンが約4千人。東京都の衛生研究機関による推計値だけれど、月次にすると、このようなグラフになる。

 イタリアでのCovid-19は、2020年1月末に最初に確認され、2月に始まった都市封鎖が、3月には全土に広げられた。4月30日時点、累計死者数は2万7千人にのぼった。政府はいったんピークは抜けたと判断しているようだ、5月4日から都市封鎖を段階的に解除すると発表した。
(日本でのCovid-19は、理由が不明瞭ながらも流行は抑えられており、同日の累計死者数は415人となっている。それでも連日ニュースの話題はこればかりで、NHKからはL字の標記が画面から消えない。)

 百年前のパンデミックは、世界大戦と重なっていて、いまひとつ歴史の陰に埋もれているところがあるようだ。かつての世界の大事件との比較の参考にでもなればと思うし、自分のための振り返りも兼ねて、ここに定期的に書き残していくことにする。